ロシアの造船会社「もう修理できない」…「ソ連の切り札」と呼ばれたロシア海軍"最後の空母"の哀れな結末

ロシアの造船会社「もう修理できない」…「ソ連の切り札」と呼ばれたロシア海軍"最後の空母"の哀れな結末

ロシアの造船会社「もう修理できない」…「ソ連の切り札」と呼ばれたロシア海軍"最後の空母"の哀れな結末

ソ連海軍の誇りとして、1985年に進水したアドミラル・クズネツォフ。現在ロシアが保有する唯一の空母だが、度重なる事故と修理費の高騰、そしてウクライナ戦争の影響により、改修を断念した模様だと海外の複数のメディアが報道。「恥の船」とまで呼ばれた40年の歴史を経て、ロシアは最後の空母を手放そうとしている――。

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2025年8月8日、モスクワのクレムリンで安全保障理事会の常任理事国との会合を主宰するロシアのウラジーミル・プーチン大統領

ソ連が建造した最後の一艦、栄光からの転落

1985年、ソ連が超大国としての最後の威信をかけて建造した巨艦があった。全長300メートル、排水量5万9000トンのアドミラル・クズネツォフだ。

アメリカの空母機動部隊に対抗する算段のもと、26機の固定翼機と24機のヘリコプターを搭載可能な空母として1991年に就役。ソ連を真の海洋国家に押し上げる切り札として期待された。現在ではロシアが保有する最後の空母となっており、独立系ロシアメディアのメドゥーザは、ソ連が建造した7隻の空母のうち最後まで残った艦だと伝えている。

だが、現在では改修を断念し、退役へ向かっているとの報道が出ている。その軌跡はまさに、栄光からロシアの恥への転落の歴史でもあった。

2016年秋、地中海に展開したクズネツォフの艦載機が、シリアのアサド政権を支援する軍事作戦に参加した。ロイターによると艦載機は、シリア反政府勢力を空爆。1991年のソ連崩壊以来、ロシア空母が実戦に投入された初の事例となった。

相次ぐ着艦失敗で実用上の問題が露呈

メドゥーザによると艦載機の出撃は400回以上に及んでおり、遠洋で軍事作戦を展開できる能力がまだロシアにあることを国際社会に示す上で、絶好の機会となるはずだった。

だが、華々しい活躍が期待されたのとは正反対に、クズネツォフは次々と深刻な問題を露呈する。まず、英タイムズ紙は、クズネツォフの推進システムが慢性的な故障に悩まされており、地中海への航海ではタグボートの随伴を要したと指摘。機関部の不調を理由として空母がタグボートに頼るという、屈辱的な事態となった。

タグボートの随伴は、不祥事の幕開けに過ぎなかった。作戦開始から間もなく、最初の事故が発生した。MiG-29K戦闘機が着艦に失敗し、地中海に墜落。パイロットは救助されたが、ロシアは最新鋭機を失った。数日後、今度はSu-33戦闘機が同じく、着艦の失敗で墜落した。

軍事専門メディアのナショナル・セキュリティー・ジャーナルは、わずか12機の艦載戦闘爆撃機のうち相次いで2機を失ったことで、シリアでの作戦遂行能力に深刻な影響を与えたと分析。事故率の高さが露呈したことで、ロシア海軍は航空隊を陸上基地に移す措置を余儀なくされた。

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2025.08.25

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