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子どもに身につけたい本当の「心の強さ」。そのために親としてできること
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社会福祉法人みずものがたり 理事/おへそグループ統括園長
社会福祉法人みずものがたり 理事/おへそグループ統括園長
社会福祉法人みずものがたり 理事・おへそグループ統括園長。 1985年8月11日佐賀県生まれ。5歳の時交通事故で父を亡くし、母に兄弟3人の真ん中として女手一つで育てられる。ロータリー財団の親善大使として派遣されメキシコ合衆国へ一年間留学。大学在学中に幼児教育に興味を持ち、関東の保育コンサルティング会社に入社。1年半で50件以上の保育園の立ち上げや運営に関わりながら乳幼児教育を学ぶ。 25歳でおへそ保育園園長に就任。現在、0歳~12歳までの子どもたち、障害を持つ子どもたちが共存する“おへそグループ” を統括。執筆・講演活動、また、一男一女の父として子育てにも奮闘中。
おへそ保育園園長の吉村直記さんの今回の連載では、子どもの行動にどんな意味をつけてあげられるのか、子どもの心の強さを育むために、親としてどうしていくのがいいのかについて教えてくれました。
親に心底信じてもらっている子どもは強い
長年、空手道の指導をするなかで、「心の強さ」とは何か? とずっと考えてきました。
それぞれのご意見があろうかと思いますが、 私は心が強いというのは、いかに自分の不足を認めることができるかということであると思うのです。
余計な見栄をはらず、 周りのみんなの素晴らしいところを素直に学ぶ。言葉にすると簡単なようですが、これが難しい。
「あなた、こういう所を改善した方がいいよ」 ということに「ありがとうございます」と言える力。
でも、そのためには絶対的な安全基地がその子の中にあって、 弱い自分を見せても大丈夫、強がらなくても大丈夫なんだ、と自分自身を認めることで得られる力が大切であると思うのです。
両親がケンカばかりしていたり、 いつも疑われて育つと、子どもは不安で仕方がない。
不安で、不安で、本当は弱い心なのに、強がって。「あなたは大丈夫」と言って欲しいのに、いつも心配されて。
そういう環境ではなかなか、安全基地というのは育たないような気がするのです。
子どもに「 心の強さ」を求める前に信じてくれる親や大人が必要です。子どもたちの安心感が「心の強さ」につながっていきます。
子どもの「失敗」を恐れない
親としては、やっぱり子どもには大きな失敗はしないで欲しいし、躓(つまづ)いて泣いているところを目にするのも心地よくはない。
成功してくれていると嬉しいし、100点だと褒めてあげたくもなる。
でも、子どもたちからすれば、失敗でも成功でも、負けでも勝ちでも、「学び」という点では同じくらい大切なことだったりします。
それを「学び」に変えるのは大人の役割です。
「失敗」を「素晴らしい経験」と捉えて、悔しい気持ちを学ぶ機会や、うまくいかないこともあるということを知る機会や、今までの選択の積み重ねが失敗を招いていると知る機会にしたとすれば、おおいに子どもは学び、心の成長に繋がります。
「成功」を「素晴らしい経験」と捉えて、自信をつける機会や、うまくいくにはこうしたらよいということを知る機会、今までの努力の積み重ねが成功という結果をもたらしたということを知る機会にしたとすれば、おおいに子どもは学び、心の成長に繋がります。
何をするにしても、どんな結果になろうとも、そのできごとによりよい意味づけを行い、子どもに解釈の仕方を伝え、子どもの心の辞書にどんな意味を刻んであげるのかが大切でしょう。
子育ての営みは、子どもの行動への意味づけ活動。
子どもの行動に、どんな意味をつけてあげるのか。
その実践が、結果的に子ども自身が幸せに生きるための辞書を持つことにつながっていくように思います。
ゆっくり根っこを育てる
親は、子どもの将来を心配して、本人の意欲、興味、関心を気に留めず、「早く、早く」を求めてしまうことが往々にしてあります。でも、子どもは転んでも立ち上がることを学び、無駄に見えるようなことで創造性を学んだり、興味を広げることにもつながります。大人からすれば、「なんでこんなにゆっくりなの?!」と痺れを切らしてしまいそうになる時間が、植物に例えれば、
しっかりの根を張る時間であったりするのです。
早く成長することよりも、ゆっくりと根を張る時間を大切にしていくことが、結果的につよい幹を作り上げることにつながっていくのでしょう。
そして、強さとは、必ずしも頑丈でなくとも、細くても、柳の木のよう強風をさらりとかわすしなやかさがあれば、困難に負けない力として発揮することもできます。
子どもたちそれぞれの得意を活かし、認め、ゆっくりと、心育てを楽しんでいきたいものです。
執筆:吉村直記
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吉村直記
社会福祉法人みずものがたり 理事・おへそグループ統括園長。
1985年8月11日佐賀県生まれ。5歳の時交通事故で父を亡くし、母に兄弟3人の真ん中として女手一つで育てられる。ロータリー財団の親善大使として派遣されメキシコ合衆国へ一年間留学。大学在学中に幼児教育に興味を持ち、関東の保育コンサルティング会社に入社。1年半で50件以上の保育園の立ち上げや運営に関わりながら乳幼児教育を学ぶ。
25歳でおへそ保育園園長に就任。現在、0歳~12歳までの子どもたち、障害を持つ子どもたちが共存する“おへそグループ” を統括。執筆・講演活動、また、一男一女の父として子育てにも奮闘中。
2017.08.11