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子どもの自己肯定感を高める5つのポイントと大人の関わり方、チェックリストや絵本も
自己肯定感が大切だといわれていますが、子どもの自己肯定感はどのように育まれるのでしょうか。自己肯定感を高めるための保護者の関わりや、自己肯定感が高い子ども、低い子どもそれぞれの特徴、チェックリストなどで、子どもの自己肯定感について詳しく見ていきましょう。また、子どもの自己肯定感を高める絵本や、体験談も紹介します。
自己肯定感とは
自己肯定感とは、自分自身に対する肯定的な評価や信頼感のことです。自己肯定感は人格形成の過程で形成されるため、子どもの自己肯定感を高める関わりをすることはとても大切です。
保護者を始めとした家族や身近な人々からの肯定的な関わりや、子ども自身の成功体験が自己肯定感を高める一方で、否定的な評価や批判などは子どもの自己肯定感を下げてしまうことがあります。
自己肯定感が高い子どもは、自分を肯定して捉えることができるため、ストレスに強いともいわれています。子ども時代に自己肯定感を育むことで、健やかな心が保たれた人生の基盤を築くことができるかもしれません。
子どもの自己肯定感が形成される年齢
子どもの自己肯定感は何歳頃から形成されるのでしょうか。
自己肯定感は成長の過程で形成されます。一般的には、自己肯定感が最初に形成されるのは幼児期とされ、まずは自分の名前や性別、顔や体の特徴、好きなものなどから少しずつ自分を認識していきます。自分を捉える過程で、保護者を始めとした身近な人から肯定的な対応を受けることで、子どもは自己肯定感を高めていくのです。
小学校に上がると、クラスメイトや先生、上級生、習い事を通してできた友だちなど、関わる人が増え、子どもの世界も広がっていきます。その中で、自分の得意なことや能力を認めてもらえることで、子どもは自己肯定感を育みます。
しかし、大切なことは、自己肯定感は一度形成されたら終わりというわけではありません。成長や経験を通じて、人生のどのタイミングからでも自己肯定感を高めることは可能です。
自己肯定感が高い子どもの特徴
自己肯定感の高い子どもはどのような特徴を持っているのでしょうか。ポジティブなサイクルが生まれる過程を見てみましょう。
自分を認め、自信を持っている
自己肯定感が高い子どもは、自分自身に対して自信を持っています。自分の強みや能力を自分だけの基準で認めることができるため、他人と比較して落ち込むことがないまま、自分に対してポジティブな感情を向けることができるのです。
ストレスに強く、前向きに取り組める
自分自身に対する肯定的な評価は、外部からの刺激や言動から自分を守ることができるため、ストレス耐性が高いことも、自己肯定感の高い子どもの特徴です。
ストレスに強いことで、失敗を失敗と思わなかったり、失敗も含めて自分を肯定したりすることができるため、次のステップに向けて前向きに取り組むことができます。
好奇心が旺盛で、社交性が高い
自分軸を持っている自己肯定感が高い子どもは、外部への関心が高く、好奇心が旺盛です。そのため、興味や関心があることに積極的に取り組んだり、新しい知識を得ることにもおもしろさを見出します。
自分の興味関心に関連する人、もしくは人自体に興味がある子どももいます。自分からコミュニケーションをとろうとするため、社交的な子どもが多いことも特徴の一つです。
自己肯定感と成績の関連性は一概には言えませんが、自己肯定感の高い子どもは探求心があり、学習意欲も高い子どもが多いようです。
自己肯定感が低い子どもの特徴
自己肯定感が低い子どもには、以下のような特徴が見られることがあります。
他人と比較し、自分に自信が持てない
自己肯定感の低い子どもは、本来持っている能力よりも低い評価を自分自身で下してしまいます。評価基準を他人との比較に置いてしまうため、自己成長に気が付きにくく、劣っている点に目が向いてしまい、自分に自信が持てなくなってしまうのです。
ストレスに弱く、落ち込みやすい
外部の刺激や言動に影響を受けやすい自己肯定感の低い子どもは、ストレス耐性も低くなりがちです。少しの失敗を大きく受け止めてしまい、自分を責めて落ち込んでしまうことが多いかもしれません。
自責の念を抱きやすいため、自己評価が厳しく、自分に対して否定的な感情を向けてしまうという特徴も持っています。
孤独や孤立感を感じやすい
自己肯定感が低い子どもは、自分自身に対する不安や緊張感が高く自信が持てないため、無意識に周囲の人とのコミュニケーションを控える傾向があります。そのため、友だちや周りの人との関係性が希薄になり、孤独や孤立感を感じやすい傾向があるようです。
保護者の自己肯定感と子どもの関係
保護者の自己肯定感は、子どもに大きな影響を与えることがあります。
一般的には保護者の自己肯定感が高いほど、子どもの自己肯定感も高くなる傾向があるとされています。保護者が自分自身に対して自信を持つことで、子どもが自己肯定感を高めるためのモデルとなるでしょう。
