子育てはいつからでもやり直せる。「自分らしい育児」を貫く重要性

子育てはいつからでもやり直せる。「自分らしい育児」を貫く重要性

2024.10.30

KIDSNA STYLE編集部が選ぶ、子育てや教育に関する話題の最新書籍。今回は、『愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)。「りんごの木」代表であり、50年以上に渡り子どもと親に向き合ってきた柴田愛子さんが、42人の親のリアルな悩みに優しく、ときには強く答えます。本記事では、6人のお悩みと愛子さんの回答を抜粋して紹介します。

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遊んであげようと思わなくてOK。子どもの好きにさせてみて

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イラスト 海谷泰水

愛子先生:子どものテレビの視聴時間は、専門家の間でも色々意見はありますが「長時間の見せっぱなしはいけない」という声は多く聞かれます。ただ、現実問題を考えるとテレビを見せることは仕方がない面もあると思います。テレビに頼ってもいいけれど、それ以外の時間を大切にすればいいのです。

お母さんは「おもちゃなどで遊んでも間が持たない」と言いますが、子どもの好きにさせてみてください。遊んであげようと思わなくていいです。1歳だと紙を破ったり、梱包材のプチプチをつぶしたり、穴に指を突っ込んだりします。指先が動くようになったのが嬉しいのです。やがて、ティッシュペーパーをひっぱり出すのにはまったり、物を投げたりもするでしょう。

子どもは身体的機能が発達する道筋に合う遊びに夢中になるのです。それはおもちゃとは限りません。まず、子どもを眺めてください。子どもが求めているものが見えてくると、ペットボトルにお米を入れて振ると音が楽しめるおもちゃを、あなたが考えつくかもしれません。ただし、コンセントに物や指を突っ込むなんてことも起こりかねませんから、安全対策はしてくださいね。


2歳のイヤイヤ期。何がイヤなのかは子ども自身でもわからない

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イラスト 海谷泰水

愛子先生:子どもの気持ちがわからなくて手がつけられない。特に眠たいときは最悪ですよね。しかし、子どもも睡眠に入るときは、どうしていいかわからないのです。眠たいけど、寝たくない。子どもで喜んで寝る子はめったにいません。睡眠に入るとき、真っ暗な中に吸い込まれていく恐怖感があるのではと私は思っています。

それでなくても2歳になると、自我が芽生えてイヤイヤ期が本格的に始まります。気持ちがイライラしたり、不安になったりして、子ども自身もそれがどうしてなのか、どうしたらいいのか、わからないのです。親がわかるはずもありません。わかろうと思わなくてもいいです。

子どもは理由より気持ちをわかってほしいのです。スキンシップをとりながら「イヤなんだよね。どうしていいかわからないよね」と子どもの気持ちを言葉にしてみましょう。子どもは「私の気持ちをわかってくれた」と思えると、落ち着いたりします。4歳くらいになれば自分の気持ちが把握できるし、言葉で表現できるようになるので、ぐずぐずは減ってきますよ。


保育園でつらい思いをしているとき、家庭では無条件に受け入れて

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イラスト 海谷泰水

愛子先生:子ども時代は、バイオリンや太鼓が弾けるより、体を使って思い切り遊んだほうが断然いいに決まっています! 子どもは自由な時間を過ごすことで、心身ともに成長します。

さて、転園についてですが、無理には勧めません。しかし真剣に考えているのであれば、息子さんの意見を聞いてください。年長児ともなると友達や仲間関係があります。保育者からいくら怒られようとも、息子さんには居場所になっているかもしれません。

もし転園しない場合は、子どもが園に対して不満を言ってきたとき「うん、うん」とよく話を聞いてあげてください。決して否定せず「どうして怒られるんだろうね」「頑張ってるね」「ママは、そういう〇〇くんが大好きだよ」と肯定してあげてくださいね。無条件に受け入れてくれる家族がいれば、心が折れたり、ねじ曲がったりすることはありません。子どもの心を受け入れることを大事にしてください。


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「イメージの世界」を持つお子さんは魅力的

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イラスト 海谷泰水

愛子先生:私がかかわった子どもに、「うちにはさっちゃんがいるの」と言う3歳の子がいました。本当はいないのですが、その子には見えているようです。3歳くらいまでの子には、イメージの世界で生きていることはよくあります。木も、石も、人形も何もかもが自分と同じ命を持っているように思える時期です。

少しずつそんな世界から人間界に引きずり込まれてきますが、4歳はまだイメージの豊かさを持っています。それを言葉で表現できてしまうので、大人の価値観で「ウソ」と言ってしまいがちです。でもそれは残念なこと。ウソか本当かではなくイメージの世界の話。息子さんの場合は、「お寿司が出たらいいな」「海に行きたいな」という自分の望みかもしれませんね。

思い起こしてください。昔話って、ありえないことばかりです。川に桃が流れてくるわけないし、割ったら桃太郎が生まれてくるわけはない。でも、聞く者の心をくすぐり、伝承されてきたのです。そして、本来子どもはみんなそんな能力を持っています。ところが現代の生活にはイメージでの遊び文化がなくなりました。

このようなイメージの世界を持つお子さんは魅力的です。家族でウソ話に花を咲かせて大笑いしませんか?本や物語を通してもっと豊かな世界を楽しむのも素敵です。目に見えない自分の世界を描ける能力を大事にしてあげてください


家で積極的であれば、学校で消極的でも心配なし

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イラスト 海谷泰水

愛子先生:ご相談のお子さん、私の昔の姿とそっくりです。家では口達者で生意気な末っ子でしたが、学校へ行くと、黙って口を開きません。「しゃべらない」という強い意思があったのではなく、話そうとさえ思えないのです。椅子にじっと座っていることはできますが、手を挙げて発言なんてとんでもない。

今思うと、私はサナギだったのだと思います。薄いベールの中に身を置き、安全地帯から外の世界を眺めていたのです。サナギは死んでいないし眠ってもいません。ちゃんと中で生きて育っているのです。

私がサナギから抜け出し始めたのは、中学2年。身をすべて外界へ出したのは高校生でした。そのくらい、ゆっくりじっくり育っていくこともあるのです。サナギが元気に育つためには、居心地がいいことが大事です。家で自分を解放できていれば、学校で本領発揮できなくても、どうということはありません


子育てはいつからでもやり直せる

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イラスト 海谷泰水

愛子先生:初めての子育ては手探り状態、みんなそうです。ですから、気付いたときが始めどき。手遅れなんてことはないから、心配しないで大丈夫! お母さんは今まで一生懸命、娘さんと接してきたと思います。これまでのことは水に流して、今日から娘さんと新しい関係を築いてください。

夜、眠るときはぎゅっと抱っこして「おやすみ」と言ったり、5分でいいので娘さんと2人で過ごす時間を作ったりするだけでも、子どもの心は安定していきます。娘さんがハンカチなどを口に入れたり、つらそうな寝言を言ったりするのは、お母さんが厳しく育てたせいだけではないと思います。

4歳になると、色々なことに悩んだり、ストレスを抱えたりします。お母さんの前では使わない言動をしたり、みんな家の中と外の顔を使い分けていきます。これは一つの成長の証です。「私の育て方が悪かった」なんて、自分を責めないでくださいね。ちゃんと子ども自身が育っていくのですから。


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『愛子さんの子育てお悩み相談室』(小学館)

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