赤ちゃんの睡眠が不規則になる睡眠退行。月齢別の原因、チェックリスト

赤ちゃんの睡眠が不規則になる睡眠退行。月齢別の原因、チェックリスト

赤ちゃんの睡眠が不規則になる「睡眠退行」を知っていますか?せっかくまとまって眠るようになったのに、再び赤ちゃんの寝つきがわるくなると困りますよね。今回は、睡眠退行とはなにか、月齢別の原因や対処法、ママの体調・ストレスケアについて、体験談を交えて解説します。

「睡眠退行」とは

睡眠退行

「睡眠退行」は、赤ちゃんの睡眠が不規則な状態に戻ってしまうことです。

睡眠リズムが整ってきたと感じた矢先に急に寝つきにくくなったり、夜に何度も起きたりすることが見られると、睡眠退行かもしれません。

睡眠退行は、およそ生後4カ月から2歳ころまでの期間に数回みられることが多いですが、起こる時期や期間などは個人差があります。

数週間から1カ月以上続くこともあるほか、月齢が進むにつれて起きる頻度が少なくなる、時期を過ぎるとまた元の睡眠リズムに戻るといった傾向もあるようです。

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睡眠退行の主な原因

睡眠退行の主な原因は、個人差はありますが月齢によって変化するでしょう。原因について月齢別に解説します。


4カ月頃

4カ月頃

生まれたばかりの赤ちゃんは、寝たり起きたりの細切れ睡眠を繰り返しながら、1日のほとんど眠ってすごします。生後4カ月頃には、ある程度まとまって眠れるようになる子も。

そういった脳の発達や体の変化のために睡眠退行を起こすことがあるようです。そのほか、生活習慣や環境が影響している場合もあるでしょう。

この頃の睡眠退行は長く続くケースがあり、浅い眠りであるレム睡眠の際には赤ちゃんが完全に目覚めてしまうことも。赤ちゃんが夜中に起きてからなかなか寝つかず、大変な思いをするママやパパが多い時期かもしれませんね。


8カ月頃

生後8カ月頃は、普段お世話をしてくれる人から離れることに不安を感じて、嫌がって泣いてしまう発達過程「分離不安」が原因で、睡眠退行になることがあるようです。

また、この時期の多くの赤ちゃんは歯が生え始めるため、それによる痛みや不快感で起こる「歯ぐずり」も原因に。赤ちゃんが寝つきにくくなったり夜中に目を覚まして、ぐずったりする可能性もあるでしょう。

そのほか、身体能力が上がることにより今までの寝具で落ち着かなくなったり、保護者が赤ちゃんの睡眠スケジュールを調整したことが影響するなど、さまざまな要因が考えられるようです。


11~12カ月頃

11~12カ月頃の時期も複数の要因が考えられますが、主に8カ月頃と同じく分離不安や歯ぐずり、体の成長、寝かしつけの変化などが考えられます。

この頃になると、感情が発達することで分離不安が以前よりも強くなってきたり、歩けるようになって活動レベルが上がることで、刺激を受けすぎて眠りが浅くなることもあるでしょう。

また、早い子では悪夢を見るようになり、それが原因して夜中に目が覚めたり、寝るのをいやがることもあるようです。


18カ月頃(1歳半頃)

18カ月頃(1歳半頃)

18カ月頃(1歳半頃)になると、自分の意志をしっかり主張するようになる子もいて、もう赤ちゃんではなく幼児と呼べるでしょう。

自分の思う通りにならないことがあると癇癪を起こすこともあり、この子どもの自立心が睡眠退行にも関係してくることがあるようです。

昼寝したくないと泣いて怒ったり、夜はママと一緒じゃないと寝ないなど、身振り素振りで反抗をしてくることもあるかもしれません。

また、18カ月頃(1歳半頃)は、4つの犬歯や奥歯が生えてくる子もいて、その際の痛みが睡眠へ影響することも。分離不安がまだ続いている場合も、いつもお世話をしてくれる人がいないと寝つかなかったり、夜中起きた際に不安で泣くこともあるでしょう。


2歳頃

2歳頃になると、活動時間が長くなり1日1回昼寝をするようになる子もいます。体力がついてお昼寝から就寝までの時間が短いことで、寝かしつけに時間がかかるケースがあるようです。

また、脳の成長やいろいろな経験を重ねたことで、暗い所やおばけが怖い、きょうだいが増えたなど不安なことも増えてくる時期のため、それが睡眠退行の原因になることもあるでしょう。

