【産婦人科医監修】妊娠初期と風邪や熱との違い。妊娠初期の症状について

【産婦人科医監修】妊娠初期と風邪や熱との違い。妊娠初期の症状について

熱っぽさ、だるさ、眠気などの倦怠感など

妊娠すると体に熱っぽさを感じたり、だるさや眠気などの倦怠感を感じる人も多くいます。妊娠初期の体調の変化は、風邪や生理前の症状と似ていることも多く、妊娠を風邪と勘違いしてしまうこともあるかもしれません。妊娠初期は身体にどのような症状が現れるのか、妊娠の初期症状と風邪の症状の違いを詳しく解説します。

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

風邪だと思ったら妊娠していた

妊婦さんの中には、風邪だと思っていたら妊娠していたという経験がある方もいるようです。

妊娠初期の13週~14週目くらいまでは、ホルモンバランスの変化により体温が平熱よりも0.2~0.3℃高い状態が続くことが多くあり、熱っぽさを感じ、風邪と勘違いしてしまうこともあります。

また、体温の上昇以外にも頭痛、吐き気や鼻のつまり、食欲の減退、眠気、体のだるさなど「つわり」の症状は風邪の症状と似ていることが多いです。

妊娠のサインに早く気づくためには、妊娠初期の「つわり」の症状と風邪の症状の違いについて知識を得ることが大切です。

妊娠の初期症状の特徴

妊娠による便秘
fizkes/Shutterstock.com

妊娠初期の「つわり」の症状には個人差がありますが、妊娠の初期症状の特徴は以下の通りです。

  • 乳房の張りや痛み
  • 乳頭や乳輪の黒ずみ
  • においに敏感になる
  • 便秘・下痢
  • 出血
妊娠すると、卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)などの女性ホルモンの分泌量が増加し乳房に張りを感じたり、乳首や乳輪が敏感になったり黒ずんだりすることがあります。またにおいに敏感になることもあります。

黄体ホルモンの影響により、腸の動きが鈍くなり便秘や下痢になりやすいのも妊娠の初期症状の特徴です。

受精卵が着床する際、少量の出血が起こる着床出血も妊娠初期によく見られる症状です。

風邪の症状の特徴

風邪のみに見られる症状は、以下の通りです。

  • 発熱
  • のどの痛み
風邪はウィルスが原因となり発症するので、体の免疫機能が働き発熱したり、喉の痛みや咳の症状が現れます。妊娠初期に発熱やのどの痛み、咳の症状が現れることはありません。

ただし、鼻水や鼻のつまりは、妊娠初期のホルモンバランスの変化や免疫の低下により起こることがあります。

風邪と妊娠の違い

妊娠の初期症状と風邪の症状の違いについて詳しく説明します。

生理の有無

予定日から1週間以上経っても生理が来ないときは、妊娠の可能性があります。妊娠初期には、生理予定日の1週間~数日前に着床出血がある妊婦さんもいるので、生理と間違えないように注意しましょう。着床出血は、ほとんどの場合2、3日程度で出血が止まります。

専門家も以下のように言っています。
症状では何とも言えないです。生理が1週間遅れた時点で妊娠反応してみましょう。
出典: AskDoctors
生理の有無は、妊娠と風邪を見分けるひとつの指標ですが、環境の変化やストレスなどが原因で生理が遅れることも珍しくはありません。

自己判断はせず生理予定日から2~3日経過したあとに妊娠検査薬を使用したり、産婦人科で診断してもらいましょう。

関節痛の有無

関節痛の女性
Africa Studio/Shutterstock.com
風邪の場合、熱の上がり際に関節が痛むこともあるでしょう。妊娠の初期症状に微熱と同時に関節の痛みが現れることはほとんどありません。寒気や悪寒、発熱と同時に関節痛の症状がある場合、風邪や他の病気を疑いましょう。

ただし、妊娠するとホルモンバランスの変化により骨盤や背骨の関節、靭帯が緩みます。その影響で骨盤が不安定になり腰や背中に負担が増え腰痛を引き起こします。腰痛は妊娠中によく見られる症状です。

