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【産婦人科医監修】つわりにはビタミンB6がよい?摂取量や上限量について
ビタミンB6が多く含まれている食べ物は?
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠中はお腹の赤ちゃんやママの健康を維持するためにさまざまな栄養を摂ることが大切です。妊娠中にビタミンB6を摂取するとどのような効果があるのか、妊娠中のビタミンB6の摂取の仕方や適切な摂取量、ビタミンB6が多く含まれている食品について解説します。
つわりにはビタミンB6が効果的?
妊娠中、吐き気や胃のむかつき、食欲不振、何か食べていないと気持ち悪くなる、においに敏感になるなど、つわりの症状がつらいこともあるでしょう。
つわりの原因は、医学的に解明されているわけではありませんが、栄養や水分不足、ストレスなどで症状が悪化するといわれています。
ビタミンB6は水に溶けやすい水溶性ビタミンのひとつです。吐き気や食欲不振などの症状を緩和させる効果があり、ビタミンB6を摂るとつわりに効いたということを聞いた人もいるかもしれません。
ビタミンB6の働き
ビタミンB6には以下のような働きがあります。
- たんぱく質、脂質、炭水化物の代謝を助ける
- 神経の機能を正常に保つ
- 動脈硬化を予防する
ビタミンB6は、皮膚や粘膜の健康を維持したり、血液や筋肉を作る、ホルモンバランスを整えるなどの役割があります。
妊婦さんの中には、葉酸サプリを摂取している方もいるのではないでしょうか。ビタミンB6は赤ちゃんの発育に欠かせない葉酸の働きを助ける役割もあります。
葉酸、ビタミンB6を含むビタミンB群に分類される栄養素は、単体ではなくそれぞれの働きを補うため、いっしょに摂取するとよいです。
ビタミンB6の摂取量
ビタミンB6は、通常体内で生成され、極端な食事制限をしなければ不足しにくい栄養素です。妊娠中はお腹の赤ちゃんやママの健康を保つため、1日に必要なエネルギー量や栄養素の量が増えるので、ビタミンB6を意識して摂ることが大切です。
目安の摂取量
妊娠初期、中期、後期のビタミンB6の推奨摂取量は、18~49歳の場合1日1.4mgとなっており、非妊娠時よりも0.2mg多いです。
1日の上限量
ビタミンB6の1日の摂取上限量の目安は45mgです。
バナナにはビタミンB6が多く含まれていて、1本分(150g)で約0.57mgのビタミンB6が摂取できます。
通常の食事からビタミンB6を大量に摂取することはあまりなく、食べ物から過剰摂取すると余分な分が尿として排泄されることが多いです。
サプリでビタミンB6を摂ってもよい?
できるだけ食べ物から栄養を摂ろうと考えても、吐き気などつわり症状がつらいときは、食事ができないこともあるでしょう。
妊娠中の食事で足りない栄養素をサプリメントで補うのもひとつの方法です。ビタミンB6が手軽に摂取できるサプリや妊婦さんのための葉酸サプリにビタミンB6が含まれているものもあります。
ビタミンB6が含まれているサプリを選ぶときは、甘味料や着色料、防腐剤などの添加物、ビタミンAが含まれていないものを選ぶようにしましょう。
医師が処方した薬を飲んでいる場合、一緒に飲むと飲み合わせが身体に影響することもあるので、サプリを服用するときは、1度かかりつけ医に相談すると安心です。 妊娠中にサプリを飲むときは、摂取量を守るようにしましょう。
ビタミンB6が多く含まれている食べ物
ビタミンB6は以下の食べ物に多く含まれています。
- 玄米
- ごま
- 豚肉
- かつお
- レバー
- じゃがいも
- パプリカ
- ピーナッツ
- いちご
ビタミンB6はさまざまな食品に含まれているため、普段の食事だけでも適度に摂取することはできます。つわりがつらく、食事がうまくできないときは、バナナやいちごなど食べやすい果物で栄養を補うのもよい方法です。
摂取するときの注意点
ビタミンB6を摂取するときの注意点を解説します。
摂りすぎない
ビタミンB6は水溶性ビタミンの一種であるため、食べ物から過剰摂取しても尿中に排泄され、過剰症は起きにくいとされています。しかし、妊娠中にビタミンB6が含まれているサプリメントを飲みすぎると、上限量を超え、神経障害や手足のしびれ、胸やけなどの症状が出る可能性もあるので注意が必要です。
バランスよく摂取する
妊娠中の食生活は、ひとつの食材を偏って摂取するのではなく、多種類の食品を少量ずつ摂ることが理想的です。ビタミンB6が多く含まれた食材だけをたくさん食べるのは避けましょう。
赤ちゃんの成長や産後の母乳育児の準備、ママの健康のためには、ビタミンB6、葉酸などのビタミンB群、鉄分、カルシウム、食物繊維、ビタミンCを栄養バランスよく摂ることが大事です。
ビタミンB6、B1、B2、葉酸などの水溶性ビタミン は、熱に弱く、水に溶けやすい性質があるので、ゆで汁や煮汁をそのまま摂取できる調理方法がおすすめです。
摂取する食材に注意する
ビタミンB6を摂取するときは食材に注意してください。レバーやうなぎに含まれる、動物性ビタミンA(レチノール)は妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんに先天性の器官形成異常が起こる可能性が上がります。
ビタミンB6を上手く取り入れてつわりを乗りきろう
ビタミンB6にはつわりを緩和する効果がありますが、摂取してすぐの効果は期待できないかもしれません。
つわりの症状や重さは個人差も大きく、吐き気やむかつきなどの症状が重く、思うようにごはんが食べられないこともありますよね。食欲がないときは、ビタミンB6が多く含まれ、手軽に栄養補給できるバナナなどの果物や食べられるものを食べるようにしましょう。
ママや赤ちゃんの健康を保つために、ビタミンB6や葉酸が含まれたサプリメントを取り入れるものよい方法です。妊娠中はストレスがたまらないように心がけ、バランスよい食生活を心掛けてください。
監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。