てぃ先生も実践する、子どものやる気を引き出すテクニック!
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保育士/子育てアドバイザー
保育士/子育てアドバイザー
関東の保育園に勤める男性保育士。 ちょっと笑えて、可愛らしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は46万人を超える。 Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA/メディアファクトリー)は20万部を突破、著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)は15万部を超える大人気作に。他にも『ハンバーガグー!』『園児がくれた魔法の言葉』などを出版。 保育士として勤務する傍ら、その専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。 他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。 ちなみに、名前の読み方は「T」先生。
子育てに関するママパパのさまざまなお悩みに、現役保育士のてぃ先生とKIDSNA編集長・加藤が赤裸々にトークするKIDSNA TALK。今回は「子どもの遊びや勉強への親の関わり」をテーマにてぃ先生とトークします!
まず、「子どもがやりたいことをやらせてあげる」というのはすごくいいことだと思います。
ただ、じゃあ「僕はひらがなを読むのも書くのも興味ないし、数字も興味ない」という子に「じゃあやらないで好きなことだけして遊んでて」と言ってしまうと、実際には困っちゃいますよね。
世の中を生きていくうえでの準備として、やっておいた方がいいことがあるのも事実です。
そう考えると、「子どもがやりたいことだけをやらせてあげることが、果たして本当の意味でその子にとって最高なことか」というと、そうではないと思うんですよね。
だから、多少親のエゴだとしても「やってほしい」ことをやらせることがあっても僕はいいと思います。
どんな誘い方をすると子どもが興味を持ってくれるのでしょうか?
誘い方のコツですが、いきなり「これやって!」というのは遊びを限定していることにつながるのであまりよくないんです。
たとえばおままごとでも、ママやパパが子どもそっちのけですごく楽しそうにやっていたら、絶対子どもは入ってくるじゃないですか(笑)。
結果的に大人がやらせたいことを子どもがやったことにはなるけど、子どもの感じ方としては、「やれ」と言われてやった訳ではなく、自分で選んでおままごとをやっていると感じられる。
だから、どんなことでもそういう形に持っていけるといいんじゃないでしょうか。
たしかに!どう興味を持ってもらうか、そこの持って行き方次第でいくらでも受け取り方は変えられるわけですね。
勉強も遊び同様にうまく興味を持たせることができたらいいのですが、やっぱりコツは同じですか?
「お子さん全員東大」というような方とお話することもあるんですが、そういう方と話してて全員にほぼ共通してるのが、「勉強しなさい」とは言わないこと。
「嘘でしょ?」って思いますよね(笑)
私も仕事柄そういう話はいっぱい聞くので(自分の子どもに)言わないようにしてるんですけど、なかなかやってくれないです(笑)。だから素養もあるのかな?といつも思ってしまいます。
その方たちがしているのが、読んでほしい教科書や本などを、子どもが普段通るリビングとか、廊下の棚の上などにポンと置いておくこと。その後「やって」とか「読んで」とは言わないで放置し続けると、一週間もすると子どものほうが気になって、自分から手を伸ばして開くらしいんです。
保育園でも「〇〇に向けてこんな絵本を読みたいけど、教材がいまいち」な場合もあるんですよ。そんなときは、何も言わないでまず絵本を教室のどこかに飾っておく。すると子どもの方から「あれ何?」と聞いてきます。
すぐには教えないで「内緒」と溜めて溜めて溜めて、2、3日目ぐらいに「みんなずっとここに絵本が置いてあったの知ってる?」って言うと、全員揃って「知ってるー!」って言うんですよね。
そうするともう、子どもは十分に興味を持ってくれている状態だから導入も必要なく聞いてもらうことができる。
2、3日たっても子どもが興味を示さない場合はどうすればいいですか?
