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【小児科医監修】熱性けいれんの原因と後遺症は?正しい知識を小児科医が伝授
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クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
子どもが高熱を出しているだけでも心配なのに、そのうえ手足を硬直させて震え出したら、比較的冷静なママでも慌ててしまうことでしょう。そこで、万一の時にアタフタしないために、熱性けいれんが起こる原因と対応法、後遺症の有無などを解説。そのほか、予防接種の時期をはじめ、熱性けいれんを経験した後に知っておきたいポイントを専門家に教えてもらいました。
熱性けいれんが起こる原因
熱性けいれんとは、38℃以上の発熱が出ている時に起こるけいれんのことを指します。
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生後6カ月~3歳の子供さんが起こすことが多く、6歳を過ぎると殆ど起こさなくなります
出典: AskDoctors
と言われています。熱性けいれんの起こる原因はまだ解明されていないため、「これをやっておけば防げる」というものがありません。
熱性けいれんの症状
熱性けいれんになってしまうと、どのような症状がでてくるのでしょうか。
硬直させたり、震えたりと症状はさまざま
熱性けいれんの主な症状は、手足をピーンと伸ばして硬直させる、白目をむく、手足をバタバタさせる、あごがガクガク震えるなどがあげられます。
このうち1つだけの症状しか見られないケースもあれば、例えば手足を硬直させた後に、あごを震わせるなど、複数の症状が現れることも。
気を付けたいのは複雑型
さらに、けいれんには単純型と複雑型があります。
けいれんが5分以内に収まっている、親や兄弟でけいれんの既往歴がない、けいれんが左右対称、24時間以内にけいれんが2度起こっていないなどのけいれんは単純型です。単純型の場合は、後遺症がほとんど残らず心配がないものがほとんど。
一方の複雑型は一度の発熱で複数回のけいれんを起こす、意識が戻りにくい、比較的低めの温度の発熱(37度台)でもけいれんを起こすなどの特徴があり、後遺症が残ったり、年齢があがってからもけいれんを起こしやすい可能性があります。
けいれんしやすい体質は遺伝する?
ママやパパの中には、自分が小さい時に熱性けいれんを起こした経験がある人もいるのではないでしょうか。
熱性けいれんと遺伝の関係を専門家に聞いたところ
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いわゆる遺伝性疾患という訳ではありません。 ですが、親に熱性けいれんの既往があると子供に発症のリスクがあがる
出典: AskDoctors
“
親子だと顔が似るのと同じで、体質が似る可能性がありますが、遺伝疾患ではありません
出典: AskDoctors
という意見がありました。
親がけいれんの既往があるからといって必ず熱性けいれんを起こすとは限らないようです。但し、体質が似るという点では、起こるリスクが高い可能性があるので、万一の時に慌てないよう、備えておきましょう。
熱性けいれんかなと思ったら
発熱していて「いつもと動きがおかしい」「意識がない」などと感じたら熱性けいれんの可能性があるかもしれません。起きてしまったらどのように対応したらいいかを紹介します。
こんなケースは救急車を呼んで!
熱性けいれんの発作が5分以上続く、顔色が悪く青紫っぽい色になっている、けいれんがおさまった後も意識の戻りが悪い等の症状が見られたら、迷わず救急車を呼んで速やかに医療機関を受診してください。
上記の状態が見られない場合は、以下の項目をチェックしながら様子をみましょう。
発作が起きている時間、状態を確認
白目をむいている、あごがガクガクしているなど、発作が起きたら、まずは発作が起きている時間を測ってください。目安は5分です。5分以内で収まったら、その時点でかかりつけ医などに連絡を。
首が苦しくないよう衣服をゆるめる
襟のボタンを開けて首元をゆるめる、スカートやずぼんのぼたんをはずしておなかまわりにゆとりをもたせてあげ、けいれん時、苦しくならないようにしてあげてください。
嘔吐している場合は、顔を横に向けて
吐いたものが気道に詰まらないよう、嘔吐が見られるときは顔を横に向けましょう。また、口や鼻にも吐いたものが詰まらないように注意してください。
けいれん時の左右差、体温なども確認
けいれん時に左右の差があるか、体温などもチェックしておき、その後、診察を受ける際に医師に伝えましょう。
けいれん時にやってはいけないこと
初めてのけいれんだと、ついママもパニックになってしまい、「〇〇ちゃん大丈夫?」とつい大きな声で呼びかけたくなってしまいますが、特にけいれんの時間に変わりはないので、冷静にけいれんを観察することが大切です。
また、「舌を噛みきらないように」と、手や物を口の中に入れるママもいますが、それが原因で口の中を切ったり、けがしてしまうこともあるので、やめましょう。
けいれん後の注意ポイント
けいれんを起こした後、日常生活で気を付けておきたいことがいくつかあるようです。それを聞いてみました。
再び発熱した時は念のため注意
単純型のけいれんの場合、一度だけで終わることが多いのですが、念のため、次に発熱した時は、再びけいれんを起こさないか注意深く経過をみてあげてください。
予防接種は3カ月空けて
けいれんを起こした後、予防接種は3カ月間空けるようにしてください。
解熱剤と抗ヒスタミン剤は避けて
解熱剤は、けいれんに関係しないといわれていますが、ぐったりしている時だけ使用しましょう。
また、抗ヒスタミン剤の一部には、けいれんを引き起こす可能性があるといわれています。市販の風邪薬などに含まれていることが多いので、使う際は注意を。心配な場合は医師に相談し、処方薬を服用するようにしましょう。
熱性けいれんの原因は不明。症状や後遺症が残りやすいケースを確認し、適切な対応を
白目をむいたり、あごをガタガタ振るわせたりと、子どもが変わり果てた状態になってしまう熱性けいれん。その原因は残念ながら未だ不明といわれています。
けいれんが起こったら、どんな症状が出ているかを冷静に観察し、適切な対応を行いましょう。けいれんの左右差がある、5分以上続く、顔色が悪い、意識の戻りが悪い等の場合は救急車で速やかに医療機関へ。
多くの場合は単純型と呼ばれるもので心配はありませんが、何度もけいれんを起こす、けいれんの持続時間が長い、左右非対称のけいれんの場合は、後遺症が残る場合あるので注意が必要です。
また、けいれん後は予防接種を3カ月間開けるなど、その後の過ごし方のポイントもきちんとおさえておきましょう。
熱性けいれん自体は恐ろしい病気ではありません。ママやパパが落ち着いて対応するよう心がけてくださいね。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。
症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。
お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
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