ネット上の誹謗中傷、被害への対処法や子どもの加害予防を専門家が解説

ネット上の誹謗中傷、被害への対処法や子どもの加害予防を専門家が解説

小学生の約半数がスマホを持つ時代、テクノロジーの恩恵の裏に隠れるリスクをどこまで把握していますか? コミックエッセイストのハラユキさんといっしょに、保護者が知っておきたいネットリテラシーを専門家に伺う企画。第三弾では、ネット上の誹謗中傷をテーマに、成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子さんを取材しました。後編は、子どもが被害を受けた時の対処法、そして子どもがネット上で加害をしないために保護者ができること。

▼▼▼前編はこちら▼▼▼
 

誹謗中傷の被害に遭ったら……対処法まとめ

SNS上には子ども同士のいじめだけではなく、ママだとわかるアカウントに対するSNSでの嫌がらせも目立ちます。

自分や子どもがネット上の誹謗中傷被害に遭ってしまったら。あるいは現在、自分や子どもが誹謗中傷の被害に悩んでいたら。そんな方に向け、被害に遭った時に押さえたいポイントをご説明します。

該当の投稿を保存する

まずは、投稿をスクリーンショット(キャプチャー)などで保存してください。できれば投稿のURLも記録しましょう。削除して逃げられる可能性もあるため、紙にプリントアウトして保管するのもいいでしょう。

「自分が悪く書かれている投稿をわざわざ残したくない」と感じるのも無理はありませんが、投稿者を特定して訴えるためには投稿内容、投稿日時、相手のID、ユーザー名などを記録する必要があります。

学校に相談する

子どもが同級生などからネットいじめに遭った場合は、すぐに学校へ相談してください。

学校側もネット上のものを含めたいじめ対策には力を入れています。ネットに同級生の悪口を書いた子どもを先生が呼び出し、該当の投稿を目の前で削除させたという話もあります。

法務省作成のフローチャートで適切な相談窓口を見つける

誹謗中傷被害に遭った時、解決策を相談したいのか、それよりもまず心のケアが必要なのか、どちらを優先するかは人や状況によって異なります。

法務省が作成したネット上の誹謗中傷に関する相談窓口を探すフローチャートでは、被害者の希望に合わせた公的な相談先を紹介しています。
 
https://www.moj.go.jp/content/001335343.pdf
ネット上で被害に遭った場合は、つい焦ってネットで見つけた見知らぬ人に相談してしまいがちです。しかし、フローチャートで紹介された公的機関には、専門家が無料で親切に相談に乗ってくれます。ぜひ活用してください。

ちなみに、過去にも誹謗中傷やいじめを相談する窓口はたくさんありましたが、ほとんどが電話での受付のみでした。今の子どもたちにとって電話はなじみがなく、相談しようにもハードルが高いのが問題でした。

しかし5年前ほど前に長野県で行った実証実験で効果があることがわかってから、多くの相談窓口がLINEやTwitterなどで連絡を受け付けるようになりました。メッセージアプリの活用によって相談件数は10倍近くにも上っているそうです。
<参考>LINEと長野県による、LINEを利用したいじめ・自殺相談事業の中間報告資料を公開
 
 

子どもを無邪気な加害者にしないために

一方、子どもは加害者にもなりえます。子どもを加害者にしないため、保護者には何ができるでしょうか。

「匿名なら何を書いてもいい」という誤解を正す

大人も誤解しがちですが、ネット上での投稿は匿名であっても必ず発言者が特定できます。匿名であろうと自分の投稿には責任を持たないといけないし、匿名であろうと発信者の情報は必ず分かります。たとえそれがフリーWi-Fiやネットカフェからの投稿であっても変わりません。

他人を傷つける投稿をしたら、匿名であってもバレるし、ひどい時には訴えられて有罪になる。これを日ごろから教えていきましょう。
 
※写真はイメージ(iStock.com/BongkarnThanyakij)

侮辱罪厳罰化をわかりやすく教える

今回の改正で、「バカ」「キモい」などの暴言が原因で刑務所に入れられるかもしれないし、30万円の罰金を払わなくちゃいけなくなったことを教えましょう。

ネットいじめ体験アプリを使ってみる

誰かを傷つける投稿をした子どもはたいてい「傷つけると思わなかった」と自分の行動の重大さを理解していません。

自分のしたコミュニケーションで相手が傷つくことを理解してもらうために、ネットいじめのシミュレーションアプリを親子で利用してみましょう。

<参考>
スマホにひそむ危険 疑似体験アプリ
【LINE】LINEを使ったいじめを実体験出来るサイト
※ラストにショッキングな描写がありますのでご注意ください。

日ごろのコミュニケーションがトラブル回避の鍵に

以上の対策が考えられますが、実際に子どもが被害に遭っていたり加害をしたりしていないかどうかを保護者が把握するのは至難の業です。

普段のコミュニケーションのなかで、「嫌なことされていない?」「どんなアプリが流行ってるの?」「このアプリではどんな人と仲良くしてるの?」などと声掛けして、様子を伺えるといいですね。
 
※写真はイメージ(iStock.com/miya227)
あと、これは賛否両論あると思いますが、子どものアカウントを静かにウォッチするのもひとつの方法ではあります。子どもたちは、学校名や年齢をプロフィールに載せることも珍しくないため、SNSのアカウントは意外と簡単に発見できてしまいます。

ただし注意点してほしいのが、SNSで見かけた情報を子どもに一切伝えないこと。バレたらブロックしたりアカウントを削除したりして、その後は見つからなくなってしまいます。

これは奥の手でもあるので、親子の関係性や子どもの性格などで判断してほしいと考えています。

ネット上の誹謗中傷については、被害、加害どちらの場合も、トラブルが起きたらすぐに知らせてもらう関係性づくりが重要です。

「だから言ったじゃん、もう禁止」などとスマホ取り上げられてしまったり、怒られることを警戒してトラブルを申し出ないうちに、問題が大きくなってしまうことがあるからです。

保護者は子どもに何が起きてもまずは否定せず、気持ちを受け止める姿勢でいることが、トラブルを最低限に収めるためにも必要でしょう。
 
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高橋暁子

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成蹊大学客員教授・ITジャーナリスト。

SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。NHK『クローズアップ現代+』『あさイチ』などメディア出演多数。『ソーシャルメディア中毒』などSNS関連の著作は20冊以上。教育出版中学校国語の教科書にコラム掲載中。元小学校教員で中学生の母でもある。

公式サイト
Twitter:@akiakatsuki
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ハラユキ

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コミックエッセイスト&イラストレーター。
おいしいごはんとお風呂屋さんと祭りが好き。近著に、国内外の多様な家族を取材し、その家事育児分担とコミュニケーションをまとめた『ほしいのはつかれない家族』(講談社)。

公式HP
<漫画>ハラユキ
<取材>ハラユキ、KIDSNA編集部
<執筆>KIDSNA編集部

2022年11月10日

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