自分を好きになれない人に贈る「セルフラブ」の重要性【藤野智哉】

自分を好きになれない人に贈る「セルフラブ」の重要性【藤野智哉】

2021.12.15

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「KIDSNA TALK」第4弾は、著書「「いい加減」の処方せん」が話題の精神科医・藤野智哉先生をお迎えして、自分を愛せるようになる「ポジティブ思考」を身に着ける方法ついてトークします。

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加藤
加藤

今回のテーマは、「自分が好きな自分になる」ということですが、自分のことを好きになる大切さとはどういうことでしょうか。

藤野先生
藤野先生

頑張りすぎる人は、自分に対してとても厳しく、否定的になりがちです。他者から見ればできていることも「できていない」と思いがちで、自分を責め続けてしまうんです。

つまり、自分が嫌いな人は、自分の敵が常に隣にいるようなものです。だから、何かに失敗すると「なんで失敗したんだ」「もっとこうしたらよかったのに」と、自分を批判する自分が四六時中横にいて自分を責めます。そうなると、辛さは増して負のループです。

逆をいえば、自分は誰よりも近くにいる存在ですから、自分を好きになることは自分の味方を作ることになるんです。

だから、なにか失敗しても「仕方ないよ」「次がんばればいいよ」と自分で自分を励ます「自己治癒」ができればこんなによいことはありません。

例えば、「彼氏が浮気をしてるんじゃないか」と不安で、束縛してしまう人がいますが、その根底には「自分が愛されるに値する人間なのか」という不安があるんです。だから、「私を愛していないのでは?」と疑ってしまう。

一方、自分のことが好きな人は「自分は愛されるに値する人間だ」と思っているので、あまり相手を疑うことはしません。

だからこそ、自身を愛することは様々なトラブルを回避する上でも重要なのです。

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加藤
加藤

では、「自分のことを好きになる」にはどうすればよいのでしょう。

藤野先生
藤野先生

手法のひとつとして、自分をよく知ることから始めましょう。

人を好きになるとき、この人は「どんなことがすき」で「どういうときに辛さを感じるのか」「今、どういう状況なのか」を知ろうとしますよね。

そして、多くの人が自分の好きな人には嫌なことをしないわけですが、自分に対しては無理を強いたり、平気で嫌なことをするんです。

つまり、自分に対してのケアを怠り、自分の嫌なことや辛さに対する限界をわかっていない場合があります。

「人を愛するように自分のことを愛する」ためには、自分は「どんなことを辛いと感じ、どうケアをすればよいのか」を知って、好きな人にするように、よいところを探してほめてあげる。そして、「こんなこともできるし、頑張っている」とまず、自分を認めてあげることが大切です。

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加藤
加藤

私も仕事上の自己紹介ではすらすらと自分のことを話すことができるのですが、プライベートではなかなかできません。だから自分のことがあまり見えていないのだと思いました。自身の変化を知るためにできることはありますか?

藤野先生
藤野先生

たとえば日記をつけるなどして形にするのもすごくいいですね。ただ、これも捉え方次第で、日常での自己紹介はそれほど大切ではないですから、仕事上できちんと自己紹介ができるというその事実を、まず認めてあげることを大事にしてあげてください。

加藤
加藤

考え方をちょっと考えるだけでも変わりますね。

藤野先生
藤野先生

僕は図々しいくらいにそういう考え方をします(笑)。そういう癖付けで、無理にでも自分をポジティブにすることが大切です。

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加藤
加藤

大人になると、考え方の癖を変えるのはなかなか難しいので、小さい頃からポジティブな考え方を身に着けることが重要ですね。

藤野先生
藤野先生

大人になるといろんな環境因子が関わってくるので、考え方の癖を変えるのは簡単ではありませんが、お子さんの場合、ほめてあげることはとても大事です。

ただ、今ポジティブにできていない人も、家庭環境がすべての原因ではないという点は、強調しておきます。

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加藤
加藤

次に、「自然体で生きることの重要性」についてお伺いします。

藤野先生
藤野先生

自然体で生きるのは、なかなか難しいことですが、力が入った状態というのは長くは持ちません。力のかかったところが劣化して壊れてしまうのは、人間も同じです。

つまり、自然体でない状態は、外的な力によってストレスがかかっている状態です。そして、気持ちが張り詰めているときは概ね肩も凝っていて、顔もカチコチで交感神経が働いています。

「ストレスフリー=自然体」であることに越したことはありませんが、社会で生きている上でずっと自然体でいることはできません。

だからこそ、体をゆるめておく心がけが大切になります。

体をゆるめることで副交感神経が活発になり、気持ちもリラックスします。だから私は、常にストレッチなどを行い、インタビューの場などでは筋弛緩した状態で話すようにしています。

