幼児期の性教育、家庭での実施率は約2割。できない理由は「教え方がわからない」が最多

幼児期の性教育、家庭での実施率は約2割。できない理由は「教え方がわからない」が最多

幼児期になると、自分の体や異性との違い、命の誕生などに興味を持ち始める子も多い。性に関する子どもの「なぜ?」に、親はどれだけ応えられているのだろうか。「KIDSNA」で行った家庭での性教育に関するアンケートからその現状を解説する。

SNSを通じた18歳未満の子どもの性被害者は年々増加傾向にあり、2020年3月に警察庁が発表した調査によると、前年比271人増の2,082人で最多となった。コロナウィルスによる休校期間中に10代の妊娠相談が急増したニュースを耳にした人も多いだろう。

こうした性犯罪や性にまつわるトラブルが起こる背景には、日本が「性教育後進国」であることも要因として挙げられる。幼児が性犯罪に巻き込まれる事件も後を絶たない今、専門家からも幼児期からの正しい性教育の必要性が指摘されている。

こうした現状を踏まえ、「KIDSNA」では、家庭でどのように性教育に向き合っているか、子育て世帯を対象にアンケート調査を実施。未就学児を育てる親は子どもの性教育に対し、どのような意識を持っているのだろうか。

出典:令和元年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況/警察庁

家庭での性教育、8割が「実施していない」現状

アンケート結果①

家庭での性教育実施について聞いたところ、子育て世帯の8割が家庭での性教育を「実施していない」または「必要性は感じているが実施していない」と回答。実施している家庭は約2割に留まった。この結果からも、日本が「性教育後進国」であることがうかがえる。

実施していない理由の多くは「どう教えていいかわからないから」

実施していない家庭の約半数が、その必要性を感じてはいるものの実際には子どもに教えられずにいる。その理由として多く挙げられたのが「どう教えていいかわからないから」。

「上手く伝えられる自信がない」

「タイミングをどう作るかで悩んでいる」

という回答も目立つ。

「水着で隠すところは大切だから他人に見せたり触らせたりしない、ということは伝えている」

「学校で性教育していて、その話を家庭でしたことはある」

など、自分の体を大切にすることや、学校での性に関する授業が親子で話し合うきっかけとなった家庭もあった。

「何歳でどのくらいの話をするのが妥当なのか判断ができない」

という答えも多い一方で、兄弟姉妹がいる家庭では兄姉やその友人から性に関する情報を得ることも少なくなく、話し合う時期やタイミングについて悩んでいる家庭の実情が見受けられた。

4歳から性教育をスタートしている家庭も

アンケート結果②
性教育を「実施している」と回答した家庭では、4歳と7~8歳から開始している家庭が最も多く、次いで2歳、3歳となった。幼児期から性教育を行っている家庭も決して少なくない。

幼児期の子どもにへ性教育を始めた理由について聞いてみると

「当たり前に必要なことで、自分の身を守ってほしいから」

「性被害に合わないため」

「自分や相手を大切にして欲しいから」

という声が多く、「無知は危険」と警鐘を鳴らす。

「幼稚園に通いだし異性と接する機会が増え、男性と女性の違い、母親の妊娠や生理に疑問を持ち始めた」

という回答にもあるように、保育園や幼稚園へ通いはじめ異性の友だちができたことが性教育を始めるきっかけになるケースもあるようだ。

性教育は「直接の会話」が最多、その方法は?

気になる性教育の教え方については

「テレビや映画で性的な場面があったときに会話をするなど日常のできることでやっている」

という声が印象的だ。わざわざ時間を作り膝を突き合わせて話すよりも、日常的に会話として話せていれば、子どももより自然に受け止められるのかもしれない。

また、性教育というと照れくささや話しにくさを感じてしまう保護者も多いもの。そんなとき参考にしたいのが

「パンツの教室の本を読んで話してみるのも悪くないと思った。避けないようにしている」

という声だ。なかなか話し出せず悩んでいるのなら、性教育に関する絵本をひとつのきっかけにするのもいいだろう。

「子ども向けの性教育のセミナーや教室などに参加している」

という回答もあり、子どもの性教育に積極的に取り組もうと考えている保護者の意識が見受けられる。

子どもの性教育、親はいかにして向き合うか

今回の調査を通じ、家庭での性教育の方法について悩みを抱えている保護者が多いという現状が浮彫となった。「KIDSNA」で性教育について取材した染矢明日香さんによると「間違った性情報に触れたり、性に対して否定的なイメージがつく前に、身近で信頼できる大人から子どもに正しい知識を伝えることが大切です」と語る。

スマートフォンやタブレット端末のある生活が当たり前の今の子どもたちは、私たち親が子どもだった頃に比べ性情報へのアクセスは各段に容易になっている。そしてその情報は不確かなものも含め氾濫しているのが現状だ。

大切なのは、性情報から子どもを遠ざけるのではなく、まずは私たち保護者が意識を変え、正しい知識を伝えること。そのためには、幼少期から何でも聞ける、何でも言い合える関係づくりが欠かせない。子どもが将来、自分や大切な人を本当の意味で大切にできるように、今からできることを引き続き考えていきたい。

2020年08月31日

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