また、保護者の自己肯定感が高く物事に対して前向きな捉え方ができていると、子どもの能力や価値を丸ごと認めることができます。子どもは自信を持ちやすく、勉強や運動、自分の興味関心を掘り下げることができるため探求心も育まれます。
一方で、保護者の自己肯定感が低い場合、自分自身に対して否定的な感情を持ってしまうため、子どもも同じように自分を否定的に捉えてしまいます。そのため、ストレスを感じやすく、時に不安定な行動をとることがあるかもしれません。
保護者の自己肯定感は、子どものさまざまな面に影響を与えることがあるため、保護者は自分自身に対して肯定的な態度を持つことが大切です。子どもの自己肯定感を高めたいと思ったら、まずは保護者自身の自己肯定感を高められるとよいかもしれませんね。
自己肯定感を高める5つのポイント
子どもの自己肯定感を高めるためには、どのような関わり方をすればよいのでしょうか。ポイントは以下の通りです。
1.肯定的な言葉をかける
言葉がけは自己肯定感の土台となります。子どもの行動をよく観察し、子どもの言葉にしっかりと耳を傾け、褒めたり認めたりすることが重要です。これによって、こどもは自分に自信を持つことができます。
また、人に褒められることの喜びや、肯定的な言葉のかけ方を知っている子どもは、他の子どもに対しても肯定的な言葉をかけることができるでしょう。他者とのコミュニケーションの機会が増え、社交性を高めることにもつながります。
2.失敗を受け止め、挑戦する機会を与える
成功体験を積むことは、自己肯定感を高めるために重要です。成功を体験するためには、まずは挑戦をするところから始めなければなりません。また、挑戦には失敗もつきものです。
失敗を受け止め、次のチャレンジに向けた学びの機会と前向きにとらえることが大切です。一方で、失敗したときに子どもを責めてしまうと、自己肯定感を低下させることがあるため注意が必要です。
また、新しいことに取り組む際は、高すぎたり低すぎたりする目標を設定するのではなく、子どもの能力に応じた最適な目標を定め、達成感を味わわせることも大切です。
3.他の子どもや兄妹と比較しない
他の人と比べることは、自分の外側に評価軸を置くことになります。他人と比較することで、自信をつけるケースもありますが、自分に対する自己否定が生じることもあるでしょう。
保護者は他の子どもや兄妹と比較することなく、その子ども自身の成長を見つめ、認めることが重要です。子どもが自分自身を客観的に見る目が育まれ、自分の強みを肯定的にとらえ、ポジティブな自己イメージを持つことにつながり、自己肯定感が高まります。
4.子どもに選択してもらう
何かを選ぶときは、たとえ小さなことでも子どもに選択してもらうとよいでしょう。子どもは自分で決めたことができたときに達成感を得るため、自己決定力の向上につながります。選択を繰り返すことで、自分の意思や趣味嗜好がはっきりと形作られていきます。
自分には「選ぶ権利」があると知ることで自己肯定感を高めることにつながると同時に、その選択には責任が生じることを学び、責任感も養われるでしょう。
5.健康的な生活習慣を身につける
自己肯定感を高める関わり方ができていても、基本的な生活習慣が整っていなければ十分とはいえません。生活習慣と自己肯定感は密接に関わっているとされるため、十分な睡眠や食事、運動や遊びなど、健康的な生活習慣を身につけることも、子どもの自己肯定感を高める大切なポイントです。
子どもの自己肯定感チェックリスト
以下の自己肯定感を測るチェックリストを元に、質問に対して子どもが当てはまる度合いを5段階で評価してみましょう。数字が高いほど自己肯定感が高いといえますが、あくまでも目安です。
このチェックリストは参考にとどめ、目の前の子どもとのコミュニケーションを通して、自己肯定感がどのような状態にあるか確認してださい。
- 自分の見た目や性格に対して、肯定的な評価をしている
- 得意なことがある
- 失敗を認め、受け入れることができる
- 自分の限界や能力を適切に理解している
- 自分に対して否定的な言葉を発することはない
- 自分の考えや感情を表現することができる
- 何かを選ぶときに自分で選びたがる
- 他の子どもや兄妹と比較することはない
- 毎日が楽しいと感じる
- 寝早起きなど、基本的な生活習慣が身についている
子どもの自己肯定感を高めるおすすめの絵本8選
子どもの自己肯定感を高めるためには、直接的な関わりが大切ですが、絵本を読むこともおすすめです。絵本を通して子どもの自己肯定感を高められるヒントがつかめるといいですね。
わたしとなかよし
色彩豊かなイラストと、ポジティブなメッセージで世界中で人気の『わたしとなかよし』は、自分を大事に思うことの大切さを教えてくれます。お絵描きするとき、自転車をこぐとき、本を読むとき、「わたしはいつも、わたしといっしょ」。
