大谷翔平選手も学んだ…「メンタル弱め」でも自己肯定感ムキムキになる「反省しない」心のトレーニング
失敗したときに親がかけるべき「最強フレーズ」
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プレッシャーに弱い子の自信を引き出すにはどうすればよいか。あの大谷翔平選手も使った目標設定シートを考案した原田隆史さんは「スポーツで結果を出したいなら『反省』は絶対にしてはいけない。自己肯定感と自己効力感の両方を鍛えていくことで、自信を自分で高めることができる」という――。
AI時代を生きる子供たちに必要な能力
先日、小学生の息子さんがサッカーをしているという親御さんから、こんな相談を受けました。
「試合後、息子はコーチから試合の映像を見せられてはダメ出しされて、明らかに委縮しています。失敗を反省して次の試合に生かすことは大事だと思いますが、息子はまた失敗してしまうのではないかというプレッシャーから、むしろよいプレーができなくなっている気がします。どうしたらよいものでしょうか」
まず言いたいのは、このコーチは時代遅れ、早めに交代してもらったほうがいいということです。もちろん指導者が試合結果を分析して、次の試合のために戦略を練ることは必要ですが、ダメ出しのために子供に見せるのはいかがなものか。スポーツの世界で結果を出そうと思ったら、「反省」という言葉がいちばんダメなのです。
ひと昔前は、指導者たちは気合や根性で子供たちを鼓舞してきましたが、今はそんな時代ではない。AIが当たり前の情報化社会を生きる、子供たちに必要なのは「非認知能力」です。
非認知能力とは、やる気や忍耐力、協調性など、見えにくい抽象化されたものを高めたり、コントロールしたりする力。これらの根底に流れているのが、自己効力感や自己肯定感といった「自信」です。自信があれば、非認知能力は高くなるし、自信がなければ、非認知能力は低くなる。ですから今の時代、スポーツの世界で活躍しようと思ったら、まず自己肯定感や自己効力感を高めて、自信を育てること。これが現代の情報化社会に必要な心を育てるトレーニング、いわば科学的なメンタルトレーニングなのです。
心=メンタルは「トレーニング」で強くできる
そもそもスポーツの世界におけるメンタルとは、忍耐力、闘争心、自己実現意欲、勝利意欲、自己コントロール能力、リラックス能力、集中力、自信、決断力、予測力、判断力、協調性といった12個の要素からできています。
そして、この12個の要素を高めるためのスキルは、(1)目的・目標設定、(2)イメージトレーニング、(3)プラス思考(ポジティブシンキング)、(4)セルフコントロール、リラクセーション、サイキングアップ、(5)集中力、(6)セルフトーク(自己対話)、(7)本番に対する心理的準備、(8)コミュニケーションの8個があります。
メンタルトレーニングのプロコーチは、12個の要素について高い、低いといったアセスメントをしながら、戦略的にそのチームの数字を上げていくために、8個のスキルを使いながら、選手自らが行うように指導しています。
大谷翔平選手は、目標設定シート、通称オープンウインドウ64、を実践したことで知られていますが、これ自体は自分の行動を書く一つの手段にすぎず、メンタルトレーニングではありません。実際に、大谷選手が花巻東高校の3年間、日本ハムファイターズの最初の4年間で学んだのは、こういったメンタルトレーニングの考え方を取り入れたセルフコーチングの手法だったと言えます。