熱の上昇

身体に熱っぽさや火照りを感じたり、微熱が出る症状は妊娠初期にも起こりますが、妊娠中に高熱が出ることはほとんどありません。38℃以上の熱が続く場合は、風邪や他の病気の可能性があります。

妊娠初期は風邪をひきやすい

妊娠初期は、免疫力が低下するため風邪をひきやすくなったり、インフルエンザなどの感染症が重症化する可能性もあるので注意が必要です。

妊娠初期の兆候があり、高熱が出る、出血が続くなどの症状が見られた場合は、速やかに病院を受診してください。

40℃を超える高熱が3日以上続くと赤ちゃんの負担も大きくなるので症状が重症化する前に早めに対処することが大切です。

妊娠と風邪の見分け方は自己判断せずに病院へ

病院で受診する
Chinnapong/Shutterstock.com

妊娠初期の症状と風邪の症状は似ていることが多いので、判断するのは難しいこともあるでしょう。風邪や他の病気の場合は、発熱に伴う寒気や関節痛など特有の症状があります。

予定日になっても生理が来ないまま、微熱や頭痛、鼻水、体のだるさなど風邪のような症状が続いている場合は、妊娠している可能性があります。

妊娠の有無は、生理予定日から2~3日経過したあとに妊娠検査薬で確認したり、病院へ行き診断を受けることが大切です。

また、生理前や妊娠初期は、ホルモンバランスの変化により免疫が低下し風邪をひきやすくなります。少しでも妊娠の可能性があるときは、いつもの風邪と同様の症状でも無理は禁物です。

妊娠初期は風邪や感染症の症状が重症化しやすいのも特徴なので、熱が下がるまでは安静を心掛けましょう。高熱が出た場合は、速やかに病院を受診しましょう。

監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

No Image

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗 監修の記事一覧(バックナンバー)

信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。

患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

田園調布オリーブレディースクリニック

子どもの病気に関する不安や悩みは、医師の回答で今すぐ解決!

日本最大級の医師Q&Aサイト アスクドクターズ(AskDoctors)

「子どもが頭を打った」「外食して2時間後にじんましんが出た」など、子どもの病気や気になる症状について医師に相談できるのが、日本最大級の医師Q&Aサイト「アスクドクターズ」です。

最短5分で複数の医師から回答がもらえるだけでなく、200万件以上の相談事例を症状や病名から検索することもできます。

かかりつけ医とともに、子育て中のママやパパの頼もしい味方になってくれそうですね。

2019年11月21日

  • 「黒人」のイメージはどう作られた?【親子で学ぶ差別/前編】
    エンタメ
    取材レポート

    「黒人」のイメージはどう作られた?【親子で学ぶ差別/前編】

    親子で「差別」について考える連載。コミックエッセイストのハラユキさんといっしょに、さまざまな専門家の方々に疑問を投げかけ、子どもへの伝え方を学んでいきます。第3回目は、一橋大学大学院社会学研究科でアメリカ社会史を教える貴堂嘉之さんが登場します。

  • 「常識を疑え」アート思考と子育ての共通点【末永幸歩】
    エンタメ
    取材レポート

    「常識を疑え」アート思考と子育ての共通点【末永幸歩】

    「アート思考」という言葉を聞いたことはありますか?「自分なりのものの見方」や「自分だけの答え」を大切にするこの思考プロセスは、実は子育てにもつながる部分があるのです。『13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社)の著者であり子育て真っ最中の末永幸歩さんに話を聞きました。

  • 【ケロポンズがアドバイス】音で楽しくお風呂の習慣づけ「この音がお風呂の合図!」
    ライフスタイル
    レクチャー

    【ケロポンズがアドバイス】音で楽しくお風呂の習慣づけ「この音がお風呂の合図!」

    ノーリツの給湯器の「お湯はりの完了メロディー」は多くの日本人にとってなじみがあるのではないでしょうか。実はこのメロディー、音商標も取得していて多くの人の「お風呂の音」になっていると思います。今回の記事では「音」で楽しい保育を実践しているケロポンズのお二人に、お湯はりメロディーをお風呂の習慣づけに楽しく活用する方法など、上手な生活習慣の身につけ方について教えてもらいました。

