【産婦人科医監修】妊娠中の気持ち悪い後味。どんな飲み物が飲みやすい?

【産婦人科医監修】妊娠中の気持ち悪い後味。どんな飲み物が飲みやすい?

妊娠中の味覚の変化。ホルモンバランスの急激な変化や、つわりによる症状が原因と考えられています。先輩ママたちはどのような飲み物を飲んで、つらい時期を乗り切っていたのでしょうか。また、口の中に残る後味が気持ち悪いときに、おすすめの対処法などを合わせて紹介します。

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

後味がおかしい?妊娠中の味覚の変化

妊娠をすると、味の好みや感じ方が変わる場合があります。それによって、これまで食べられていたものが食べられなくなったり、好きだった飲み物が飲みたくなくなったり。後味がおかしく感じたり、やけに口に残るのが気になる人も多いようです。

また、妊娠による嗜好の変化だけではなく、つわりによって、限られた飲み物しか身体が受け入れられなくなったという人も少なくないでしょう。

※写真はイメージ(iStock.com/kupicoo)
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原因

妊娠中に味覚が変化し、嫌な後味が感じられる原因は、はっきりとは解明されていません。人によって症状はさまざまですが、下記のような要素がいくつか絡み合って、いつもと味覚が異なる可能性があります。

亜鉛不足

亜鉛はタンパク質の合成に必要な栄養素として、人間の身体を維持するために欠かせない必須ミネラルの1つで、味覚のセンサーである「味蕾」(みらい)の味細胞をつくるときにも必要です。亜鉛が不足すると味が感じにくい、何も食べていないのに常に苦いなどの味覚障害が起きることがあります。

妊娠中は胎児に亜鉛を供給するため亜鉛不足になりやすく、そのため味覚障害につながりやすいと考えられます。

口の渇き

妊娠中は「プロゲステロン」というホルモンが増加します。プロゲステロンには子宮内膜を厚くし、妊娠を維持する働きがあり、また水分を保持する働きと体温を高くする機能もあります。その影響から妊娠中は口内が渇きやすく、この渇きが味の感じ方に違和感をもたらす原因とも考えられています。

塩分の必要量が増える

妊娠中は、母体を循環する「血しょう」(血液から血球・血小板などの細胞成分を除いた液体成分)の量が増えていきます。この血しょうの増加に伴い、塩分の必要量も増加し、それが妊娠中の塩味に関する味覚機能に影響を及ぼすと考えられています。

ただ、その影響は妊娠の中期以降が主で、妊娠初期の味覚異常の原因としては考えにくいかもしれません。

口内炎や舌の炎症

妊娠中は、免疫力が低下することや、つわりで食事からの栄養をまともに取れなかったりすることから、口内炎や舌に炎症を起こしやすいです。口内炎や舌に炎症が生じると、舌の表面にある粘膜の突起「舌乳頭」(ぜつにゅうとう)という部分が萎縮したり、なくなってしまう場合があります。

舌乳頭の中に味を感じるセンサーである「味蕾」(みらい)があるため、舌乳頭の萎縮が味覚障害につながっている可能性があります。


また、はっきりとした原因は解明されていませんが、つわりの吐き気などの症状から、スッキリとした酸味のある食べ物や飲み物を好むようになる人は多いようです。

※写真はイメージ(iStock.com/globalmoments)
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いつまで続くのか

味覚の変化がいつまで続くのか、不安になる人も多いでしょう。しかし、これらの症状は人によって異なるため、いつになったら終わるという明確な基準はありません。つわりが終わり安定期に入るころ気付いたら治っていたという人もいれば、出産が終わるまで続く人もいます。

そうは言っても、味覚障害は妊娠中によくある症状なので深く考えすぎずに、自然に治ると考えてもよいでしょう。ただ、あまりにも不快で水分が取れなかったり、出産後も治らないような場合は、健診の際やかかりつけ医に相談しましょう。

妊娠中に飲みやすい飲み物

先輩ママが妊娠中に飲みやすかったと感じる飲み物は、以下のようなものがあるようです。妊娠中に美味しく感じる飲み物、まずく感じる飲み物は人によってさまざまなので、「これなら飲めそう」と感じるものを試してみてはいかがでしょうか。

柑橘系のジュース

オレンジジュースやグレープフルーツジュース、またはレモンなどのフレーバーウォーターは、後味がすっきりしています。ジュースには、果汁100%のタイプもありますが、濃縮ジュースや還元ジュースなど砂糖を加えた商品もあるので、糖分を摂りすぎないよう成分表示を確認してみましょう。

また、柑橘系にはクエン酸が含まれています。クエン酸は疲労回復効果がある一方で、胃酸の分泌を促進するので胃に負担がかかります。胃痛や不快感の原因にもなるので、飲みすぎには気を付けましょう。

