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【小児科医監修】子どものけいれんとてんかんの関係性。けいれんの原因と対処、後遺症
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クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
子どもが全身を硬直させ、がくがくと震えるけいれん症状を起こすのは、どういった場面でしょうか?またけいれん症状の後遺症の有無、さらにてんかんの可能性を心配するママもいるでしょう。けいれんの原因、熱や病気によるけいれんとてんかんとの見分け方、てんかんと診断されたときの治療や対処方法などを解説します。
子どもがけいれんを起こすのはどんなとき?
子どもがけいれんの症状を起こす原因にはどういったものがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
高熱をだしたとき
子どもがけいれんを起こす原因として多くあげられるのが、38度以上の高熱のときにけいれん症状を起こす「熱性けいれん」です。
熱性けいれんは、0~6歳の乳幼児の10人に1人の割合で起こるといわれ、特に0~3歳の子どもが高熱を出したときに注意が必要です。一度、熱性けいれんを起こすと、3割ほどの割合で再発の可能性があります。熱性けいれんは風邪などの感染症が原因で、体温が急激に上昇したときや発熱から24時間以内におこるケースが多く見受けられます。
熱性けいれんには遺伝的な側面があるといわれ、両親をはじめ、近しい親類が子どものころに熱性けいれんの既往があることが多いとされています。
専門家も熱性けいれんが起こる状況について下記のように注意を促しています。
“
熱性けいれんは高熱で起るよりも急に体温が上昇する時に出易いですから、体温管理に注意が必要です。
出典: AskDoctors
家族に熱性けいれんの既往がある場合や再発の心配がある場合は、急激に体温があがらないよう、環境や衣類などに注意しましょう。
ひどく興奮したとき
生後半年から3歳くらいの子どもがひどく泣いたり、かんしゃくを起したときにけいれんを起こすことがあります。
これは「憤怒けいれん」もしくは「泣き寝いりひきつけ」とも呼ばれ、顔色が青紫になってしまうチアノーゼや意識消失をともなう場合も見られます。憤怒けいれんは呼吸中枢の未発達が原因で起こると考えられていて、呼吸が戻るとけいれん症状がおさまり、後遺症もありません。
発熱性の病気によるけいれん
髄膜炎や脳炎といった脳内で炎症を起こす病気や、急性脳症などが原因でけいれん症状が起こることがあります。熱性けいれんと同様に髄膜炎や脳炎、急性脳症でのけいれんも高熱を伴いますが、発熱後24時間以上たった後あとに、けいれん症状が出ることが多く、熱性けいれんと見分けるポイントとなります。
ほかにもけいれん症状のないときもぐったりしている、意識がもうろうとしているなど様子が普段とは違う、といったことも特徴の1つです。
胃腸炎関連けいれん
0歳~12歳くらいの子どもがウイルス性の胃腸炎にかかったときに「胃腸炎関連けいれん」と呼ばれる発熱を伴わない、けいれんを起こすことがあるようです。下痢が始まって1日ほど経過した後、1分ほどのけいれんを何度か繰り返すのが主な特徴です。胃腸性関連けいれんは低年齢の乳幼児に一時的に起こるもので、後遺症や障害の心配はありません。
その後も胃腸炎にかかるたびに起こるということは少ないといわれています。
てんかん
子どもが発熱を伴わないけいれんを起こした場合に、憤怒けいれんや胃腸炎関連けいれんでもない時には「てんかん」の可能性があります。小児てんかんは一般的に中学生くらいまでに発病するてんかんをさしますが、なかでも1歳くらいまでの赤ちゃん期に発症するケースが多いようです。
てんかんと、熱性けいれんをはじめとしたその他のけいれんを見分ける判断材料として、発熱やけいれん発作の長さ、反復性などがあげられます。
ほかにどういった違いがあるのか、対処方法などについて詳しく見ていきましょう。
子どもがてんかんと診断されたら
子どもがてんかんと診断されると、その後長期に渡り、抗けいれん剤を使った薬物療養を行うことになる場合もあります。
子どものてんかん治療とは?
てんかんと一口にいっても、種類が多く、その症状や原因にあった抗けいれん剤が処方されます。抗てんかん剤を飲み続けることによって、てんかん発作が数年抑えられると薬なしで発作が起こりにくくなることもあります。
てんかんの子どもの注意点
小児てんかんの子どもは、発作時以外は異常がないため普通に日常生活を送ることができます。しかし睡眠不足や疲れ、発熱といったことが発作を誘発する場合もあるので、保護者は子どもに無理をさせない、疲れていたら休ませる、といった配慮が必要でしょう。
子どもの身近な大人と情報の共有を
子どものてんかんには、主治医が保護者を通して長期間の治療にあたるため、医師、保護者、子どものスムーズな関係が治療のカギとなると考えられています。
また子ども自身に通院、服薬などの治療によるストレスや、日常生活のなかで発作が起こらないかという心配があるかもしれません。実際に家庭の外で発作が起こってしまう可能性もあるでしょう。
保育園や幼稚園、学校などから子どものてんかんについて理解と配慮を受けられるように、子どもの発作頻度やけいれん症状の情報を共有するようにしましょう。
けいれん症状には落ち着きと正しい知識で対処を
0~3歳の子どもがけいれんを起こしても、その後も何度もけいれん症状を起こす、必ずてんかんになる、というわけではありません。てんかん、と診断されても、てんかんの分類はさまざまで、なかには成人前にてんかん発作が収まったり、服薬を止められるケースもあります。
自分の子どものけいれん症状の状態や長さなど、何が原因なのか早期に見極められるとように気になることがある場合には、かかりつけの小児科医や小児神経の専門医に相談しましょう。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック
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眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
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※記事内で使用している参照内容は、2018年7月24日時点で作成した記事になります。