質問でもアドバイスでもない…相談にやってきた部下に「好かれる上司」が最初に返す"最高のフレーズ"
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部下や後輩から相談されたら、どのように答えればいいのか。『仕事で伝えることになったら読む本』(アルク)を書いた濱田秀彦さんは「ひと言目で自分の考えや答えを示してはいけない。素直に受け入れてくれなくなるからだ。まずは相手の気持ちを受け止めることから始めるといい」という――。(第3回)
相手の言葉を繰り返す
通常、相手の問題や悩み、困りごとを聞き出したら、アドバイスに向けて不明点を質問していきます。ただ、その前にやったほうがよいことがあります。ミニケースで考えてみましょう。次は、上司と部下の会話です。最後の空欄のセリフとして、最も適切なものは何か、考えてみてください。
【問題】 |
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この問題をセミナー受講者に出すと、最も多い解答は「どこが難しいの?」というもの。それは決して悪くありませんが、傾聴(よい聞き方)という観点からすると、もっとよいセリフがあります。
それは「そうか……、少し自信なくしちゃったか……」です。これが傾聴のスキルの1つ「リピート」です。相手の言葉を繰り返すことで、「その気持ち受け取ったよ」というメッセージを送ります。相手は「わかってもらえた」と感じ、「この人はわかってくれる。素直に話そう」となり、この後の質問→アドバイスへ続くよい流れが作れます。
“アドバイスしたい気持ち”は抑える
「どこが難しいの?」という質問は、いずれすることになるのですが、まだ早い。アドバイスする側は、相手の話を十分に受け止める前に、解決に向けて進みたくなる傾向があります。その気持ちを抑えて、相手の気持ちを受け取ったことを伝えます。そのための最も簡単で、効果的な方法がリピートなのです。ぜひ、会話の中に入れてみてください。
「大変だなあ」と思った方もいるでしょう。でも、安心してください。日頃から、上司、同僚、顧客、友人、家族の話を聞くときに、このような聞き方をし、習慣化してしまえばよいのです。そうすれば、相談に限らず、対人関係すべてにプラスになります。
相手の問題、悩み、困りごとを聞いたら、すぐにアドバイスするよりも、少し質問をしたほうがよいものです。それは相手の状況をより把握し、気持ちを引き出し、より共感できることにつながります。また、質問を通じ、相手に整理させることもできます。
このような目的で質問する場合は「オープン質問」が向いています。オープン質問とは相手が自由に答えられるもの。相手に多くを話させ、考えさせるのに向いています。