こちらの記事も読まれています
乳幼児期の「非認知能力」についての実態調査。知らない保護者は79.5%
学力テストなどでは測ることのできない力として昨今注目を集めている「非認知能力」。東京大学Cedep(東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター)は、凸版印刷株式会社と共同し、乳幼児の非認知能力についての園・保育者と、保護者それぞれの意識や取り組みに関する調査を実施。今回はその中から、乳幼児期(0歳~6歳)の子どもを持つ保護者の実態についてご紹介します。
非認知能力とは
文章を読んだり書いたりする力や、英語など外国語の語学力、数、図形、記号などを使ったり理解したりする力などの「認知能力」に対し、自己に関わる心の力、社会性に関わる心の力、セルフコントロールに大きく分けられる「非認知能力」。
今回の調査では、これらの中から「内発的動機づけ」「自己効力感」「感情知性」「向社会性」「セルフコントロール」の5つを質問に取り上げて、乳幼児の保護者がどう思っているのかをたずねました。
回答してくれた保護者は、母が80.5%、父が18.2%、そのほかが1.4%。
子どもの属性は次の通りです。
「非認知能力」を知らない保護者が79.5%
「非認知能力」についての調査を行った結果、保護者の79.5%が「非認知能力」という言葉を「知らない」と回答しました。
「非認知能力」についての家庭での取り組み
「非認知能力」という言葉を「知っている」と回答した方のうち、家庭で「非認知能力」を育むための具体的な働きかけを行っているかを調査したところ、「している」との回答が58.6%と半数以上を占めていました。
「していない」と回答した方の理由については「何をして良いかわからないから」(53.8%)、「自然に育つものだと思うから」(32.9%)、「そこまで手が回らないから」(8.4%)といった回答がありました。
保護者が特に大切にしたい力の上位は「非認知能力」
認知能力に関連する力と非認知能力に関連する力をあわせた18の資質・能力の中で保護者が特に大切にしたい力の上位5つを選ぶ調査では、こちらの5つが多くあがりました。
「言葉で伝えたり聞いて理解したりする力」を除く上位4つの力は非認知能力に該当しており、一方で、言葉や文字の理解・外国語の語学力以外の「認知能力」については選択率が相対的に低い結果となりました。
「園で伸ばしてほしい力」の1位はからだを上手に使う力
「園の中で特に伸ばしてほしい資質・能力」については「からだを上手に使うことができる運動能力や健康に資する体力」(47.8%)、「物事に興味・関心を持ち、自ら進んで取り組む力」(43.8%)、「生活習慣や社会的ルール、礼儀正しさを守ろうとする心」(43.7%)などが上位に。
一方で「非認知能力」の中では「セルフコントロール」に該当する、「大切な目標のために目先のやりたいことを一旦がまんしたり、固執せず柔軟に対応したりする力」については8.8%と、相対的に選択率が低いという結果が出ました。
まとめ
「非認知能力」を大切だと考える人は多いですが、言葉の理解にはまだばらつきがあり、言葉を知っている保護者の中でも、具体的に働きかけをしている家庭はまだまだ多くないようです。
「非認知能力」という言葉の認知と、実践的な家庭での取り組みは今後の課題となりそうです。
<協力>東京大学Cedep
<執筆>KIDSNA編集部