【産婦人科医監修】つわりにはビタミンB6がよい?摂取量や上限量について

【産婦人科医監修】つわりにはビタミンB6がよい?摂取量や上限量について

ビタミンB6が多く含まれている食べ物は?

妊娠中はお腹の赤ちゃんやママの健康を維持するためにさまざまな栄養を摂ることが大切です。妊娠中にビタミンB6を摂取するとどのような効果があるのか、妊娠中のビタミンB6の摂取の仕方や適切な摂取量、ビタミンB6が多く含まれている食品について解説します。

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

つわりにはビタミンB6が効果的?

つわりがひどい妊婦さん
UV70/Shutterstock.com
妊娠中、吐き気や胃のむかつき、食欲不振、何か食べていないと気持ち悪くなる、においに敏感になるなど、つわりの症状がつらいこともあるでしょう。

つわりの原因は、医学的に解明されているわけではありませんが、栄養や水分不足、ストレスなどで症状が悪化するといわれています。

ビタミンB6は水に溶けやすい水溶性ビタミンのひとつです。吐き気や食欲不振などの症状を緩和させる効果があり、ビタミンB6を摂るとつわりに効いたということを聞いた人もいるかもしれません。

ビタミンB6の働き

ビタミンB6には以下のような働きがあります。
  • たんぱく質、脂質、炭水化物の代謝を助ける
  • 神経の機能を正常に保つ
  • 動脈硬化を予防する

ビタミンB6は、皮膚や粘膜の健康を維持したり、血液や筋肉を作る、ホルモンバランスを整えるなどの役割があります。

妊婦さんの中には、葉酸サプリを摂取している方もいるのではないでしょうか。ビタミンB6は赤ちゃんの発育に欠かせない葉酸の働きを助ける役割もあります。

葉酸、ビタミンB6を含むビタミンB群に分類される栄養素は、単体ではなくそれぞれの働きを補うため、いっしょに摂取するとよいです。

ビタミンB6の摂取量

ビタミンB6は、通常体内で生成され、極端な食事制限をしなければ不足しにくい栄養素です。妊娠中はお腹の赤ちゃんやママの健康を保つため、1日に必要なエネルギー量や栄養素の量が増えるので、ビタミンB6を意識して摂ることが大切です。

目安の摂取量

妊娠初期、中期、後期のビタミンB6の推奨摂取量は、18~49歳の場合1日1.4mgとなっており、非妊娠時よりも0.2mg多いです。

1日の上限量

ビタミンB6の1日の摂取上限量の目安は45mgです。

バナナにはビタミンB6が多く含まれていて、1本分(150g)で約0.57mgのビタミンB6が摂取できます。

通常の食事からビタミンB6を大量に摂取することはあまりなく、食べ物から過剰摂取すると余分な分が尿として排泄されることが多いです。
出典:日本人の食事摂取基準/厚生労働省
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)/文部科学省

サプリでビタミンB6を摂ってもよい?

ビタミンBサプリ
Jinning Li/Shutterstock.com
できるだけ食べ物から栄養を摂ろうと考えても、吐き気などつわり症状がつらいときは、食事ができないこともあるでしょう。

妊娠中の食事で足りない栄養素をサプリメントで補うのもひとつの方法です。ビタミンB6が手軽に摂取できるサプリや妊婦さんのための葉酸サプリにビタミンB6が含まれているものもあります。

ビタミンB6が含まれているサプリを選ぶときは、甘味料や着色料、防腐剤などの添加物、ビタミンAが含まれていないものを選ぶようにしましょう。

医師が処方した薬を飲んでいる場合、一緒に飲むと飲み合わせが身体に影響することもあるので、サプリを服用するときは、1度かかりつけ医に相談すると安心です。 妊娠中にサプリを飲むときは、摂取量を守るようにしましょう。

ビタミンB6が多く含まれている食べ物

ビタミンB6は以下の食べ物に多く含まれています。
  • 玄米
  • ごま
  • 豚肉
  • かつお
  • レバー
  • じゃがいも
  • パプリカ
  • ピーナッツ
  • いちご

ビタミンB6はさまざまな食品に含まれているため、普段の食事だけでも適度に摂取することはできます。つわりがつらく、食事がうまくできないときは、バナナやいちごなど食べやすい果物で栄養を補うのもよい方法です。

摂取するときの注意点

ビタミンB6を摂取するときの注意点を解説します。

摂りすぎない

ビタミンB6は水溶性ビタミンの一種であるため、食べ物から過剰摂取しても尿中に排泄され、過剰症は起きにくいとされています。しかし、妊娠中にビタミンB6が含まれているサプリメントを飲みすぎると、上限量を超え、神経障害や手足のしびれ、胸やけなどの症状が出る可能性もあるので注意が必要です。

バランスよく摂取する

妊娠中の食生活は、ひとつの食材を偏って摂取するのではなく、多種類の食品を少量ずつ摂ることが理想的です。ビタミンB6が多く含まれた食材だけをたくさん食べるのは避けましょう。

赤ちゃんの成長や産後の母乳育児の準備、ママの健康のためには、ビタミンB6、葉酸などのビタミンB群、鉄分、カルシウム、食物繊維、ビタミンCを栄養バランスよく摂ることが大事です。

ビタミンB6、B1、B2、葉酸などの水溶性ビタミン は、熱に弱く、水に溶けやすい性質があるので、ゆで汁や煮汁をそのまま摂取できる調理方法がおすすめです。

摂取する食材に注意する

ビタミンB6を摂取するときは食材に注意してください。レバーやうなぎに含まれる、動物性ビタミンA(レチノール)は妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんに先天性の器官形成異常が起こる可能性が上がります。

