頭のよい子が育つ。好奇心をかきたてる、家のレイアウトとは

頭のよい子が育つ。好奇心をかきたてる、家のレイアウトとは

2024.07.24

KIDSNA STYLE編集部が選ぶ、子育てや教育に関する話題の最新書籍。今回は、『集中力 やる気 学力がアップする 頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)。35年以上、4千人以上の小中学生に勉強を教えてきたプロである石田勝紀氏が、子どもを伸ばす「家」に関するしかけを解説する一冊から、抜粋して紹介します。

『集中力 やる気 学力がアップする 頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)
『集中力 やる気 学力がアップする 頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)

子どもは基本的にめんどくさがりだからこそ……

子どもがなかなか宿題をしないという悩みは本当によく耳にしますが、子どもの性格が原因ではなく、間取りと勉強道具の配置による「面倒な動線」のせいかもしれません。子どもが勉強する場所と、教科書などの勉強道具のある場所が、離れてはいませんか? もし離れている場合、準備が面倒くさいので、子どものやる気がガクッと下がってしまうでしょう。

また、リビングで勉強することを好む子は、「困ったときにすぐ親に聞けるからラク」と思っている傾向があります。それなのに、無理に子ども部屋で勉強させてしまうと、親に聞きたくてもリビングまで移動するのが面倒くさくなり、勉強自体が続けられなくなってしまうかもしれません。

子どもは基本的にめんどくさがりです。「めんどくさい」と思わせないように、動線を考えてあげましょう。そうすることで、上手にやる気を維持して行動できる子になりますよ。

『集中力 やる気 学力がアップする 頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)

図鑑や漫画は同じシリーズで揃えなくてもいい

図鑑や歴史の漫画シリーズは、一冊買ったらつい他のシリーズも買い揃えたくなりますが、これはよくある大人の勘違いなので、注意してください。子どもの興味によっては、本棚は「虫」だけ「宇宙」だけなど、特定のジャンルだらけになってしまうかもしれませんが、それでかまいません。

好きなことをどんどん突き詰めていき、その周辺へと興味の幅を広げていくことが、本当の学びにつながります。とくに子どもが小さいときほど、この学び方がおすすめです。著者の下の子は、小学校低学年くらいまでは爬虫類が大好きで、家の中には爬虫類関連の図鑑が10冊以上置いてあります。

子どもが好きなことをどんどん学べる環境を整えてあげることが、「子ども視点」の教育です。好きなものを思い切り学ばせてあげるスタイルのほうが、子どものやる気が出て、伸びていきますよ。


大人と子どもで時間の感じ方が異なる

個人差もありますが小学校中学年までの子どもには、基本的に過去や未来の概念がありません。そのため、目の前のおもしろいこと、興味があることにすぐ反応してしまいます。

出かける直前にゲームを始めたり、時間が迫っているのにのんびりしていたりすると、「うちの子は時間にルーズだ」と言いたくなってしまうかもしれません。しかし子どもは、時間の概念を学んでいる途中なのだと認識して接しましょう

また、時間の感じ方には、大人と子どもでは大きな差があることをご存知ですか?「ジャネーの法則」といって、年齢を重ねるごとに、時間が早く過ぎ去るように感じるのです。たとえば、40歳の親にとっての30分は、5歳の子どもにとっては体感4時間だと言われています。

この法則はエビデンスが明確ではないという意見もありますが、そこまでのきっちりとした比率でなくても、年齢差のある大人と子どもでは時間感覚が異なるという経験はあるのではないでしょうか。体感時間を意識すると、子どもへの接し方も変わっていきますよ。

子どもが時間の概念を学ぶときには、「時間を見える化」することがもっとも有効です。リビングや子ども部屋、トイレなどあらゆるところに時計を置いておくと、いつでも時計が目に入るので、自然と時間を意識できるようになるでしょう。

残り時間を見える化するのもよい方法です。まだ時間がよくわからない子には、色のついた面積がだんだん小さくなるような、デジタル式の砂時計のようなものを使ってみるのもおすすめです。「あとこれくらいしかない、早くやらなきゃ」と時間を意識できるようになるのです。


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リビングをファイブスターホテルのラウンジに

子どもが自分の子ども部屋に居心地のよさを感じているのなら、それはいいことですが、ずっと子ども部屋にこもりがちになってしまうと親は心配ですよね。そういうときは、リビングの滞在時間が増えるように、ファイブスターホテルのラウンジの居心地のよさを目指してみましょう。


『集中力 やる気 学力がアップする 頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)

このような空間に人の五感は刺激され、無意識のうちに心地よさを感じて心がほっとします。とくに花は、テーブルに一輪あるだけでも気分が上がるので、ぜひ試してみてください。子どもが思春期を迎えるときにも、ファイブスターホテルのようなリビングは役立つはずです。

また、居心地のよいリビングは、親側の心を落ちつかせる効果もあります。リビングは、いちばん親子ゲンカが多い場所ですが、まさかファイブスターホテルのラウンジでは大声を出してケンカしたくありませんよね。きれいに整った場所は、心を落ち着かせるだけでなく、感情的になりすぎないための防波堤にもなってくれるのです。


キッチン収納から子どもに整理整頓を学んでもらう

キッチンこそ整理整頓の力を活かせる場所です。どのご家庭でも、親が料理をするときの取り出しやすさや、整理整頓のしやすさなどを考えた置き方にしているはずです。「お皿を出してきて」「調味料をしまって」という親子間のやりとりを通して、子どもは整理整頓の大切さや、しまい方などを学んでいくのです。

「自分の物は整理整頓しなさい!」と口だけで伝えるよりも、実際にやっているところを見せてあげたほうが、子どもの片づけ力も磨かれるはずです。

また、料理というのは「最初にこの食材を用意して、切って、焼いて、味を付けて、完成」などの手順が大切であり、料理を経験することは、プログラミング的思考につながるというメリットもあります。

ただ、親が打算的な期待を押し付けてしまうことは子どもにとって逆効果になるので、まずは子どもとの会話を楽しむ日常のコミュニケーションとして、料理のお手伝いをしてもらうのがよいでしょう。子どもは、楽しいことにはすぐ関わってきます。ぜひ、その「楽しみ」に子どもを巻き込んでいきましょう。


子どもがワクワクするような家のしかけ

最後に、子どもの興味やワクワクを引き出す、クリエイティブな部屋の間取りを紹介します。

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工作とブロックが大好きな子どもたち(6歳・4歳・1歳)のために、子ども部屋をアトリエのように配置換えしたというDさん。机の各引き出しには、工作に使うさまざまな資材を揃え、完成した作品を自由に飾れるスペースも設けています。


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子どもたちも、アトリエが気に入ったことで、スマホよりも楽しい場所ができて、スマホを見たがる時間が目に見えて減少したといいます。子どもは暇だからゲームやスマホがあるとハマってしまいますが、それよりも興味があるものがあれば、使用時間は減少していきますよね。

部屋がアトリエという発想は、工作とブロックが好きという子どもの特徴を伸ばそうと考えた結果だと思います。それは、空間演出することによる「長所伸展法」といいます。子どもの好きなこと、得意なこと(長所)を伸ばす方法のひとつとして、没頭できるように「空間を変えてしまう」方法が実践されているので、ぜひ皆さんも参考にしてみてください。


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『集中力 やる気 学力がアップする 頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)

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