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ファイナンシャルプランナー
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1級ファイナンシャルプランニング技能士・CFP®︎。世田谷区在住、2歳・4歳の姉妹を育てる母。2013年にYOU & ME PARTNERS/ユメパートナーズを設立。専門家へ気軽に相談できるFP顧問サービス(FPコモンズ)を立ち上げサポート中。
家計管理において一カ月の生活費を把握しておくことはとても大切ですね。今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)の伊達有希子さんに、家計収支に関しての改善方法や気をつけたいこと、そしてベストな生活費の内訳について伺ってみました。
まずは家計収支を把握する
総務省「家計調査」のデータによると、2016年の二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計支出を見てみると、実収入の平均は526,973円、そのうち消費支出は一ヵ月の平均が309,591円となっています。
支出の内訳を見てみると、「食料」が74,921円と最も多く、次いで「その他消費支出(諸雑費・交際費・仕送り金など)61,299円、「交通・通信費」が48,915円となっています。
このように毎月の収入と支出の内訳をざっと洗い出してみましょう。その上で、まずは家計が黒字なのか赤字なのかを把握することから始めてみましょう。
黒字と赤字の本来の意味
さて、ここで改めて「黒字」と「赤字」について考えてみたいと思います。
「黒字」とは収入が支出より多いこと、反対に「赤字」とは支出が収入より多いことを表す言葉です。
みなさんのなかには「赤字」というと、支出が収入より多い状態なので、足りないお金をどこからか借りてくるイメージを持っている人もいるかもしれません。
しかし、本来であれば収入から貯蓄を引いた残りで生活するべきところ、先にとっておいた貯蓄を取り崩すことも「赤字」というのではないでしょうか?
足りない分をカード支払やキャッシングなどに頼ることは、「赤字」よりももっと怖い「家計破産」に近づいていると言えるでしょう。
家計の収支改善方法
万が一現在の家計の収支が赤字だった場合、改善するにはどうしたらいいのでしょうか?答えは非常にシンプルで、次の2つの方法しかありません。
・ 収入を増やす
・ 支出を減らす
収入を増やすというのは、例えばご主人様であれば部署を移動して収入アップを目指す、転職を考えるなどが挙げられます。奥様が専業主婦の場合、パートや内職など出来ることから始めてみるというのも効果があります。
支出を減らすというのは、先ほどの繰り返しになりますが、収入から貯蓄を引いて、その残りで生活が出来る様に工夫するということです。
毎月の収入は限られていますから、何にいくら使うかというのは非常に重要です。やみくもに支出するのではなく、本当に必要なものなのか、無駄な出費は無かったか、毎月地道に削減していくしかありません。
どこにいくらお金をかけるかは人それぞれですが、優先順位をつけてあれもこれもと欲張らないことがポイントです。
気をつけたい支出
ご相談を受けるなかで、みなさんが「なんとなく」支出してしまいがちなのが、以下の2つです。
クレジットカード
クレジットカードは、手元の現金が減らず利用した実感がないため「なんとなく」支出してしまうケースが多くみられます。
クレジットカードは来月以降の予算を先に使ってしまっていることに他ならないため、その使い方には注意が必要です。特に目的を決めず使うことは避けて、光熱費などの固定費で毎月変わらない額のみクレジットカードにする、個人のお小遣いの範囲内でクレジットカードは使う、など一定のルールを決めた方がよいでしょう。
子ども関連費
子どもを持つ親であれば、共感される方も多いのではないかと思いますが、子どもに関する物にはついついお財布が緩みがちです。
周りのお友だちにつられて「なんとなく」習い事を始めた、可愛いと思った服やおもちゃを「なんとなく」買ってしまったという経験はありませんか? いずれ必ずかかってくる教育費に向けて、現時点では支出よりも貯蓄を優先するべきだと考えます。
子ども関連のお買い物は、誕生日やクリスマスなどイベントに合わせる、親御さんからプレゼントして貰う、子育てイベントは無料のものも多くあるので情報を集めてみる、など日頃から工夫してみてはいかがでしょうか。
周りと比較せず我が家の基準を持つ
タイトルにあるように、赤字にならないベストな生活費の内訳として、一律の%が決められれば分かりやすいのですが、実際はそう簡単にはいきません。
なぜなら、住む環境(都心なのか、地方なのか、賃貸なのか、持ち家なのかなど)によって支出の金額が異なるのはもちろんのこと、将来に必要な資金(教育資金や老後資金、その他の目標資金など)や、家族の価値観(生活スタイルや趣味など)というのは人それぞれ違うからです。
一概に決められないということは、自身の基準を持つ必要があるということです。家計管理は、経済的に安心して生活を送ると同時に、家族全員が幸せでなければ意味がありません。平均値やデータはあくまでも目安として、「我が家の基準を持つ」ことを心がけてみて下さい。
執筆:伊達有希子
1982年茅ヶ崎生まれ。2004年専修大学英米文学科卒業後、呉服屋に入社。AFP取得をきっかけに、2009年企業系FPとして保険会社に転職のち、2013年にyou&me partners(ユメパートナーズ)設立。2016年には起業家サポートとしてFPコモンズのサイトを立ち上げる。資格:CFP・1級FP技能士 趣味:旅行・食べ歩き