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絶対音感と相対音感の違いとは?幼児教育で音感は育てることができる
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国立音楽大学音楽文化教育学科幼児音楽教育専攻准教授
国立音楽大学音楽文化教育学科幼児音楽教育専攻准教授
伊藤仁美(いとうさとみ) 国立音楽大学音楽文化教育学科幼児音楽教育専攻准教授。同専攻代表。国立音楽大学卒、同大学院修了。 専門は幼児音楽、幼児のリトミック、初等音楽教育。著書は『1歳~5歳がよろこぶ 保育ではじめてリトミック』(チャイルド本社)等多数。博士(音楽)。
子どもに絶対音感をつけるための幼児教育を行ってみたい。音感があると役に立つ場面が多そう。そのように考えたことがある保護者もいるでしょう。本記事では、実際に音感があるとどのようなメリットがあるのか、国立音楽大学准教授の伊藤仁美先生に教えてもらいました。音感をトレーニングする方法も合わせて紹介します。
絶対音感と相対音感とは
「自分は絶対音感を身につけられなかったけど、子どもにはぜひ身に付けさせたい」
「音感は幼児教育でしか身に付けられないと聞いたけど、どうしたら身に付けられる?」
子どもにピアノなど楽器を習わせていたり、これから習わせたいと考えていたりする保護者が気になる「音感」について、国立音楽大学准教授の伊藤仁美先生に話を聞きました。
そもそも音感には、絶対音感と相対音感の2種類があります。
絶対音感
絶対音感は聞こえてきた音の高さが瞬時にわかる能力で、習得するには特別の訓練を始める必要があると言われています。大人になってから絶対音感を習得することは難しいとされています。
絶対音感を持つ人は、たとえばグラスがぶつかった音、ドアが閉まった音など、日常で聞こえてくる生活音の音階も、正確に判別することができます。
聞いた音楽をすぐに楽器で再現したりすることができるメリットがある一方で、日常生活では普通の人が気にならないような生活音が気になってしまったり、音のずれが気になってしまい音楽の授業などが楽しめないなどという苦労もあるようです。
相対音感
一方で相対音感は、ある音と比較したときに、次の音の高さが正確にわかる能力です。絶対音感とは異なり、訓練次第では大人になってからでも習得可能と言われていて、潜在的に持っている人も多いです。
相対音感を持つ人が音階を判別するには、基準となる音が必要で、たとえば「ド」の音を聞いたあとに、次の音を聞くと「ドより3音高いからファ」というように、音を理解しています。そのため、基準音がわかれば、聞いた曲を楽器で再現したりすることができます。
幼児教育で音感を伸ばすことはできるのか
相対音感は大人になってからでも伸ばすことができますが、絶対音感は6歳くらいまでに身につける必要があると言われています。これは、身体の発達と関係していて、耳の発達は5歳前後がピークであり、大体8歳前後で聴覚は完成してしまうためです。
相対音感は潜在的に持っている人が多いですが、日常生活で使う場面が少ないため、気が付いていない人もいます。ですが、トレーニングをすることで、幼児教育だけではなく何歳からでも育てていくことが可能です。
音感があることによるメリット
絶対音感、相対音感問わず、音感が鍛えられることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
曲を再現する能力が高い
音感があることの最大の特長は、楽譜が無くても聞いた曲を再現できることです。生活の中で聞いた曲、学校で流行っている曲、TVで流れているアニメソング等をピアノで弾き、家族や友だちに聴かせたいという子は多いですが、ほとんどの子はメロディーラインだけです。
音感が鍛えられていると、メロディーだけではなく、伴奏や細かい部分などのハーモニーを付けて再現できるようになります。
伴奏や合奏が得意になる
音感が育っていると、曲のハーモニーやベースラインなど、編成楽器のすべてを記憶し再現できる人もいます。そのような人は、他人の歌に即座に伴奏をつけてあげることができるので、披露すると喜ばれます。
