妊娠中に取り入れる食べ物や飲み物のことが気になる妊婦さんは多いのではないでしょうか。妊婦さんが牛乳を飲むことによってお腹の赤ちゃんへアレルギーやアトピーなどに影響するのか気になることもあるかもしれません。妊娠中に牛乳を飲むときの注意点や目安もご紹介します。
妊娠すると食の好みや味覚が変わることがあります。
それまでは苦手だった牛乳を妊娠してから無性に飲みたくなる人がいたり、反対に妊娠前は牛乳が好きだったのに妊娠してから牛乳を飲むと吐き気がしたり気持ちが悪くなる人もいるようです。
また、妊娠すると飲食物に気を遣いますよね。積極的に取り入れたい食べ物や、できるだけ避けたい飲みものがあります。
では、牛乳はどうでしょうか。妊娠中に牛乳を飲むことについて詳しく見ていきます。
妊娠中に牛乳を飲むことでお腹の赤ちゃんに影響はあるのでしょうか。
牛乳を飲むとお腹の中の赤ちゃんがアレルギーやアトピーになりやすくなるのではと心配している妊婦さんもいるかもしれません。中にはアレルギーやアトピーにならないようにと牛乳の摂取を控える人もいるかもしれません。
妊娠中に牛乳を制限すると赤ちゃんのアレルギー疾患を予防できるという医学的根拠はありません。つまり、妊娠中に牛乳を飲むことによるお腹の赤ちゃんへの影響はありません。
それどころか、牛乳を一切飲まないなどの食事制限をすることで妊婦さんの栄養バランスが崩れ、それによりお腹の赤ちゃんの健康面に影響を及ぼすことのほうが心配です。
牛乳には以下の5大栄養素がバランスよく含まれています。
・タンパク質
・脂質
・炭水化物
・ミネラル
・ビタミン
タンパク質、脂質、炭水化物は人間が活動するための基本的なエネルギー源で、その働きを補助しながらさまざまな体の機能を調節しているのがミネラルとビタミンです。
ミネラルの中にナトリウム、カリウム、マグネシウムなどが含まれていて、そのうちのひとつが牛乳に豊富に含まれているカルシウムです。
骨の主成分であるカルシウムは、お腹の赤ちゃんの骨や歯を形成する大切な栄養素です。妊娠中や授乳中は、ママの体からお腹の赤ちゃんへカルシウムが移行するため、適量を取り入れましょう。
牛乳200mlに含まれるカルシウムの量は220mgで、成人女性の1日の推奨量は650mgです。しかし、日本人の平均的なカルシウム摂取量は少なく、20歳代女性で457mg、30歳代女性で465mgとカルシウムの食事摂取基準量の目安を下回っています。
1日の摂取目安としては牛乳1本(180ml)を日頃から摂取するようにしましょう。妊娠後期や授乳期にはそれに加えて牛乳コップ1杯(90ml)、もしくはスライスチーズ1枚、ヨーグルト1パックを摂取して必要とされるカルシウム量を取り入れられるようにするとよいでしょう。
妊娠中に取り入れたい牛乳ですが、注意が必要なこともあります。
牛乳100mlあたりのエネルギー量は67kcal、低脂肪乳で46kcal程です。牛乳はカルシウムが豊富に含まれていますが、カロリーや脂質も比較的高い飲み物のため、飲み過ぎると太る原因となります。
栄養豊富な牛乳は喉をうるおす目的ではなく、栄養摂取のために適量を取り入れましょう。
妊娠中に関わらず牛乳を飲んだりヨーグルトを食べると下痢をしたり、腹痛を引き起こす人もいます。これは、酵素のラクターゼが欠乏しているために起こる「乳糖不耐症」という症状です。
冷たい牛乳を飲むと下痢や腹痛を起こす場合は、温めた牛乳にするなどの工夫をするとよいでしょう。
下痢をすることでお腹の赤ちゃんに影響を与えることはありませんが、牛乳で下痢や腹痛、吐き気などの症状が出る場合は無理に飲もうとせず、牛乳以外の飲食物からカルシウムを取り入れましょう。また、妊婦さんが牛乳アレルギーを持っている場合も牛乳の摂取は控えたほうがよいでしょう。
牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は他の食材と比べてカルシウム吸収率が高く効率よく取り入れることができます。カルシウムが豊富な食材はほかにも、木綿豆腐、こまつな、わかさぎ、ひじきなどがあります。
牛乳を飲むことでお腹の赤ちゃんがアレルギーやアトピーになるリスクは確認されていません。カルシウムが豊富に含まれている牛乳は妊娠中も積極的に取り入れたい飲み物です。
ただし、飲み過ぎると冷えや下痢などを引き起こしたり、太る原因となるため目安の摂取量を守りましょう。
妊娠中も成人女性の摂取目安量を意識して牛乳1本程取り入れるとよさそうです。妊娠後期や授乳中はカルシウムが赤ちゃんに移行することを考えて、1杯の牛乳にプラスして半量ほど牛乳などの乳製品を摂取しましょう。
2019年12月17日
