だから子どもを「天才」と褒めるのは危ない…頭のいい子がだんだん「頑張れない子」になってしまう本当の理由
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子どもを勉強好きにするためにはどうすればいいか。児童精神科医の宮口幸治さんと、小学校教諭の田中繁富さんの共著『「頑張れない」子をどう導くか 社会につながる学びのための見通し、目的、使命感』(ちくま新書)より、一部を紹介する――。
「授業で手を挙げない=勉強嫌い」と決めつけていないか
大人は、勉強が苦手な子を見ると、きっと勉強が好きではないのだろうなと感じてしまいます。「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、好きでないから成績が伸びないのだ、だから子どもが勉強を好きになればできるようになるはずだ、と思い込みます。
そして、“やればできる”といった達成感をもたせてあげれば勉強も好きになるだろうと考え、あの手この手を使って、達成感を持たせようとします。
授業中に大勢の子どもが競って手を挙げ、いかにもみんな勉強が楽しいと思わせている写真をたまに見かけます。こんな子どもたち、実際にはいないのでは、と思いながら、一方で「そうであってほしい」という教師たちの理想も感じます。
授業参観でも、授業中に積極的に手を挙げる子は勉強が好きで成績もいい。挙げない子は勉強があまり好きでなく成績もよくないのだろう。私たち大人はそんな思いで子どもたちを見てしまっているかもしれません。