イヤイヤ期のため「眠気」や「寝る時間」に反抗することも。入眠の癖へのこだわりも強まり、寝る時は「あの毛布じゃないといや!」「水が欲しい!」と多くの要望を伝えてくることもあるかもしれません。

ママやパパへの愛着が強く、添い寝をしている場合に離れると起きたり、体を触って存在を確認したりする子もいるでしょう。

睡眠退行の対処法

睡眠退行の対処法についていくつかご紹介します。


睡眠環境を整える

睡眠環境を整える

明るい部屋はもちろんですが、真っ暗な部屋を怖がって寝つけない子どもも多いかもしれません。部屋を暗くした状態で、常夜灯などを活用して少しだけ明るくしてあげると安心する子もいるでしょう。

寝室の室温は、大人が少し涼しいと感じる20℃〜22℃程にして、加湿も行いましょう。エアコンは冬は18〜20℃、夏は25〜27℃に設定しましょう。子どもは大人よりも体温が高いため、大人が適温と感じる温度でも子どもにとっては暑すぎることもあるようです。

また、夜中に浅い睡眠になって少し起きたときに、寝かしつけの時と違う状況だと子どもが不安になり泣いて起きてしまうことも。室温を一定にするなど同じ環境を保ってあげることで、目が覚めてもそのままスッと寝てくれることもあるでしょう。


分離不安に理解を示す

ママやパパへの分離不安に対しては、子どもへ寄り添って理解を示してあげるとよいかもしれません。

「ママやパパと一緒がいいんだね」「部屋が暗いのが嫌なんだね」と声かけをして子どものことをわかっていることを伝えて、不安を和らげてあげましょう。

お気に入りのぬいぐるみや、ママやパパの匂いのする洋服と一緒に寝かせてあげると、子どもが落ち着いて寝ついたというママの声もありました。


1日の生活リズムを整える

1日の生活リズムを整える

毎日、同じ時間に眠って起き、子どもの生活リズムを整えてあげることで、スムーズに眠れることがあるようです。生後6カ月までに朝と夜の生活リズムを整えると夜型になりにくいと言われています。生後3カ月以降の赤ちゃんは朝は6〜7時に起こすようにしましょう。

朝は起きたら、できればカーテンを開けて朝日を入れて下さい。朝日をいっぱい浴び幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の分泌を促してあげましょう。セロトニンが夜にかけて睡眠ホルモンの「メラトニン」に変化し、寝つきやすくなるかもしれません。

寝る1時間程前には、照明を落としたり、あたたかいものを飲むなどして体も心もゆったりとすごすようにし、寝る直前に食事をしたり全力で遊ぶことは避けましょう。

日中の活動量が少ないと、体力が余って眠れない可能性や、昼寝せずに起きている時間が長いと、疲れすぎてしまい寝つきが悪くなる場合も。

保育園に通っている子どもは、平日より休日の方が活動量や刺激が少ないため、心地よい疲労感が得られず、眠れなくなってしまうこともあるようです。

赤ちゃんでも刺激が少ない生活を続けていると体力が余る原因に。休日でも、お散歩をして外の空気を吸ってみるなど、日中は体を動かせるとよいですね。

<1日のスケジュール例>

・生後4カ月の場合

7:00 起床、授乳

8:00 遊び時間

10:00 朝寝

11:00 授乳

11:30~ 散歩、遊び時間

14:00 授乳、お昼寝

16:00~17:00 授乳、遊び時間

19:00 入浴

20:00 授乳、就寝

(1:00~3:00 夜中に起きて授乳)

・2歳の場合

7:00 起床、朝食

8:00 遊び時間

12:00 昼食

13:30~ お昼寝

15:00 遊び時間

18:00 夕食

19:00 遊び時間

20:00 入浴

21:00 就寝


寝る前の入眠儀式を徹底する

寝る前の入眠儀式を徹底する

寝る前の入眠儀式として、毎日一貫性を持って同じルーティンをしてあげると、寝つきがよくなることがあるようです。

たとえば、お風呂→お着替え→歯ブラシ→布団に入りお話する→就寝という簡単なものでよいでしょう。

子どもが怖いと感じることやものに対してポジティブになれる絵本やグッズをルーティンに取り入れたり、絵本を読むなど遊ぶ時間を少し作って子どもが満足できる工夫をしてあげると寝つきやすかったというママの声もありました。