    株式会社ノーリツ

    PR

基礎知識の関連記事

  • 「子どもがほしい」そう考える夫婦が妊娠・出産を目指して取り組む「妊活」。晩婚化が進む日本では、比例して妊娠・出産を希望する年齢も高くなり、「不妊治療」を受ける方も年々増加傾向にあります。そんな妊活や不妊治療を検討する際に役立つ、基礎知識から不妊治療の課題、海外の事例などを紹介した記事をまとめました。

  • 読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄先生が、「3年後に自然妊娠したい」というお悩みに答えます。

    宋美玄(ソンミヒョン)

  • 妊娠兆候のひとつである「インプランテーションディップ」。妊娠を希望する方や、妊活を経験された方は、一度は聞いたことがあるかもしれません。いつ頃に見られる現象なのか、見られなくても妊娠している可能性はあるのか。また基礎体温との関係や、妊娠検査薬はいつから使えるのか、など気になるポイントを解説します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • ふたごやみつごが生まれる割合は、約50年前と比較すると倍増していることを知っていますか?これには、不妊治療が関係しているようです。多胎妊娠のしくみや、母体と胎児それぞれのリスクや、備えておくことなどを田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生に聞きました。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 人によって治療期間や心理面、体調面の負担が大きく異なる不妊治療。周囲の人に相談できない、パートナーと足並みをそろえて取り組めないなどといった悩みをひとりで抱える人も多くいます。日本ではあまり普及していない「カウンセリング」を、不妊治療の場でも上手く活用するためには?生殖心理カウンセラーの平山史朗さんに話をうかがいました。

    平山史朗

  • 治療ステップによっては高額な医療費がかかる不妊治療。現在日本では人工授精以降の治療ステップは自己負担だが、2022年春をめどに保険適用の範囲を拡大する動きがある。実現すれば、経済的な理由で不妊治療をあきらめていた方たちにとって一つの転機になるが、海外では不妊治療の多くをすでに保険適用としている国も少なくない。いくつかの国を挙げ、不妊治療の経済的支援の事例をみていく。

  • ライフスタイルやキャリアの多様化に伴い、未婚、晩婚、晩産化が進んでいる。不妊治療を視野に入れたときに、費用や仕事との両立はどうなるのか。「不妊治療を始めようと決めたものの、お金のことや、どんな治療やサイクルで進めるのかイメージが沸かない」という方へ向けて、データと体験談で解説していく。

  • ライフスタイルやキャリアの多様化に伴い、未婚、晩婚、晩産化が進んでいる。不妊治療を視野に入れたときに、費用や仕事との両立はどうなるのか。「不妊治療を始めようと決めたものの、お金のことや、どんな治療やサイクルで進めるのかイメージが沸かない」という方へ向けて、データと体験談で解説していく。

  • ウイルスによって引き起こされる風疹は、免疫が十分にない人に対して強い感染力を持っています。妊娠時期に風疹にかかった場合、どのような影響があるか気になる人もいるのではないでしょうか。今回は、妊娠中に風疹にかかった場合の影響、風疹の予防接種後に妊娠がわかったときの対応、妊娠中の風疹の感染対策などについて解説します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 女性の体にさまざまな変化が起こる妊娠初期。この時期、どのような食べ物に注意したらよいのか気になる人もいるかもしれません。今回の記事では、妊娠初期の食べ物や、食べ物から摂りたい栄養素、妊娠初期のつわり対策などについて紹介します。

  • 妊娠中はホルモンバランスの乱れやつわりなど体にさまざまな変化が現れますが、なかでも気になるのが体重の増加。急激に体重が増えた場合、ダイエットをするべきか迷うこともあるのではないでしょうか。今回は、妊娠中に体重が増える原因や影響、体重管理のコントロールについて解説します。

    杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

  • 子どもを出産したいと思ったときに後悔しないように、今から知っておきたい妊娠・妊活の正しい知識。前編では、妊娠・妊活にまつわる誤解についてお伝えしました。後編では、結婚適齢期がなくなっても、妊娠適齢期は変わらずにある現状をテーマに、新しい不妊治療の技術などについてお伝えします。

    浅田義正(医療法人浅田レディースクリニック理事長)

カテゴリ一覧