楽器の習得が早い
音感がある人は、やったことがない楽器でも習得するのが早い傾向にあります。学校の授業でも鍵盤ハーモニカやリコーダーが得意になります。学校の授業で習うような曲であれば、耳で聴いてすぐに覚えて、すぐに演奏できるようになります。
言語の習得スピードが早い
音感があるということは耳が育っているということであり、英語など他の言語の発音の微妙なニュアンスを捉えることができるため、リスニング力も高いです。また、音感と同時にリズム感が育っていることが多いため、英語などのリズミカルな発音を理解しやすいとも言われています。
音感を育てる幼児教育のコツ
絶対音感を育てるには音楽教室などもありますが、家庭でもできる音感トレーニングを紹介します。
正しい音を覚える
保護者が子どもの横でピアノなどを弾き、「これがドの音だよ」と、ドレミファソラシドの音階をひとつずつ教えます。もちろんすぐに覚えられることではないので、1日数分でもいいので、長い期間をかけて行いましょう。
ドレミで歌う
歌を歌うときに、歌詞ではなく、ドレミの音階で歌うことも効果的です。子どもに正しい音を伝えるために、できるだけ音程は正確に歌いましょう。自信がない場合は、ピアノなどで音程を確認してから歌うとよいかもしれません。
子どもが大好きなママやパパの歌声は、子どもの記憶に残りやすいですよ。またドレミの音階を歌う際、両手を下から少しずつ階段のように動きを付けて歌うとよいですね。音と動きを同期させておこなうと効果が増します。
親子でいっしょに歌を歌う
音感トレーニングでは、親子でいっしょに音楽を楽しむことが大切です。音楽は楽しいということをなによりも伝えましょう。ただ、そうはいっても、保護者は適当に歌うのではなく、ひとつひとつの音を正確に歌えるようにゆっくりと、音を意識することも忘れないようにしましょう。
また、家庭にあるピアノなどの楽器のチューニングがずれていたら、元も子もありません。定期的に確認するようにしましょう。
音感にまつわる幼児教育体験談
子どもの音感にまつわる幼児教育の体験談を、先輩ママから聞きました。
1児のママ
2児のママ
私はおそらく0歳の頃から、3歳上の姉がピアノを弾いているのを聞いていたので、ある程度の音感はあると思います。聞いたことのある曲のメロディーくらいなら再現できますが、本当に絶対音感がある人は、すべての生活音がドレミの音階で聞こえるなどと言うので、そういう人はレベルが違うのかなと思います。
1児のママ
ママ友が、絶対音感を育てるには幼児教育が大事と言って、子どもが小さいうちから音楽教室で絶対音感のトレーニングをさせていたのですが、正直どんなメリットがあるのかよくわかりません。
3児のママ
絶対音感トレーニングをやらせてみようかなと思ったことがありました。でも、子どもにピアニストになってほしいなどという気持ちが特にないのであれば、そんなに力を入れてやらなくても、知育や幼児教育の一環のような感じで、楽しんでやるくらいがいいのかなと思いました
音感を育てる目的を考えた幼児教育を
子どもに音感を持ってもらいたいと考えるのは親心だと思います。ですが、なんのために音感を持ってもらいたいのか、音感にどんなメリットを感じているのか、一度考えてみるとよいかもしれません。子どもにとって必要な範囲で幼児教育を行い、無理なく楽しく音感を育ててあげられるとよいですね。
監修:伊藤 仁美
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伊藤 仁美
伊藤仁美(いとうさとみ)
国立音楽大学音楽文化教育学科幼児音楽教育専攻准教授。同専攻代表。国立音楽大学卒、同大学院修了。
専門は幼児音楽、幼児のリトミック、初等音楽教育。著書は『1歳~5歳がよろこぶ 保育ではじめてリトミック』(チャイルド本社)等多数。博士(音楽)。
2年生の娘は、特にピアノを習ったりしているわけではないのに、流行っている曲をキーボードで弾いていたりするので、すごいなと感心します。ただ、絶対音感というほどではないので、もっと小さい頃から音楽を習わせていたら絶対音感も得られていたのかなと思います。