ビタミンB6を上手く取り入れてつわりを乗りきろう

ビタミンBをとる妊婦さん
Dragon Images/Shutterstock.com
ビタミンB6にはつわりを緩和する効果がありますが、摂取してすぐの効果は期待できないかもしれません。

つわりの症状や重さは個人差も大きく、吐き気やむかつきなどの症状が重く、思うようにごはんが食べられないこともありますよね。食欲がないときは、ビタミンB6が多く含まれ、手軽に栄養補給できるバナナなどの果物や食べられるものを食べるようにしましょう。

ママや赤ちゃんの健康を保つために、ビタミンB6や葉酸が含まれたサプリメントを取り入れるものよい方法です。妊娠中はストレスがたまらないように心がけ、バランスよい食生活を心掛けてください。

監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

No Image

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗 監修の記事一覧(バックナンバー)

信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。

患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

田園調布オリーブレディースクリニック

2019年12月18日

基礎知識の関連記事

  • 妊娠中はつわりや味覚の変化が多く、気を付けないといけないことも増えます。そのためどのような飲み物を飲んだらよいのか分からなくなることも。妊娠中におすすめしたいのは、身体を温めるホットの飲み物です。先輩ママたちはホットのどのような飲み物を飲んで、妊娠時期を過ごしていたのでしょうか。体験談をご紹介します

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 不妊検査に行ってみようと思っても、いつ、どのようなタイミングで病院に行くのがよいか迷ってしまうかもしれません。また、初めての不妊検査に行くことは不安な思いもあるでしょう。今回は不妊検査の初診に行くタイミングや、受診に必要なもの、準備しておくとよいことなどを紹介します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 不妊治療で、費用の自己負担がどのくらいになるのか心配する方は多いのではないでしょうか。2022年4月から不妊治療に対する保険適用範囲が拡大されるほか、自治体の助成金もあるため、工夫次第で負担を軽減できることをご存じですか。今回は、不妊治療にかかる費用について目安や具体的な事例、保険適用の範囲、どのくらい予算を用意しておけばよいか、費用を抑えるためにできることをご紹介します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 不妊治療には不安や悩みが付きものですが、その一つが費用負担の問題です。2022年4月からは不妊治療に対する保険適用範囲が拡大され、自治体に申請すればもらえる助成金もあり、工夫次第では以前よりも経済的負担を軽減できるようになりました。それに加え、この記事でお伝えしたいのは、不妊治療の費用を確定申告することで、税金が戻ってくること。「確定申告ってむずかしそう」「調べるのが面倒」という方に向け、メリットや手続きの方法などを解説いたします。

    福本眞也

  • 不妊にはさまざまな原因がありますが、年齢もその中の一つ。女性の人生では、年齢と妊娠の関係を考える機会が多いものですが、もちろん男性も無関係ではありません。妊娠する・させる力(妊孕力)は男女を問わず加齢によって減少します。この記事では、年齢が不妊に与える影響、対処法、妊娠のための生活習慣などを解説します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 不妊治療の結末は誰にも予想ができず、努力をしたからといって必ずしも望んでいた結果が得られるわけではない。「だからこそ、ゴールをどこに置くのかが重要」と産婦人科医の高尾美穂先生は話す。パートナーと同じゴールに向かって協力することが必要不可欠だが、不妊治療のゴールとはどのように設定するのがよいのだろうか

    高尾美穂

  • 世界で初めて体外受精による赤ちゃんが誕生したのが1978年。日本においても不妊治療を受ける方が増え、体外受精による出生児数も増えている。一方で「不妊治療を始める前に知っていただきたいことがある」と話すのは産婦人科医の高尾美穂先生。多忙な現代を生きるわたしたちは妊娠そのものをどう考えたらよいのだろうか

    高尾美穂

  • 妊娠37週から41週のママに起こる前駆陣痛。本陣痛の前に来る不規則な陣痛を指しますが、出産を控えて落ち着かない中で「この異変はもしかして本陣痛?」と勘違いしてしまうことも珍しくありません。この記事では、前駆陣痛の特徴や症状、その他の痛みとの違い、対処法や注意点、体験談をご紹介します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 「子どもがほしい」そう考える夫婦が妊娠・出産を目指して取り組む「妊活」。晩婚化が進む日本では、比例して妊娠・出産を希望する年齢も高くなり、「不妊治療」を受ける方も年々増加傾向にあります。そんな妊活や不妊治療を検討する際に役立つ、基礎知識から不妊治療の課題、海外の事例などを紹介した記事をまとめました。

  • 読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、「3年後に自然妊娠したい」というお悩みに答えます。

    宋美玄(ソンミヒョン)

  • 妊娠兆候のひとつである「インプランテーションディップ」。妊娠を希望する方や、妊活を経験された方は、一度は聞いたことがあるかもしれません。いつ頃に見られる現象なのか、見られなくても妊娠している可能性はあるのか。また基礎体温との関係や、妊娠検査薬はいつから使えるのか、など気になるポイントを解説します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • ふたごやみつごが生まれる割合は、約50年前と比較すると倍増していることを知っていますか?これには、不妊治療が関係しているようです。多胎妊娠のしくみや、母体と胎児それぞれのリスクや、備えておくことなどを田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生に聞きました。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

カテゴリ一覧