「何回も言ったはずですよ」は無意味…何度教えても「教わってない」と主張する部下が変わるアドバイス

「何回も言ったはずですよ」は無意味…何度教えても「教わってない」と主張する部下が変わるアドバイス

「記憶の刻み方」や「記憶の保持」を工夫する必要がある

何度教えても同じミスを繰り返す部下はどう指導すればいいのか。心理学者の榎本博明さんは「記憶力に問題があると考えられることがある。その場合は、記憶の刻み方を工夫したり、記憶の保持を工夫したりするアドバイスを行うといい」という――。※本稿は、榎本博明『なぜあの人は同じミスを何度もするのか』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。

同じミスを繰り返す人が抱える「本質的な問題」

何度注意しても同じミスを繰り返すというような場合は、「メタ認知能力」や「認知能力」に問題があるケースもある。

たとえば、同じようなミスを繰り返すため注意すると、

「すみません、またやらかしちゃいました。気をつけます」

と申し訳なさそうに反省の姿勢を示すものの、また同じようなミスをする。反省するのに直らない。

そのようなケースでは、メタ認知能力に問題があると考えられる。メタ認知を働かせることができていない。つまり、自分のやり方をきちんと振り返ることができていない。

メタ認知とは、自分自身の認知活動についての認知のことである。このように言っても、何ともわかりにくい概念だと思うので、もう少し具体的に説明しよう。

勉強や仕事などで頭を使うのは、まさに認知活動である。仕事に関して言えば、仕事をするという自分の認知活動を振り返り、その現状をモニターすることにより、問題点を把握するのがメタ認知の働きと言える。

自分の仕事を振り返ってチェックするのが「メタ認知」

たとえば、自分の仕事のやり方や成果について、ちゃんとできているか、成果を上げているか、だれかに負担をかけていないか、どこかでつまずいていないか、よくわかっていないことはないか、どんな点でミスを犯しやすいか、もっとできるようになるために改善すべき点はどこか、などと振り返ってチェックするのがメタ認知である。

何度も注意されていることや何度も教えてもらっていることは覚えており、申し訳ない思いになるのに、何の改善もない。それは、なぜミスをしたかという視点から自分のやり方を振り返り、まずい点をチェックするということができていないからである。つまり、「メタ認知的モニタリング」ができていない。

デルクロスとハリントンは、メタ認知的モニタリングの能力向上のためのトレーニングを行っている。そのトレーニングでは、「問題を注意深く読んだか?」「問題を解くための手がかりは見つかったか?」など、問題そのものやその解法についてじっくり考えるように導く質問を行い、また何点くらい取れたかを尋ねている。その結果、トレーニングを受けたグループは、受けなかったグループと比べて、明らかに成績が良くなっていた。

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2025.08.25

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