自分を愛することから自己肯定感は育まれます。大人も子どもも楽しめる絵本です。
たいせつなきみ
心を癒すやさしいメッセージが詰まった『たいせつなきみ』。へまをしてばかりの木の人形パンチネロは、仲間からばかにされ、自信をなくしてしまいます。そんな自分を大切だというある人物との出会いが、パンチネロに勇気を与えます。
ありのままの自分が愛されているんだと確信することができる絵本です。
あなたの すてきな ところはね
ページをめくるたびに子どもの自己肯定感を高める魔法のことばに出会える『あなたのすてきなところはね』は、子どもの何気ない言葉や行動を愛しく思える一冊です。
普段はなかなか伝えられない子どもへの思いも、絵本を通してなら伝えられるかもしれません。
どんなにきみがすきだかあててごらん
チビウサギとデカウサギが織りなす、心温まる物語『どんなにきみがすきだかあててごらん』。二匹は腕を広げたり、背伸びしたり、飛び上がったりしながら、「ぼくはきみのことこーんなに好きだよ」と、どんなに相手のことが好きか伝え合います。
思わず目の前の子どもに「こんなに好きだよ」と伝えたくなる絵本です。
ええところ
主人公のあいちゃんは、背が低くて、力が弱い。走るのも遅くて、100点をとったことがありません。「わたしって、ええところひとつもないなあ」と言うあいちゃんに、親友がかけてくれた言葉とは。
元小学校教諭の著者が描く『ええところ』は小学校1年生の道徳の教科書にも掲載されています。
ぼくのへや
“きれいずき”というイメージにとらわれ、断捨離をしたアライグマの主人公。部屋はきれいになったものの、どうしても落ち着かず、自分のものを取り戻す旅に出ます。天国、深海、宇宙……と旅先でひとつずつ自分だけの宝物を見つけていく素敵な物語です。
『ぼくのへや』は自分に自信が持てなくなったときに、手に取ってほしい一冊です。
ぼくのニセモノをつくるには
自己肯定感が高い人は、自分のことを客観的に見ることができる視点を持っています。自分を客観視するには、まず自分のことを知らなくてはなりません。
ヨシタケシンスケさんの絵本『ぼくのニセモノをつくるには』は、お勉強にお手伝いにやりたくないことが多い主人公が自分のニセモノを作って、代わりにやってもらうことを思いつきます。ニセモノを作るためには、少しめんどうでも自分のことを知る必要があり……。
海のアトリエ
豊かな記憶が今の自分を支えるということを教えてくれる『海のアトリエ』。女の子が海辺のアトリエに住む絵描きと過ごした一週間の思い出が、やわらかな絵と文でつづられています。
「このことをずっとおぼえておきたいって、そんな日が、きっとあなたをまってるわ」。子どもとのかけがえのない時間を過ごす大人にとっても、きっと大切な一冊になることでしょう。
「子どもの自己肯定感」に関する体験談
子どもの自己肯定感については、多くの方が関心を寄せているようです。体験談を教えてもらいました。
他人や何かと比較しない。「男の子だから/お兄ちゃんだから」「〇歳だから/〇年生だから」などは言わないようにしています。自分軸で物事を考えてほしいので「基準」や「普通」を設けないよう意識してます。
子どもが「僕バカだから」と言っていた時はショックでした。「他の子と比べることないよ」と伝えているつもりでしたが、わかりやすく点数で評価されてしまうテスト結果を見て、自分を否定する言葉をかけてしまったようです……。
下がってしまった自己肯定感を回復させるためにも、勉強のフォローが必要だなと感じています。
娘の自己肯定感は高い方かもしれません。たくさん褒める、毎日ハグをする、子どものことは子どもに決めてもらう、というマイルールをなるべく守っています。
ランドセルを選ぶときに「何色を選んでも絶対に口を出さない」と決めて買いに行きました。水色を選んだのですが、他の子とかぶらないので気に入っているようです。選択させることも子どもの自己肯定感につながると感じます。
まずは保護者の自己肯定感を高めよう
子どもの自己肯定感を高めることで、子どもは自信を持ち、さまざまなことに挑戦ができるようになり、自己成長を感じることによって、さらに自己肯定感を高める……といいサイクルを生むことができるでしょう。
子どもの自己肯定感を高めるポイントで見てきたように、他の子どもと比較せず、肯定的な言葉をかけることが大切ですが、それを行うためには保護者の自己肯定感が高い状態を維持することが重要です。
子どもの自己肯定感を高めたいと思ったときは、まず、保護者の自己肯定感を高めることから始めるといいかもしれませんね。
以前読んだKIDSNAの記事で「絵が超上手な人もいるし、走るのが超速い人もいるし、性格が超優しい人もいるけど、『絵がけっこう上手で走るのがけっこう速くてけっこう優しい人はあなただけだよ』とかけ算で褒めるのがいい」と書いてあり、子育てをする上でかなり意識しています。
普段は自己肯定感を下げるような態度や言動をとってしまうこともありますが、今のところは意外と子どもの自己肯定感は高めだと思います。