「移動する人は成功する」は本当か…「とりあえず海外に行け」と言う偉い人が知らない残酷な現実

「移動する人は成功する」は本当か…「とりあえず海外に行け」と言う偉い人が知らない残酷な現実

日本では、海外旅行やインターンの経験がある人は評価されやすい。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター研究員の伊藤将人さんは「経営者や実業家など、いわゆる成功者の中には『成功したいなら移動せよ』と言う人がいるが、これは自由に移動ができる移動強者の論理にすぎない」という――。(第3回/全3回) ※本稿は、伊藤将人『移動と階級』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

移動弱者は「負け組」なのか?

「若いうちにたくさん旅行したほうが成長するよ」「海外インターンシップや海外留学しておくと、就活で有利だよ」――10代20代の頃、人生の先輩に何度も言われる言葉だ。

実際、多くの企業では海外留学やインターンは加点の対象となる。もちろん、外国語ができるというビジネススキルの証明になるからだが、それ以外にも高く評価される理由はありそうだ。同程度の英語スキルで、同じ内容のインターンシップをしていても、海外に行った人のほうが評価されやすいということは多々あるだろう。

古くから、「成功は移動距離に比例する」「成功者は移動量が多い」といった類いの格言がある。これが本当ならば、好きなときに、好きな場所に、好きな方法で行ける、移動資本が高い人(移動強者)は「成功者」であると言えるかもしれない。

逆に、移動したくてもできない、移動手段が限られている、生まれた地から出たことのない移動資本が低い人(移動弱者)は、「凡人」もしくは「負け組」なのかもしれない。

しかし、果たして本当にそんなことはあるだろうか? たくさん移動を経験すると、人生が有利に進むのだろうか? 移動資本が高ければ、人は成功者になれるのだろうか?

移動に価値を見出す成功者たち

実業家の堀江貴文は、現在は業界の壁を軽やかに飛び越える「越境者」が求められる時代にあると言う。そして、こうした時代には、いくつもの異なることを同時にこなせる「多動力」が最も重要な能力であると主張する。

作家でお笑い芸人の西野亮廣は、「移動に投資したときに人は成長する」と言う。ある日のブログでは、「以前、20代の社員に『移動距離がバグってるヤツが勝つ』と言ったら、『分かりました!』と返ってきて、次の日の朝には金沢に飛んでて、そして、そこで得たことを、今、自分達の事業の一つに落とし込んでいます」と、すぐに遠くまで移動したことで事業へと結びついたエピソードを良い例として紹介している。

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2025.05.27

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