だから「斎藤元彦」「石丸伸二」は誕生した…「想定外の選挙結果」を次々に生んだ「SNS選挙」の本当の問題点
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東京都知事選に出馬した石丸伸二氏や斎藤元彦兵庫県知事をめぐっては、SNSを使った選挙運動が問題視されている。弁護士の郷原信郎さんは「インターネット選挙が解禁されて10年あまりたつが、規制が追いついていない。このままでは、SNSの専門業者に多額のカネを落とした候補者が勝つという歪んだ状況が作られてしまう」という――。 ※本稿は、郷原信郎『法が招いた政治不信 裏金・検察不祥事・SNS選挙問題の核心』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
SNSが選挙結果を動かす時代に
自民党が派閥政治資金パーティーをめぐる「裏金問題」で、国民の厳しい批判を受け、2024年4月の衆議院3補選で全敗(うち2選挙区では公認候補者を立てられず)するなど、大きく支持を落とす状況で行われた7月の東京都知事選では、元安芸高田市長の石丸伸二氏が165万票を超える大量得票で2位となり、
11月の兵庫県知事選では、県議会で不信任決議案が全会一致で可決されて失職した斎藤元彦氏が再選、さらに、名古屋市長選でも、4党相乗りの大塚耕平氏を破って減税日本の広沢一郎氏が当選するなど、予想外の選挙結果となる事例が相次ぎ、その度にSNSが選挙に与える影響が注目された。選挙でのSNSの活用が公選法違反の刑事事件で捜査の対象となる事例も相次いでいる。
兵庫県知事選挙をめぐっては、私と神戸学院大学教授の上脇博之氏による斎藤知事らを被告発人とする買収罪についての告発状が、神戸地方検察庁と兵庫県警察本部に受理され、稲村和美候補に関して大量のデマ投稿が行われたことについての虚偽事項公表罪等の告発状(被疑者不詳)が兵庫県警に受理されている。
PR会社へのSNS運用委託は買収罪にあたる?
12月2日に提出した告発状で、斎藤知事らについて公選法違反(買収罪)の嫌疑の根拠としたのは、
(1)11月20日に、PR会社の代表取締役社長が、インターネットのブログサイトnoteに行った投稿の内容によれば、PR会社の社長として、同社の社員ともに、斎藤氏の知事選挙においてSNS広報戦略を全面的に任せられてその運用を行ったものと認められること
(2)社長のnote記事投稿の信用性が、投稿前後に斎藤氏の選対の主要メンバーであった市議会議員らのX投稿によって裏付けられていること
(3)斎藤氏に代わって行われた代理人弁護士の会見での、PR会社に対する71万5000円の支払を認めた上での「PR会社にはポスター制作等を依頼しただけでSNS運用を任せておらず、PR会社社長は斎藤氏のPR会社訪問後、個人のボランティアとして選挙に関わっていたとする説明」が不合理であり信用できないこと
の3点であった。
これらにより、代理人弁護士が支払を認めた71万5000円は、PR会社へのSNS運用という選挙運動の対価を含むものと判断したものだった。