乳酸菌飲料やヨーグルトドリンク

乳酸菌飲料やヨーグルト風味のドリンクは、甘酸っぱい味が飲みやすく感じる人もいるようです。これらのドリンクはカルシウムやビタミンが含まれているため、つわりで思うように食事が摂れない人でも栄養補給ができる点でも人気です。

また、妊娠中は便秘をしやすいので、乳酸菌が腸内環境を整えてくれることもポイントです。糖分が気になる人は、砂糖の入っていないプレーン味のヨーグルト飲料もあるので、試してみるとよいでしょう。

炭酸水

普段は炭酸が苦手なのに、妊娠してからは炭酸水が美味しく感じられた、という人もいるようです。炭酸のシュワシュワ感が口の中をスッキリさせてくれるので、リフレッシュ効果があります。

ただ、炭酸は胃の中でふくらみ、げっぷなど不快な症状にもつながるので、一気に飲むと逆に気持ちが悪くなるかもしれません。様子を見ながら、少量ずつ飲んでいくことがよいでしょう。

※写真はイメージ(iStock.com/blueshot)
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ハーブティー

妊娠中はカフェインを避けてハーブティーを飲む人が多いです。その中でもルイボスティーは亜鉛や鉄分、カルシウムなどが含まれていて、つわりにも効果があるとされています。

しかし、ハーブティーのなかにはラズベリーリーフティーなど、時期によっては飲まないことを推奨されているものもあるので、飲む前には必ず確認するようにしましょう。

スポーツドリンク

なにを飲んでも気持ち悪く、脱水症状になるのが不安だったため、ミネラルが含まれているスポーツドリンクを頑張って飲んでいた、という人もいます。甘すぎると感じる場合には、水で薄めて飲むのがよいかもしれません。


温かい飲み物より冷たい飲み物のほうが、後味を感じにくいため、妊娠中は冷たい飲み物を好んで飲む人が多いようです。妊娠中は身体を冷やさないようにあたたかい飲み物がよいと言われていますが、しっかりと水分を摂ることも大事なので、飲めるものを飲めるときに、少しずつ取るとよいでしょう。

嫌な後味への対処法

味覚の変化が続いている間は、なにを飲んでも後味が残って気持ち悪い、という人も多いです。そのような経験がある人に、後味を消すためにやっていたことを聞いてみました。

1児のママ
梅干しを食べると口の中がスッキリして、飲み物や食べ物の後味が消える気がしてよく食べていました。つわりの期間は手放せなかったです
3児のママ
レモンティーを飲むと、口の中の後味がスッと消えるように感じていました。水だしで作る無糖のレモンティーを、冷蔵庫に常備していました
3児のママ
つわり中に口に残る後味を消すには、新生姜の漬物がベストでした!ちょっと辛いのですが、食べた後はさっぱりするのがとても気に入っていました
2児のママ
ミントのタブレットが手放せませんでした。メーカーによっては甘くて気持ち悪くなるものもあったので、自分に合う味が見つかればいいのかなと思います

体験談

妊娠中の飲み物に関するエピソードを、先輩ママに聞いてみました。

1児のママ
つわり中は、とにかく水の味が苦手でした。後味が変な感じがして、気持ち悪かったです。飲み物は全般的にまずく感じられましたが、味の濃いジュースや炭酸飲料のほうがまだ飲めました
2児のママ
私は無類のコーヒー好きだったのですが、妊娠と同時にほぼ受けつけなくなりました。また、それほど好きではなかった100%オレンジジュースが異常なほどに飲みたくなりました。好きなメーカーのオレンジジュースがあり、毎日そればかりを飲んでいましたが、出産と同時に元の味覚に戻りました
※写真はイメージ(iStock.com/YelenaYemchuk)
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2児のママ
つわりの時期は、スイカジュースかトマトジュースを好んで飲んでいました。その他のものは後味がまずくて飲めませんでした。つわりの時期は、とにかく身体の受け付けるものだけでもいいから、少しずつ飲んでいくしかない気がします
3児のママ
なぜか緑茶や紅茶の後味が苦手になり、飲んだら必ず気持ち悪くなっていました。それまでは好きだったので少し驚きました。飲まないように避けていましたが、つわりが終わったらミルクティーが飲みたくなって、飲んだらすごくおいしくて。味覚って不思議だなと思いました

身体の一時的な変化と割り切って

妊娠・つわりの影響は大きく、体にはさまざまな変化が起きます。今まで好きだった飲み物が変な味に感じたり、気分が悪くなってしまうことは、ストレスにも感じるでしょう。しかしほとんどの人は、安定期に入ったり出産が終わったときに元の味覚に戻ります。

一時的な身体の変化だと割り切って、そのときに受け入れられるものを飲んで過ごしていけるとよいですね。

監修:杉山太朗

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杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。

患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

田園調布オリーブレディースクリニック

2022年07月12日

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