教えて、てぃ先生!子どもが意地悪したとき・されたときの対応

教えて、てぃ先生!子どもが意地悪したとき・されたときの対応

2021.07.29

Profile

てぃ先生

てぃ先生

保育士/子育てアドバイザー

関東の保育園に勤める男性保育士。 ちょっと笑えて、可愛らしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は46万人を超える。 Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA/メディアファクトリー)は20万部を突破、著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)は15万部を超える大人気作に。他にも『ハンバーガグー!』『園児がくれた魔法の言葉』などを出版。 保育士として勤務する傍ら、その専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。 他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。 ちなみに、名前の読み方は「T」先生。

子育てに関するママパパのさまざまなお悩みに、現役保育士のてぃ先生とKIDSNA編集長・加藤が赤裸々にトークするKIDSNA TALK。今回は「子どもの意地悪」をテーマに、意地悪したとき・されたときの親の関わり方について、てぃ先生とトークします。

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KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

今回はとくにたくさん集まった「子どもの意地悪」というテーマです。意地悪をした時とされた時がありますが、まず自分の子どもが意地悪した時はどのように親たちは対応するべきですか?

てぃ先生
てぃ先生

年齢によって変わってくる部分もありますが、一貫して言えることは「お父さんお母さんは悲しい」というメッセージを伝えたほうがよいということ。

意地悪をした子に対して「あなたがよくない」「あなたが悪い」で終わりになってしまうと、ほとんどの場合、子どもには響かないんです。

ところが、ここに「ママはちょっと悲しかったな」とか「パパは嫌だったな」という親が主語のメッセージをプラスすることで、子どもには響きやすくなります。

これは【YOUメッセージ Iメッセージ】とも言いますが、YOUは「あなたがしたこと」で、I(アイ)は「私はこう思った」「こう思ったからやめてほしい」という自分自身の感想です。

このI(アイ)メッセージの方をとにかく意識するとうまくいきやすいといわれていますね。

KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

たしかに、親って「(そんなことをしたら)友達が悲しむでしょ」という方向にいきがちです!YOUメッセージのみだと責められているように感じてしまいますね。

てぃ先生
てぃ先生

実はその「相手の立場に立って物事を考える」っていうのが、未就学の場合は特に難しいんです。

たとえば、「赤い家と青い家」というすごく有名な話があります。猿がオオカミに追いかけられて逃げてきたところに、赤い家と青い家があって、猿は赤い家に入るんですよ。

その後オオカミがやってきて、「猿はどっちの家に入った?」と尋ねるんです。4、5歳ぐらいになると「青い家に入った」と猿を守るために嘘をつけるんですよね。

でも3歳より下の子たちって「赤い家に入った!」ってそのまま真実を言っちゃうんですよ。

これがまさに、「相手(猿)の立場に立って物事を考えられるか、考えられないか」なんですよね。

つまり、3歳前後までのお子さんたちに対しては、「そんなことしたらお友達がかわいそうでしょ」って言っても「だって僕はかわいそうじゃないし」「そんなこと言われても分からない」ってなっちゃうんです。

でもこの子たちも「ママが悲しい」だとママのことが大好きだからやっぱ悲しいんですよ。

だから、この辺の年齢を意識しつつ、伝えてみるといいかもしれないですね。いずれにしてもその子だけを責めるのは良くないと思います。

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KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

次は、おもちゃで遊んでいたらほかの子に「一緒に遊ぼう」とか「貸して」と言われたけど、「嫌だ」と断ったり「1人で遊びたい」とおもちゃを貸さない時にどうするかという問題。よくありますよね。

私含め、親としては「意地悪しないで一緒に仲良く遊んだら?」と言ってしまうと思うんですけど、てぃ先生からは「子どもが集中しているときは止めない方がいい」という話も以前伺ったことがありますよね。この場合は意地悪にあたるのでしょうか?

てぃ先生
てぃ先生

そのケースでいえば意地悪じゃないと思いますね。だって今自分で遊びたいんだもん。自分が今使っているおもちゃを人に貸すって、もうそれはもう、僕は完全に大人の理想の話だと思いますね。

たとえば、自分が好きなYouTuberの動画を見ていて、15分の動画で7分ぐらいまで見た時に「ねぇスマホ貸して」って言われたら意地悪でもなんでもなく嫌じゃないですか。

KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

それは「いやいや貸せないよ」ってなってしまうかも(笑)。

てぃ先生
てぃ先生

強いていうなら、その「貸して」「どうぞ」は家の中で練習しておくべきだと思います。たとえば1人っ子だった場合、おうちにはその子しかいない訳ですから。

お父さんお母さんが子どものおもちゃを「貸して」とはやらないですよね?つまりその子は、モノを貸し借りするって本番でしか機会がないんですよ。

練習してないことを本番でいきなり「ちゃんと貸してあげなさい」って言われても、実践は難しいですよね。だから、おうちで「今〇〇君が使っているその新幹線使いたいだけど貸してくれる?」というのを経験しておけば、本番で貸せる可能性は高くなりますね。

