長生きしたければ「タワマン高層階」に住むのはNG…専門医が勧める「健康にいい家」を選ぶための鉄則
1万人を調査してわかった「住むだけで健康になる家」の特徴
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健康で長生きするにはどんなコツがあるのか。福島県立医科大学医学部の大平哲也主任教授は「通勤など日々の暮らしのなかに仕組みとして運動を入れ込むといい。そのためには『家選び』がとても重要だ」という――。(第3回) ※本稿は、大平哲也『10000人を60年間追跡調査してわかった 健康な人の小さな習慣』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。
秋田の農家に肥満が増えた理由
CIRCS研究を行うなかで、秋田の農家の人たちに肥満が増えていることがわかりました。
かつて、農業従事者は身体活動量が大変多かったため、肥満はほとんど見られませんでした。ところが、整地・播種・収穫などの作業に機械が使われるようになり、運動量が減ったことが大きく影響していると思われます。
そして、もう一つ、暮らしの環境が変化したことも見逃せません。
もともと、農家の住む地域は鉄道が整備された都市部から離れており、移動には車を使う習慣があります。農作業以外の運動量は案外、多くないのです。
加えて、最近では、車で行けるところにショッピングモールのような大型スーパーができました。そこに出かけては、缶コーヒーや清涼飲料水などを大量に箱買いして毎日のように飲んだり、種類豊富な菓子類をあれこれそろえて多食するようになったりしたことも肥満化に輪をかけました。
実は、私たちの運動量というのは、個人の意識の高さや従事している仕事内容によって変わるのはもちろん、「どこに住んでいるか」がかなり左右するのです。
図表1は、都道府県別で見た1日の平均歩数です。
男性で見てみると、東京都は平均8600歩。埼玉県、千葉県、神奈川県もすべて平均が8000歩を超えています。一方で、東北地方の岩手県、宮城県、秋田県はいずれも6000歩台です。
四国でも、徳島県は男女ともに7000歩未満、高知県は6000歩未満と、やはり鉄道の便がいい都会の人のほうがよく歩き、地方の人は車を使ってしまい歩かない傾向が見てとれます。