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【小児科医監修】3歳児が熱を出したときの対処と解熱剤を使うタイミング
元気があるときの受診の目安など
Profile
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
3歳の子どもが熱を出す前によくみられる仕草や行動、熱があるけれど元気なときの病院に行く目安を解説します。また、子どもの熱が下がらないときの正しいホームケア法と解熱剤(熱冷まし)を使うタイミングや、熱が下がらないときの病院への再受診の目安についてもご紹介します。
3歳児の発熱の理由
子どもの発熱の原因は、風邪が多く、原因としてはウイルスがほとんどです。
病気以外では、暑い日や急に気温が上がったときに水分を十分に取らず、帽子をかぶらないで長時間外で遊ぶと熱中症になって熱が上がることがあります。
ストレスが原因で熱が出る場合がありますが、3歳児の発熱の理由としてはまれでしょう。
発熱前に見られることの多い仕草
1日のなかでも、朝より夕方からの方が熱が高くなる傾向があります。
3歳くらいの子どもになると、体調がよくないことを言葉で伝えられる子もいます。しかし体調が悪いときには口数が少なくなったり、気持ちが言葉にならない子も多いようです。ママやパパが普段から子どもの様子をよく観察して「いつもと違う」と体調の変化に気づいてあげることが必要です。
3歳の子どもに多い発熱する前の仕草や行動はどのようなものでしょうか。
反応が鈍い
何度か呼びかけないとママやパパ、お友だちなどからの声かけに気づかなかったり、返事が返ってこないなど、反応が鈍いときには発熱する兆候かもしれません。視線が合わず、目がうつろでぼーっとしている時間が長いときにも要注意です。
機嫌が悪い
ずっとぐずっていたり、いつもは泣かないようなことで泣くときには、これから子どもが発熱するサインかもしれません。
食欲が落ちる
普段より食べるペースがかなり遅かったり、食べる量が少なかったり、好きな食べ物を残すときには体調が優れない証拠かもしれません。
子どもが食べられるものをゆっくり食べさせて様子をみましょう。
室内遊びが増える
いつもは体を動かして遊ぶことを好んでいる子どもでも、熱が出る前は、絵本を読んだり、ブロック遊びなど室内遊びが中心になり、ゆっくり過ごしたがることがあるようです。遊びの途中で、寝そべる場面が増えるときも熱が出る前兆かもしれません。
熱で受診するときの目安
熱があっても、子どもの機嫌がよく、水分や食事がとれていて、発熱以外の症状がひどくないときには、すぐに病院を受診せず様子をみてもよいです。
しかし、熱がそんなに高くなくても水分がとれず、ぐったりして元気がないときには早めに病院を受診するようにしましょう。3歳児は、急激な発熱で熱性けいれんを起こすこともあるので注意が必要です。
熱の高さではなく、尿が出ているかや、水分がとれているかなど子どもの状態をよく見て判断することが大事です。判断に迷うときは小児救急相談(#8000)に電話をして指示を仰ぎましょう。
発熱時の対処法
3歳の子どもが発熱したときの対処法をご紹介します。
水分補給はこまめに
発熱したときは、いつも以上に汗をかくので、体の水分が失われやすくなります。汗や尿、唾液などが出ているかよく観察しましょう。
子どもが脱水症状を起こさないように水分をこまめにとることが大切です。幼児用イオン水や経口補水液もおすすめです。水分の代わりにシャーベットや果物をあげてもよいですが、下痢をする可能性もあるので注意しましょう。
温度調節をする
子どもの手足が冷たいときには、これから熱が上がる可能性があります。子どもが寒がっていたり、震えているときには厚着をさせ、熱で暑がっているときには、衣類を1枚脱がせて子どもが心地よく感じられる温度調節を意識しましょう。
子どもが嫌がらなければ、タオルで包んだ保冷剤で首や脇、足の付け根などを冷やすのもよいですね。エアコンを使って温度調節するのもよいですが、直接風が当たらないように注意しましょう。
消化のよい食べ物を選ぶ
熱があるときには無理に食べさせなくてもよいです。
食欲があれば、おかゆやうどん、豆腐やバナナ、ゼリーなど消化がよく、子どもが食べられるものを与え、熱が下がってきたら、野菜スープや雑炊などで栄養をとるのもよいでしょう。
入浴は子どもの様子で見極める
入浴は、大人が思っている以上に体力を使います。入浴によって、子どもが熱をあげる場合もあります。入浴後は特に脱水症状に注意が必要なので、発熱時は湯船に浸かるのは控えましょう。
しかし、熱があっても子どもが元気で、汗をかいているときにはシャワーを浴びる程度なら大丈夫です。咳や嘔吐があったり、ぐったりして元気がないときにはシャワーもやめておくほうがよいでしょう。
解熱剤(熱冷まし)を使うポイント
子どもが熱で苦しんでいると心配になり、どうにかして早く熱を下げてあげたいものです。
しかし解熱剤(熱冷まし)は、一時的に熱を下げて身体を楽にすることはできますが、病気の根本を治す薬ではありません。熱を早く下げたいからとすぐに解熱剤(熱冷まし)を使うのではなく、高熱で睡眠や水分、食事がとれないときにのみ、解熱剤(熱冷まし)を使いましょう。
解熱剤(熱冷まし)を1度使ったときには、次の使用まで、6時間以上あけるなど正しい使用方法を守ることが大切です。
再受診の目安
処方薬を飲んですぐに元気にはならないときもあります。病院から処方された薬でも熱が下がって元気になるまでに時間がかかることもあります。かかりつけ医の指示どおり、治療を続けることが大切です。
処方薬を飲んでいても、熱が3日以上続く場合は、元気であってもほかの病気に感染しているかもしれないので、再受診しましょう。水分が取れない、おしっこが出ないなどのときも受診が必要です。
サインを見逃さず、正しいケアで熱を下げよう
子どもの熱が続くとママやパパも不安になりますよね。
3歳程度になると、普段は話すのが上手な子もいますが、体調不良のときに自分で症状を説明するのはとても大変なことです。
子どもが熱を出すときには、機嫌が悪くなったり、食欲が落ちる、視線が合わず、反応が鈍くなるなど普段とは違う様子が見られることも多いです。子どもの様子やちょっとした仕草をよく観察することが大切です。
熱が下がらないときには、まず適切なホームケアが重要です。すぐに解熱剤(熱冷まし)を使用せず、熱で子どもが水分や睡眠をとれないときに解熱剤(熱冷まし)を使いましょう。
発熱時の正しい対処法で子どもが早く元気になるように努めましょう。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
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眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。