「パスの練習もしてないのにいきなり試合で上手なパス出せって言われても不可能」という話だと思いますよ。しかもそれでうまく出来なかったら、怒られるんですからね。

KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

耐えられないですよね。子どもにはそれを平気で言ってしまってところが自分もあり、反省しました。

てぃ先生
てぃ先生

実は人の心を理解できてないのは、大人のほうかもしれないっていう。「自分ができるからできるでしょ」みたいなところってあったりするし。

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KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

次は「まずは子どもに意地悪をした理由を聞いて、気づかずにやってしまったことなら『それはダメだよ』と教え、分かったうえでしていたなら怒ります」というご意見。「無意識か、意識しているか」で対応を変えることはどうなんでしょうか。

てぃ先生
てぃ先生

たとえば、すごく硬いブロックを持ってバンって人の頭をたたいたとして、それって悪意を持ってやったかどうかとか、意識、無意識関係なく、行為自体がよくないし、やってはいけないことですよね。

KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

「わざとやったんじゃないんだよね?」「わざとじゃないからしょうがないよね?」「許してあげようね?」って親がなだめるシーンって結構あると思います。

てぃ先生
てぃ先生

「わざとじゃないよね」はいいと思いますが、その後にちゃんと「でもそれは良くないことだよ」と伝えるのがいいですね。

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KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

最後は、これも悩んでいる方が多かったのですが、わが子が意地悪された時に親はどう対応したらいいですか?

てぃ先生
てぃ先生

ケースバイケースですけど、意地悪した側の時もそうだし、された側の時も、僕はお父さんお母さんがもっと前に出ていいと思いますね。

子どもが意地悪をしちゃった時、子どもがうまく謝れない時は、子どもの代わりに「〇〇君、〇〇ちゃんがたたいちゃってごめんね」とママが謝ったっていいと思いますよ。

意地悪された時も最終的にその子どものことを守ってあげられるのって、保育士でもなく本当に親だけなんですよ。未就学児ならなおさら、少なくともその子が自立するまで「100%味方だよ」と言ってあげられる存在ってお父さんお母さんだけなんですよね。

KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

子どものことにいちいち親が介入しちゃいけないのかな?って変に気になってしまいますよね。

てぃ先生
てぃ先生

お父さんお母さんが自分が意地悪をされてる時に何の対応もしてくれなかったら、単純に悲しいじゃないですか。

だから意地悪された時に、子ども自身が何も言い返すこともできない状況なら、「〇〇君はすごくいやがってるからやめてあげて」と相手の子どもなり、親なりに伝えて守ってあげた方が絶対いいと思います。

KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

それでいうと、これもすごくよくあるエピソードなんですが、子どもが友達におもちゃを横取りされたときも同様の対応でよいのでしょうか。

「まずは『いやだったね』と子どもの気持ちを受け止めつつ、『お友達も遊びたかったんだよね』と友達のことも否定しないように話をするという対応はよいでしょうか?」という質問がきています。

てぃ先生
てぃ先生

相手の子のこともちゃんと考えてるっていうのは、すごくいいと思う。「あなたもこうしたかったよね。でも向こうにもこういう気持ちがあった」というのは伝えた方がいいでしょうね。

今の話でふと思い出したんですけど、僕が小学生の頃、地元の百貨店のおもちゃ売り場にゲームを試しにできるコーナーがあって、僕も結構並んで待ってたんですよね。

あとひとり、その子がどいたら次は僕の番というときに、前の子がずーっとやっていて替わってくれなかったんですよね。

そういうときに僕は「替わって」と言えない子で、おじいちゃんおばあちゃんが待ってくれてるから申し訳なくて、もう諦めようかなって思ったんです。

そしたらおばあちゃんが入ってくれて、その子に対して「ゲームはすごく楽しいよね。でも後ろで待ってる子がいるからそろそろ替わってあげて」と言ってくれたんですよ。

それでその子は譲ってくれたんですが、それ以上に、おばあちゃんが自分を守ってくれたことが嬉しくて、めちゃくちゃふたりのことを好きだなと思いましたね。

そういう意味でもやっぱり、子どもを守ってあげれるのって家族だけなんじゃないかなと思います。34歳になったいまでもいまだに思い出すと泣いてしまうくらい(笑)、嬉しいエピソードです。

KIDSNA編集長加藤
KIDSNA編集長加藤

子どもから「言わないで」って言われるまでは言っていいんですね。

てぃ先生
てぃ先生

年齢や性格的なものもあるから何歳までとは言えませんが、自分で言えるようになるまでは親は絶対に間に入っていいと思いますよ。

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