自尊感情、外交性、好奇心が育まれる「自然保育」の魅力と注意点

自尊感情、外交性、好奇心が育まれる「自然保育」の魅力と注意点

2023.09.07

都市化により、子どもたちが自然に触れる機会が減っている今、注目されている「自然保育」には、どのようなメリットがあるのでしょう。日本の自然保育の普及率や自然保育の注意点、体験談と共にご紹介します。

「自然保育」とは?

近年、「自然保育」への関心が高まっています。そもそも、自然保育とはどのような保育なのでしょう。神奈川県のサイトでは、自然保育について以下の説明をしています。

自然保育とは、幼児期の子どもを対象に、屋外での遊びや運動を中心に様々な体験を深め、知力と体力も同時に高めることができるとされる保育・幼児教育です。

出典: 自然保育について/神奈川県

自然の中での体験を通じて、子どもの能力を高める自然保育。都市化で自然に触れる機会が減っていることや、環境問題への関心の高まりなどの要因も組み合わさり、自然保育に関心を持つ保護者が増えているといいます。

自然保育の5つのメリット

自然保育のメリットを具体的に見ていきましょう。


自尊感情が育まれる

※写真はイメージ(iStock.com/kohei_hara)
※写真はイメージ(iStock.com/kohei_hara)

文部科学省の調査によると、キャンプ、登山、川遊び、ウインタースポーツなどの自然体験を行った子どもは、主に自尊感情に良い影響が見られることがわかっています。

また、小学生の頃に行った自然体験などの経験は、長期間経過しても、その後の成長に良い影響を与えることもわかっているそうです。

参照:青少年の体験活動に関する調査研究結果報告/文部科学省


コミュニケーション力が高くなる

先ほどの文部科学省の調査によると、自然体験では子どもの自尊感情だけでなく、外交性も育まれることがわかっています。

幼児期や学童期の自然体験は一人で行うことは困難です。大人といっしょに活動することで外交性が育まれていくのかもしれません。集団で行われる自然保育でも、他の子どもたちや先生たちとの関わりの中でコミュニケーション力を身につけることができるでしょう。


知的好奇心が育まれる

年間を通じて自然と触れ合う自然保育では、日の長さや気温、動植物との出会いなどを通じて四季の移り変わりを肌で感じることができます。

土や水に触れたり、風の音を耳にしたり、自然の中でさまざまな匂いに包まれたり……こうした自然豊かな環境の中で、子どもの五感は刺激され、知的好奇心を育みます。

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創造力が身につく

自然の中には、保育園や家の中にあるようなおもちゃはありません。決められた遊び方ではなく、自然の中にあるものを使いながら工夫して遊ぶことで、子どもの創造力が育まれることも自然保育のメリットです。


身体能力が向上する

※写真はイメージ(iStock.com/Hakase_)
※写真はイメージ(iStock.com/Hakase_)

運動量が多い自然保育では、基礎体力の向上が見込めます。また、大きな石をまたいだり、木登りをしたり、さまざまな体の使い方をするため、身体能力が向上することもあるでしょう。

日本の自然保育、普及率はどれくらい?

北欧が発祥の地とされる自然保育ですが、近年では、日本でも自然体験の機会を提供しようと活動する団体が増え、「森のようちえん」と呼ばれる取り組みも広がっています。

2023年3月時点で、幼稚園だけでなく、保育園、託児所、学童保育、自主保育、自然学校、育児サークル、子育てサロンなど286団体が会員となり、森や海、川や野山、里山、畑、都市公園などで自然保育を行っています。

参照:NPO法人森のようちえん

また、県土の78%を森林が占める長野県では、2014年に「信州やまほいく(信州型自然保育)認定制度」が始まり、2023年9月時点では270園が認定を受けています。

参照:信州やまほいく(信州型自然保育)/長野県

この他、多くの都道府県で独自に基準を定め、自然保育を受けられる環境が広がりつつあります。

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自然保育の注意点

※写真はイメージ(iStock.com/StephanieFrey)
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自然保育を行う保育園は、園舎がない場合もあるようです。テントやタープなどを雨除けにすることもあるようですが、基本的には雨が降れば、レインコートを着て雨の日ならではの自然保育を楽しむようです。

注意点としては、屋外で過ごす時間が長いため、服が汚れることが多いこと。また、小さなケガをすることもあるでしょう。

自然保育を中心に行う園では、保護者の協力が求められるシーンが多いことも特徴の一つのようです。

自然保育の知識を子育てに活用

※写真はイメージ(iStock.com/maruco)
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国立青少年教育振興機構では、官民協働の指導者養成カリキュラムとその認定制度「自然体験活動指導者認定制度(NEAL)」を設けています。リーダー、インストラクター、コーディネーターとレベル別に自然活動を行ったり企画したりする際のさまざまなポイントを学ぶことができます。

参照:自然体験活動指導者認定制度(NEAL)とは?/国立青少年教育振興機構

また、自然の中で子どもたちが楽しく安全に過ごせるよう、自然保育について学ぶことができる資格もあるようです。子どもの発達段階に応じた自然を活かす遊び方や、自然環境に潜むリスクや回避の方法などの知識は、子どもとアウトドアや外遊びをする際にも役立ちそうですね。

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【体験談】自然保育についてどう思う?

保護者は自然保育についてどのようなイメージや感想を持っているのでしょうか。

自然保育は子どもがのびのびと遊べるため、うちの子には合っていると思っています。個性を大切にしてもらえる環境でもあり、ストレスも発散できているようです。

家の近くに自然がないため、自然保育には憧れます。一度、家族で単発の自然体験に参加したことがあるのですが、焚火をしたり、木のブランコに乗ったり、素揚げしたクモを食べたり、息子だけでなく私たち夫婦も楽しかったです!

保育園では、晴れている日は毎日公園までお散歩をして自然にはある程度触れているようです。でも公園の整備された自然なので、自然保育とは違う気がします。

葉っぱや小枝、木の実を使ってお店屋さんごっこをしたり、外で昼寝をしたり、娘は毎日楽しそうです。草花の名前を私よりもよく知っていて驚きました。

子どもがのびのび育つ自然保育

※写真はイメージ(iStock.com/mikimad)
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近年、都市に住む子どもを中心に、自然体験の機会が少なくなっていますが、子どもたちは自然の中でさまざまな力を育みます。

自然保育を取り入れる保育園や幼稚園も増えているようなので、自然の中でのびのびと過ごせる園に出会えるとよいですね。また、近隣に山や川、森がない都市部の幼稚園や保育園でも、子どもたちが身近な自然に触れられる機会を作っているようです。

自然保育を行う園でない場合も、一日体験に参加したり、休日にアウトドアを楽しんだり、自然体験の機会を取り入れられるといいですね。

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