学校では教えてくれない
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子どもをとりまく環境が急激に変化し、多様化が進む未来に向け、これまで学校教育では深く取り扱われなかったジャンルに焦点を当て多方面で活躍する人々にインタビュー。言葉は知っているけど子どもにどう伝えたらいいか?と悩むママに向け、専門家や当事者の話を通して、正しい知識や子どもとの接し方などを発信していきます。
2024.05.09
人気テレビ番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の放送作家として、国民的アイドルグループに伴走してきた鈴木おさむ氏が、小説『もう明日が待っている』(文藝春秋)を上梓した。本書の第3章「世界で二番目にスキだと話そう」より、メンバーの結婚をめぐるエピソードを紹介する――。
ライブの時間が近づいてくる。
メンバーは誰一人としてタクヤに結婚のことを言わない。大事なのは今日のライブを成功させること。
ライブ会場の開場が始まり、お客さんがどんどん入ってくる。僕はお客さんがどんなテンションなのだろうと思って、こっそり見に行った。すると、会場のお客さんの中には、その日の新聞を握っている人もいた。結構いたのだ。
もしあの人たちがライブ中にあの新聞を両手で上に掲げたらどうなってしまうんだろう?
あらゆるワーストケースが頭に浮かぶ。
僕以上に、それを想像しているのは、リーダーでありメンバーだっただろう。リーダーはきっとあらゆる事態をシミュレーションしたはずだ。
ライブ中にファンが結婚のことを口にしたり叫んだりした時にどう対応しようか? 考えていたはずだ。
ライブの開始時間が近づくと、スタッフの緊張感も高まっていく。
誰も経験したことのないライブが始まる。
あのラブソングをファンはどんな思いで聞くのだろう……。
ライブが始まった。
何も知らない人が見たら、とても盛り上がったライブに映っただろう。
でも、いつもは120%のところまでブチ上がっていくのだが、その手前で止まっている気がした。
メンバーもあらゆる事態に備えながらやっているし、あらゆる場面でライブを爆発させるタクヤも、この日はその集中力に限界があったはずだ。なにより盛り上がっているはずのファンのどこかに迷いと悩みがあった気がした。
どんなに歓声を上げても一緒に歌っても、一つになりきれない何かがあった。
タクヤはどうするんだろう?
5人はどうなるんだろう?
私たちは何を信じたらいいんだろう?
そして、この迷いの中では、大ヒットまっただ中の、ライブで一番聞きたいはずの極上のラブソングを、純粋な気持ちで聞ききれない。
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