何ごとも、リラックスした状態で考えるのと緊張した状態で考えるのでは、結果も変わってきます。

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加藤
加藤

著書にも、「よい睡眠をとるためには、体を動かすことと休息が大事」と書いてありましたが、すべてつながるんですね。

藤野先生
藤野先生

体と心のつながりは、「心身相関」と言いますが、ストレスが溜まるとお腹を壊したり、調子が悪くなったりします。また、辛いときには睡眠も悪くなります。

逆に、睡眠がしっかり取れると頭の中が整理され、楽になる人もいます。

「睡眠と食事」は、すべての基本ですから普段、疎かになっている人は、まず睡眠と食事を大事にしてほしいです。決まった時間に食事をとって、睡眠をとる。それだけでも辛いと感じる考えが好転する方もいます。

きちんと三食を取って睡眠も十分な方は、実は大変少ないです。ぜひそういうことからはじめてみてください。

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加藤
加藤

寝不足が続くと、マイナス思考になりますよね。

藤野先生
藤野先生

やはり睡眠が不足すると思考力が落ちますし、悪い方向に向かってしまいます。

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加藤
加藤

藤野先生は、筆記開示することをすすめられていますが、どうして筆記開示が自分にとってよいことにつながるのでしょうか。

藤野先生
藤野先生

私たちは、未知の物事に遭遇したとき不安が生まれます。だから、不安の正体を掴みにいかなければいけないわけですが、頭の中で考えていると正体が掴みきれないままもっと恐ろしくなります。そして何が不安かもわからないまま、さらに不安が増します。

でも書き出して整理してみると、意外に「これは大したことないんじゃないか」「これはこうしたらいいよね」と、解決策が見えてきたり、具体的に「これは、いつ、こうしたらいい」と見えてくることもあります。

不安の正体が見えれば、自分の経験値を振り返って実は「些細なことだ」と思えたりします。書き出して不安の中心で想いを巡らしているところから一歩抜け出し、俯瞰することがすごく大事です。

加藤
加藤

頭の中だけで考えていると、不安がどんどん膨らんでしまいますものね。

藤野先生
藤野先生

特に、これまで人に話して解決していた人は今、そういうことができなくなってきているので、代用が必要です。

元々、自己解決できている人は、日記などを書いていることが多いですが、わざわざ日記等を書かなくても、SNSに書き出してもいいですし、ラインに記してもいいわけです。

一番自分にとってストレスフリーな形で、自分の整理ができるのが望ましいです。

中には、イラストに書くという人もいます。「感情」に『怒りくん』など名前をつけてイラストにするという方法もあって、「この人に対して、すごく腹が立つ」など視覚化することも結構大事ですね。

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加藤
加藤

少し話がズレますが、「喜怒哀楽が激しい人」がいますが、そういう人はどうでしょう。

藤野先生
藤野先生

それがなかなか難しくて、喜怒哀楽を出してぶつけてくる人は、実は自己整理ができているわけではないんです。

例えば、怒りをぶつけるのはその人のストレス解消にはなっているかもしれませんが、周りはちょっと困ってしまいます。しかし、感情を隠さないことは、本人にとってはストレスフリーなのかもしれないですね。

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加藤
加藤

最後に、自分のことが好きになれるティップスを教えてください。先生ご自身はどうですか?

藤野先生
藤野先生

きちんと証明されているものは少ないと思いますが、まず「自分を知る」という方法を最も推奨しています。

そして私は、「すぐ自分を甘やかす」「できることを数え上げる」ようにしています。

私は朝も大変弱いですし、いつも遅刻ギリギリに出社していて、できないことを数え上げたらきりがありませんが、外来の日は絶対に遅刻できません。これは患者さんを待たせてしまったら大事件であると思っているからです。

本来、いつだって遅刻してはいけないわけですが、「自分が頑張ってできている」ことを数え上げてなるべく褒めてあげましょう

そうして、これだけ頑張ったんだからと自分にご褒美をあげます。

自分ができていることをあるがまま捉える。マインドフルネスの考え方もそうですが、自分がどういう状態か正しく知ることがいちばんです。

できないことを数え上げている人は山ほどいますが、できることを数え上げるのがいちばんいいですね。

加藤
加藤

自分でご褒美あげることはできそうですね

藤野先生
藤野先生

いっぱいできていることを知っていればたくさんご褒美もあげられますし、ご褒美の基準もなんとなく見えますよね。むやみやたらにというより、これくらい頑張ったから自分にご褒美をあげていいんじゃないかというふうに考えます。

加藤
加藤

それならすぐにできそうです。

藤野先生
藤野先生

ご褒美をもらえる=よいことをしているということなので、さらに自分を肯定できるわけです。ある種の自己暗示ですが、ぜひやってみてください。

次回のKIDSNATALKは12/22更新予定!お楽しみに!

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