今さら聞けない「プロンプト」の基本的な書き方…生成AIを使う人とそうでない人にあらわれる決定的な差
ゆくゆくは「プロンプト」さえ不要になる
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突如として、私たちの働き方を大きく変えようとしている生成AI。 上司から「これからは生成AIの業務活用が必須!」と発破をかけられ、対応に追われている人も多いのではないでしょうか。 今回はそんな生成AIに与える指示「プロンプト」にフォーカスし、その作り方のコツやノウハウをご紹介します。 ご登場いただくのは、ベストセラー『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』の著者で、デジタルハリウッド大学の教授・橋本大也さん。 「ビジネスパーソンにとってAIを使わないという選択肢はない」と語る橋本さんに、プロンプトのバリエーションやプロンプト設計の考え方、そして生成AIとうまく付き合っていくためのコツを学びます。 |
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プロンプトで大事なのは、言い回しではなく「要素」
――まずはじめに、生成AIを使い始めたばかりの人に向けて“プロンプト”の大切さを教えていただけますか?
橋本大也さん(以下、橋本):生成AIを使うなら「プロンプトがすべて」だと言っても過言ではありません。
生成AIを「計算機」と捉えると、その理由が分かります。生成AIが計算機なら、プロンプトは「計算式」。つまり、プロンプトが間違っていると計算結果も間違ってしまうということなんです。
――とても重要な示唆ですね。では、その“計算式”の基本的な考え方とは何でしょうか?
橋本:大前提として、私たちが使う機会の多いテキスト生成型のAI「LLM(大規模言語モデル)」が情報をどのように調べているのか、その仕組みを理解すべきでしょう。
LLMはWeb上のあらゆるコンテンツを学習し、そこから得られた情報を空間上に埋め込みます(下図)。
空間に情報がマッピングされている様子を分かりやすく表現した図。埋め込まれた作図の便宜上、2次元で表現しているが、実際に「何万次元」もの空間が存在している
何かを回答するうえでは、打ち込まれたプロンプトをベクトル(座標、数値行列)に変換して相互の位置関係を特定し、ベクトルの近い情報同士を文章として構成します。例えば「日本の首都は?」と打ち込めば、「日本の首都は東京」という文章をたくさん学習しているから、「日本」や「首都」と位置の近い「東京」が答えとして返ってくる。
つまり、回答の精度を上げるには、プロンプトに要素(例では「日本」「首都」)をきちんと含めることが重要なんです。逆に細かな言い回しや文体を変えても回答の内容に大きな差は生まれません。「日本の首都は?」と聞いても、「首都について、日本ではどこですか?」と聞いても、答えはほとんど同じでしょう。
――なるほど、その仕組みが理解できていると、プロンプトに入れるべき要素≒何が聞きたいかも自ずと分かりますね。