自分からは手にとらない子でもやる気を持ってくれるコツが2つあります。まずひとつめは、やっぱり大人が一緒にやること。
そのとき「ここまで出来たら、ママが手伝ってあげる」という「あとから手伝うよ形式」を示す保護者が多いのですが、これはよくない。
逆に「ここまでをママが一緒にやる」、そのあと「ここから先はひとりでやってごらん」の方が子どもは絶対やるそうです。
だから「本を読みなさい」と言うのではなく、なんなら最初の数ページは親が朗読してあげて、「ここから先は自分で読んでみたら?」という方が、続きが気になるから子どもが自分で読むんですよね。
少し難易度が高いことや勉強系でやる気にさせる場合、もうひとつ有効なテクニックとして紹介したいのが、『ビリギャル』の著者の坪田先生が仰っていた「6:4」の考え方。
つまり、【難しいけどちょっと頑張って解ける問題】が4で、【比較的スラスラ解ける問題】が6だと、勉強のモチベーションが続き易いそうです。
とくに勉強が苦手とか、宿題を嫌がる子の場合はまずは10:0からでOK。
「めちゃくちゃ簡単」と言えるぐらいのものからスタートして、9:1、8:2とどんどん割合を変えて、最終的に6:4になると、勉強が好きな子になるという。
すごい!今すぐ取り入れたいですね。
やっぱり「子どもが好きなようにやらせる」ことと「勝手にやってね」というのは、まったく意味が違うということですね。取り組むようになるための準備はそれなりに必要なんですね。
はい、「自由にさせてあげる」ことと「放任」は、別物ですね。
全体を通じて言えることですが、子どもに対して「待つ」ということが重要なんですね。大人って経験で考えるからせっかちになりがちで、たとえば1日置いても本を手にとらなかったら「なんで見ないの?」って。
でも、実際幼児期って会話のペースとかもゆっくりで、言ってもすぐに反応しない時ってありますよね。
10秒、20秒後ぐらいに「分かった」っていう時ありますよね。
「待つこと」がすごく大切というのは、経験としてすごく分かってはいるものの、2、3日はなかなか待てないから……難しいです。
だから「待つこと」ができるようになるためにも、以前話した「不要な家事を手放す」という選択が重要なんじゃないですかね。時間と気持ちに余裕ができれば、その分待つこともできるじゃないですか。
なるほど。全部繋がってますね。
今の加藤さんの話を聞いて思い出したのが、僕のYouTubeチャンネルに「この方法を一回やってみたけどうまくいきません」「うまくいかなかったからうちの子はダメなんだ」というコメントがよく来るんですけど、内心「いや、一回で諦めるなよ!」っていつも思ってる(笑)。
今まで全くなかった習慣を、その日一回3分ぐらいだけやってうまくいかなかったからって、うちは「ダメだ」ってそりゃ無理でしょう。
冷静になったら分かるし、人にはそう言えるのに、自分の子どものことになると、2、3分ですら待てないんですよね。
子どもは自分とは違うし、大人でもないし、そういうものだって思っていた方がいいですね。
やっぱり「待つこと」って子育てにおける真髄というか、変な話、大人が待つことさえできれば子どもは何でもできると思いますね。それを実感してから僕自身もすごく楽になりました。
てぃ先生でもそこに行き着くまでは紆余曲折があったのですか?
全然待てなかったですよ(笑)。たとえば、お誕生日会で子どもたちが並んでいて、それぞれにインタビューをするんですよ。
「将来何になりたいですか?」と聞いた時に、恥ずかしくて答えが返ってこないと「じゃあ消防士さんにする?お巡りさんとかにする?」とこっちから聞いちゃうことが、保育士になりたての頃は多かったように思います。
本来は「あとでまた教えてね」と一言、言えばいいのに余裕がなくてそれができなかったんです。
でも、待っているとそのうち自分でマイクを持って「サッカー選手になりたい」とか言ってくれるんですよ。だから、大人が待てれば、子どもだけじゃなく、結果的に大人も楽になれるんですよね。
次回更新は8/18(水)です。お楽しみに!
第2回「子どもが意地悪したとき・されたときの対応」はこちら
今回は子どもの遊びや勉強などに親がどう関わるべきかというテーマで話していきます。
まずは子どもの遊び方について。『これまで、子どもにやらせたい遊びがあると、「〇〇しよう」と提案して仕向けることが結構多かったのですが、園の先生に「子どもの遊びを親が限定するのはやめてください」言われてやめました』というご意見。
でも、これって子どもの好奇心を広げることにもつながると思うんですけど、たまになら提案していいのか、しないほうがいいのか気になります。