ウイルスによって引き起こされる風疹は、免疫が十分にない人に対して強い感染力を持っています。妊娠時期に風疹にかかった場合、どのような影響があるか気になる人もいるのではないでしょうか。今回は、妊娠中に風疹にかかった場合の影響、風疹の予防接種後に妊娠がわかったときの対応、妊娠中の風疹の感染対策などについて解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
女性の体にさまざまな変化が起こる妊娠初期。この時期、どのような食べ物に注意したらよいのか気になる人もいるかもしれません。今回の記事では、妊娠初期の食べ物や、食べ物から摂りたい栄養素、妊娠初期のつわり対策などについて紹介します。
妊娠中はホルモンバランスの乱れやつわりなど体にさまざまな変化が現れますが、なかでも気になるのが体重の増加。急激に体重が増えた場合、ダイエットをするべきか迷うこともあるのではないでしょうか。今回は、妊娠中に体重が増える原因や影響、体重管理のコントロールについて解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
子どもを出産したいと思ったときに後悔しないように、今から知っておきたい妊娠・妊活の正しい知識。前編では、妊娠・妊活にまつわる誤解についてお伝えしました。後編では、結婚適齢期がなくなっても、妊娠適齢期は変わらずにある現状をテーマに、新しい不妊治療の技術などについてお伝えします。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
「いつかは出産したい」「いつかは2人目がほしい」と考えている女性は多いのではないでしょうか。今回は、そんな「いつか」のために知っておきたい、妊娠・妊活の正しい知識をお伝えします。前編のテーマは、妊娠・妊活にまつわる誤解について。どのような誤解があるのか、なぜ誤解が生まれるのかを、産婦人科専門医の浅田先生にお話いただきました。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
卵子の質や数は妊娠に大きく関わる大きな問題。妊活において、自分の卵子はどのような状態なのか気になることもあるでしょう。今回は、卵子の老化やサイン、年齢との関係、妊娠率への影響などについて紹介します。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
妊活をスタートさせたとき、まずは妊娠の確率を上げるために排卵日を予測しパートナーとの営みに取り組むタイミング法を試す人は多いかもしれません。基礎体温を測る以外に排卵日を知る方法はあるのでしょうか。排卵日の予測の仕方や過ごし方について詳しく解説します。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
妊活のために病院で検査を受けるタイミングはいつがよいのでしょうか。いざ病院に行こうと思っても、妊活の病院選びについて悩むことがあるかもしれません。この記事では、いつから病院に行ったらよいのかや、妊活の病院選びのポイント、女性と男性それぞれ病院でどのような検査を行なうのかなどをご紹介します。
浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
妊娠がわかったとき、母子手帳はいつもらえるのかやどこでもらうのかを知りたいという方もいるのではないでしょうか。今回の記事では、母子手帳の交付時期や交付場所、交付に必要な持ち物と母子手帳の活用法について紹介します。
妊活中にカフェインを摂取しても大丈夫なのか気になる方もいるのではないでしょうか。コーヒーや紅茶などの飲み物を飲んでリフレッシュしたいということもあるでしょう。カフェインの作用や妊活中にカフェインを摂取するときの注意点、妊活中の男性のカフェイン摂取について解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
将来出産することを考えて、妊活を考える方もいるでしょう。妊活の準備をすることをプレ妊活と言いますが、具体的に何をすればよいのでしょうか。プレ妊活で行うことや妊娠前に受ける検査、準備で男性が心がけることや2人目について解説します。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
お腹の赤ちゃんの性別によって、つわりの重さやお腹の出方など体調に違いはあるのか気になるママもいるかもしれません。今回は、妊娠中に女の子だといつわかるのか、女の子のママたちが妊娠中に感じていたこと、体調の変化や特徴などの体験談をご紹介します。