エルメスでもユニクロでもない…ファーストクラスに乗る「本物の富裕層」が普段着にする"ジャージ"の正体
「わかる人にだけわかればいい」という富裕層の新しい価値観
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革靴離れ、スニーカー人気というファッションのカジュアル化が進んでいる。富裕層マーケティングを手掛ける西田理一郎さんは「ファーストクラスのラウンジにいるような富裕層も例外ではない。彼らは一見普通のスポーツウェアを着ているように見えるが、見る人が見ればわかるラグカジュに身を包んでいる」という――。
靴修理屋が淘汰されるワケ
百貨店の集客やインストアマーチャンダイジングの仕事を通じて、インバウンドの購買行動や売場効率を細かくみている際に、靴売場で「あること」に気づいた。伊勢丹メンズ館の靴売場は、いまだ世界一の売上を誇ってはいるが、ピーク時と比べると、試着する顧客の数はかなり落ち着いた印象が強い。
今、日本の百貨店の靴売場は、どこも厳しい状況にある。それは、元々革靴主流の品揃えが定番であり、スニーカー需要の拡大トレンドに上手く対応しきれずに専門店に顧客が流れていく潮流を防ぐことができなかったのが要因だ。
革靴が売れないとなると当然ながら、靴修理マーケットも比例してシュリンクする。今から10年前、東京の平均的な郊外の街でも駅周辺には、靴修理屋さんが3軒は存在していた。しかし今、淘汰され1軒程度になっている。
スニーカーブームは世界中で進行中
靴販売、修理専門の松添康太郎氏(リファーレ代表)は言う。
「以前は、革靴を履いている人がまだ多く、ヒールの女性の需要もあり靴修理店は、特に大きな特徴がなくても靴修理ビジネスは待ちの商売でも充分成立していた。していたどころか、銀座線の渋谷駅を出た所に店を構えていたミスターミニットさんは、3〜4坪で年間2億売るという世界一のミスターミニットだった」

それがコロナ禍以降、空前のスニーカーブームに更に火がついた。これは日本のみならず世界中の兆候でもある。現にみずほ銀行の本店に通勤する行員ですらスニーカーで出勤するという現象が起き、紳士靴をはく回数も週5回(月~金)から2回になり1回に。紳士靴は、特別な時に履くものとして出番が減少しているようだ。
「スニーカーは革靴に比べて修理するというよりは、履きつぶして買い替えるというお客様が多いが、これだけスニーカーに大幅にシフトしてくるとなると、今後はスニーカー修理専門店(トータルメンテナンス)に挑戦するのも面白い」と松添氏は述べる。
矢野経済研究所の「靴・履物小売市場に関する調査」(2024年)によると、ビジネスシーンをはじめとしたファッションのカジュアル化により、スポーツシューズ(スニーカーを含む)の市場構成比は57.7%と拡大、紳士靴・婦人靴ではスニーカーライクな商品や機能性商品が好調に推移した。また、「ファッションのカジュアル化などによって、革製の紳士靴・婦人靴の需要の減少は続く見込みである」と分析している。





























