子どもの花粉症を見逃してはいけない…「長年治療を受けないと重症化」根治が期待できる早期発見のポイント
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子どもは何歳から花粉症になるのか。耳鼻咽喉科専門医の村川哲也さんは「早い子であれば2~3歳で発症する。軽症のうちであれば比較的短い治療期間で根治することが期待できる。そのためには見過ごさないことが大切だ」という――。 ※本稿は、村川哲也『子どもの一生を決める花粉症対策』(小学館クリエイティブ)の一部を再編集したものです。
2〜3歳で花粉症になることもめずらしくない
子どもの花粉症は年々増えていて、スギ花粉症の年齢別の発症率は5〜9歳で30.1%、10〜19歳で49.5%とする調査結果があります(*1)。この調査結果を見ると、19歳以下の半分近くが花粉症にかかっていることになりますし、飛散量が増加傾向にある中で今後、子どもの花粉症患者はどんどん増えていくと考えられます。
*1 松原・他.(2020).鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較).日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
生後間もない乳児は外に出ることがあまりなく、浴びる花粉も少ないため、花粉症になることはほとんどありません。ところが、外に出かけられるようになると、花粉を浴びる機会が増えるため、花粉症を発症するリスクが高くなり、早い子であれば2〜3歳で発症します。
花粉を早いうちからたくさん吸っていると重症化しやすくなります。
たとえば、小学校に上がる前は花粉症ではなかったにもかかわらず、小学校高学年になると重症化して見つかることもあります。本州、四国、九州の場合、スギ花粉はどこでも飛んでいて、逃がれることはできません。知らず知らずのうちに花粉症になっており、気づかずに症状が進行していることがあるのです。
子どもの花粉症は見過ごされやすい
子どもの花粉症で注意が必要なのは、花粉症であることを見過ごされてしまう点です。スギやヒノキの花粉が飛散する時期は季節の変わり目で、風邪の流行時期と重なります。
そのため、くしゃみや鼻水が出ていたとしても、「風邪だろう」と親御さんが判断してしまうことがよくあるのです。
さらに、小さいうちは、症状を親御さんに具体的に訴えることもないので、花粉症であるのを見過ごされやすいのです。
花粉症は軽症のうちであれば、比較的短い治療期間で根治することが期待できます。
ところが長年治療も受けないまま花粉を浴び続けると重症化します。
症状が重くなると、花粉シーズンは常に鼻づまりや鼻水、くしゃみが出て、つらい思いをすることになります。常に鼻がつまっていると、頭がぼーっとして集中力も欠きますし、夜に鼻づまりやくしゃみが出ると、よく眠ることができず、日中に眠気に襲われ、授業をまともに受けられなくなります。
子どもの異変には親御さんが気づいてあげないといけません。特に、春や秋に熱がないのに鼻がつまっていたり、頻繁に目をこすっているなと思ったら、すぐにでも耳鼻咽喉科を受診しましょう。