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親から贈与された結婚資金は課税対象?非課税制度の規定と手続き方法
2017.10.05
結婚や出産時は、祖父母や両親から金銭的援助を受ける機会も多いものです。受け取る金額が大きくなりがちだからこそ、気になるのが税金の問題。贈与税という言葉は知っているけれど、いくらまで非課税で受け取れる?結婚資金や出産費用も、親に負担してもらうと贈与税がかかるの?という疑問を解明していきます。
贈与税について
贈与税とは
贈与税とは、人から財産を受け取ったときにかかる税金のこと。生命保険を受け取ったときや、債務を免除されたときに、贈与税がかかることもあります。
財産を個人ではなく法人から受け取ったときにかかるのは、贈与税ではなく所得税です。また、生命保険を受け取った場合でも、死亡した人がその人自身を被保険者にして保険料を支払っていた場合は相続税となります。
いくらから税金がかかるのか
基本的に贈与税がかかるのは、「1年間で110万円を超える金額を個人から受け取った場合」と覚えておきましょう。
110万円までは基礎控除といって、税金はかかりません。
1月1日~12月31日の間に受け取った金額から110万円を引いた金額が、贈与税の対象となります。
贈与額がかからないパターン
配偶者や子どもなど扶養義務のある人に対して、生活費や教育費として渡したお金に関しては贈与税がかかりません。例えば、専業主婦の女性が毎月の食費や日用品の購入費、子どもの教科書代や文房具代を夫から受け取っていたとします。これらの合計金額が年間110万円を超えていたとしても贈与税の対象にはなりません。
ただし必要な都度受け取っている必要があり、生活費の名目で受け取ったとしてもそのお金を預金に回すと贈与税がかかることもあります。
また、結婚して20年以上経過した夫婦間であれば、住居の購入資金や住居そのものを贈与した場合、配偶者控除といって基礎控除の110万円に加えて2,000万円まで贈与税がかからないこともあります。
結婚時に贈与を受けた場合は?
非課税制度の制定
20~49歳の人が両親や祖父母から結婚と子育てに関する費用を受け取る際、一定の条件を満たせば1,000万円まで贈与税が非課税となる制度が2015年に始まりました。
結婚や子育てに関する費用とは、結婚式や披露宴、新居への転居にかかる費用の他に、不妊治療や妊婦健診、出産、子どもの幼稚園や保育園にかかる費用のことを指します。
非課税の限度額
非課税となるのは、結婚と子育て資金合わせて1,000万円まで。このうち、結婚に際して受け取る費用は300万円が限度とされています。それ以上は、課税対象です。
対象の条件
結婚や子育てに関する費用であれば、誰がどんな相手から受け取ったお金であっても非課税になるわけではありません。
まず、贈与される側は20歳以上、50歳未満であること。また、贈与する側は、受け取る人の直系尊属であることが条件です。直系尊属とは、祖父母や父母、養父母のことです。配偶者の祖父母や父母は直系尊属ではありません。
そのため、贈与する側は夫婦にお金を渡す気持ちであっても、受け取る側の名義に注意しておきましょう。例えば妻の両親が夫婦にお金を渡すつもりで夫に贈与してしまうと、非課税の対象ではなくなってしまいます。
結婚資金の規定
結婚資金は、入籍日の1年前にあたる日以降に贈与しなければ、結婚資金として認められません。結婚時にかかる費用のうち、結婚式の会場費や衣装代、新居の敷金や礼金、引っ越し費用は非課税対象の結婚資金とみなされます。
しかし、結納式や新婚旅行、駐車場代の費用は非課税の結婚資金の対象にはなりません。
また、例えば妻の親が夫の引っ越し費用を負担する場合も、非課税の対象外となってしまいます。結婚資金として余分に受け取り、残りの金額を貯金したり新居の購入費に充てたりした場合も、非課税の対象にはなりません。
非課税制度を利用するための手続き方法は?
銀行や国の機関で手続きをする
非課税制度を利用するには、まずその契約を銀行と締結する必要があります。契約を結ばず、すでに所有している口座から口座へ送金をしてしまうと、非課税制度の対象外となるので注意しましょう。
贈与する側とされる側が、身分証明書や戸籍などの必要書類を添付して専用の口座を開設します。その後、贈与する側が契約書に基づいて結婚や子育て資金をその口座に預け入れます。一括での預け入れが基本です。
結婚、子育て資金非課税申告書類の提出
贈与する側が口座に預け入れをする日までに、結婚、子育て資金非課税申告書類を提出しておかなければなりません。契約する予定の金融機関に提出します。書類に関して、最寄りの税務署でも相談可能です。
気をつけるポイント
領収書の提出が必要
非課税の措置を受けるには、毎年その年の結婚や子育てに関する支払いに充てた領収書を提出する必要があります。また、実際に支払った日の属する年の年末までに払い戻さなければ非課税の対象にはなりません。
例えば、出産費用支払いの領収書の日付が2017年9月8日 になっている場合。2017年12月31日までに領収書を提出のうえ払い戻しをしなければ、非課税の対象にはならないのです。銀行と契約を締結した年は、口座に資金を預け入れした日以降の領収書を提出する必要があります。
領収書の原本を紛失した場合や、期限内に必要書類の提出がなければ非課税の対象外になるので、注意が必要です。
ただし、非課税の対象外になってしまったとしても、その合計金額が年間で110万円以下であれば、基礎控除の範囲内なので非課税です。
利用できる制度は頭に入れておこう
結婚や出産時は、知らないと損をすることもある制度がたくさんあります。この非課税制度もそのひとつ。また、出産時に利用できる他の制度なども併せて頭に入れておくだけで、いざ妊娠したときも役立ちます。
これらの制度は、基本的に自分から動かなければ利用できません。賢く制度を利用して、無駄な出費を防ぎましょう。
※記事内で参照している内容は、2017年10月5日時点のものになります。