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睡眠の質を上げる

睡眠時間は長い方がよいと思いがちですが、短い時間でも質の良い眠りをとることで十分ストレスなくすごせることもあるようです。

食事をして3時間後くらいの就寝を目指し、もし空腹感を感じる場合はクラッカー、小さなおにぎりなど少量の炭水化物をとるとセロトニンが分泌され眠りにつきやすくなるかもしれません。

騒音が気にならない静かな環境をつくる、寝室で空気清浄機や加湿器を使用する、お気に入りの音楽を聴く、38~39℃程のぬるめのお風呂に入って副交感神経を優位にする、睡眠に入る前に悩みなどを思い浮かべないことも、よい眠りをとる手助けとしておすすめです。

また、寝かしつけ中にスマホを操作する人は多いかもしれません。しかし、スマホの液晶画面から放たれるブルーライトは脳を覚醒させる作用があり、眠りに影響を及ぼすことも。スマートフォンやテレビなどは夜7時までにしましょう。それ以降見ていると睡眠に影響を与えると言われています。

自分で直接操作をしていなくても、他の家族のスマホの画面から放たれる光が影響する場合もあるため、できるだけ寝室へスマホを持っていくことは控えたほうがよいかもしれません。

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栄養をしっかりとる

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食生活によって、ストレスの感じ方が変わることもあるかもしれません。

ファーストフード、スナック菓子など油脂、糖分が多い食事は、頻繁にとるとストレスを感じやすくなることも。喫煙によってビタミンCを壊してしまい、日頃からイライラしやすくなる場合もあるようです。

できるだけ野菜、たんぱく質、カルシウム、ビタミン群をバランスよくとり、体にやさしい食生活を心がけましょう。


肩の力を抜いて頑張りすぎない

寝かしつけを頑張りすぎると、「なぜ寝ないの?」と思い通りにいかないことにストレスを感じてしまうこともあるかもしれません。

「必ずいつかは寝る」と肩の力を抜いて、気持ちにゆとりをもちながら寝かしつけを捉えると、少し気持ちが楽になることもあるでしょう。

ひとりで抱え込まず、ママが寝かしつけを担当する際は他の家事をパパに頼むなど、家族で協力しあいましょう。

保育園の先生に寝かしつけの方法について相談してみると、自分では思いつかなかった良いアドバイスをもらえたというママの声もありました。

ママたちの体験談

睡眠退行について、ママたちに体験談を伺いました。

 
 

1歳頃、今までは起きなかった夜中に起きるので「早く寝て!」と思っていました。

起きられるときは抱っこしていましたが、ほとんど起きられず、薄れる記憶の中で泣き声が聞こえていました

 
 

次男が1歳くらいのときに少し睡眠が不規則になったような気がします。それまで夜泣きなどもあまりしなかったのでなぜだろう?と思っていました。

原因はわからないのですが、わたしが在宅仕事でピリピリしていたのが原因だと思っており、その仕事が終わるまで3カ月くらい続きました

 
 

私自身がそもそもどこでも寝ることができ、短時間睡眠&細切れ睡眠OKなタイプなことに加えて、子どもが3人とも0歳児から保育園児だったので、比較的子どもの睡眠問題で困ったことはないです

 
 

1歳になる前くらいまではミルク育児だったので、割と安定して眠っていてくれましたが、夜泣きをすることがあった気がします。

原因はわからなかったのですが、とにかく寝るまで抱っこしていました。でも1カ月もかからずまた安定して寝てくれるようになったので、もしかしたらこれが睡眠退行だったのかもしれません

 
 

睡眠退行という言葉を初めて知りました!我が家はきょうだい三人とも、卒乳するまでずっと細切れ睡眠で、明確にしっかり寝るようになったのは卒乳後です。その後は卒乳前が嘘のようにぐっすりと眠るようになりました

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急に睡眠退行が起こると、その対処に追われることでママやパパの毎日の睡眠時間が減り、負担になることもあるでしょう。

しかし、今回ご紹介した原因やママの体調ケアの方法などをあらかじめわかっておくことで、ストレスも減るかもしれません。子どもが成長の時期を迎えたと考えて、ポジティブにとらえましょう。

また、睡眠退行が起こるかどうかは個人差があります。兆候がみられなくても気にしすぎず、他の子どもと比較せずにあたたかく見守ってあげられるとよいですね。


監修:保科しほ

Profile

保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)

保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)

日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
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