運動と外遊びが苦手な子どもの将来が心配で落ち込みます【高濱正伸】
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読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は花まる学習会代表の高濱正伸先生が、「運動やスポーツをしないわが子」の将来を不安に思うママの相談にお答えします。お悩みはオンラインで随時受付中。
【お悩み】運動と外遊びが苦手な9歳の男子。無理やりスポーツをさせるべき?
【高濱先生の回答】重要なのは「外遊びをしていること」ではなく「なにかに没頭している」状態です
これはお母さんのほうが大丈夫かなと心配になりました。
まずはお母さん自身が誰かに手を握られたり肩を抱かれたりしながら「大丈夫だよ」「あなたはちゃんとしているよ」と認めてもらう時間が必要です。ただ、双子の男子の子育てということでそういう余裕がなかったのでしょうね。
お母さんが「運動できない子どもはダメ」とネガティブに捉えていることが子どもにも透けて見えていると、子ども自身も「僕たちが運動できないせいでお母さんは悲しがっているよね」と、どんどんネガティブな方向に向かっています。母親が安心していなければ子どもも安心できません。
外遊びの重要性について、最初に正確にお伝えしておくと、多くの子にとって「外遊びがいちばんいい」ことは間違いありません。
外遊びが子どもの発達上よい理由は山ほどありますが、チームで一緒に遊んだり、リーダーシップを発揮したり、ルールを決めるクリエイティビティが育まれたり、「決める」「やりきる」といった無限の想像力と可能性を広げてくれる点があげられます。
しかし、当然、そこに当てはまらない子もいます。
たとえば、ジュエリーブランドを立ち上げて成功したある起業家の方は、幼少期はまったく外遊びをせず、とにかく早く帰宅しての図鑑を見たかったそうで、母親から「図鑑を見ているときは声が一切聞こえなくなる」と言われるほど、没頭していたそうです。
白木さんは図鑑の中でもとくに鉱石が好きで、それが高じて、現在のジュエリーの道につながっているように、なにか大きなことを成してきた人は、必ずなにかに「没頭」した経験があるのは間違いありせん。
つまり、重要なのは「外遊びをしていること」ではなく、「なにかに没頭している」状態。没頭できるものがスポーツの人もいれば図鑑の人もいて、活躍の場は人それぞれなんです。
とくに、現代のお母さんたちは、子育てで不安があると、どこかに「絶対的に正しい正解」があると考え、その正解をやってなければダメ、と極端な方向にいきがち。
「子どものため」を思ってしているつもりが、残念ながら過剰な心配は子どもに悪影響です。子どもが成長する過程で重要なのは、子どもがなにをしていようがどーんと構えて認めてくれる、母親の安心感のほうです。
この相談の本質的な問題は、お母さんが強烈な不安に引っ張られ、突っ走ってしまっていること。そしてそれをひとりで抱え込んでいるのではないかということです。まずは夫でもママ友でもいいので、話を聞いて共感してくれる相手を見つけましょう。
そして子育てだけではなく、できれば自分の趣味や仕事に喜びややりがいを見つけ、母親としてだけではなく、自分個人の関心を大切にしましょう。
子どものことが心配になるのは当然ですが、9歳ともなれば、ある程度手も離れていますし、悪い部分にフォーカスせず、よい部分にフォーカスしたほうが子どもはのびのびと育ちます。運動が苦手でも、習字、そろばんなど運動以外の習い事で得意技を見つけてあげるのもよいでしょう。
最後に、どうしても運動コンプレックスを克服させたい場合、長距離走がおすすめです。短距離と違い、運動神経は関係なく、コツコツと続けることができれば伸びます。とくに、一緒に朝に走るなど、習慣にすれば、親子の時間にもなりますよ。
また、水泳はスモールステップで進級するので、伸びる喜びを感じやすく、その後どんなスポーツをするにしても体作りの基礎が出来上がります。そして、剣道、空手、柔道などの武道は、性格のおとなしい子も、一気に強い感じに生まれ変わります。
運動が苦手で克服したい場合は、長距離走、水泳、武道のいずれかで乗り越えるという方法を試してみてください。
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2021.11.02
早生まれの双子の息子たちは、小さい頃からとにかく体を動かすことが嫌いで、逆上がり、鉄棒、短距離走、長距離走、球技など、運動はすべて苦手です。
外遊びも好まず、学校から帰ると家の中で本を読み、兄弟で戦いごっこなどをしています。高濱先生や、その他著名な教育者の方がたは、口を揃えて「外遊びを沢山する子や、運動が得意な子は将来勉強もできるようになるし、生活力が高くなる」とおっしゃるため、毎日家にいる双子を見て、焦りと不安で気が狂いそうです。
最近もスポーツテストの散々な結果を聞き、私が落ち込んでしまいました。「外で遊んできたら?」「体操教室に行ってみる?」と提案しても「うーん…」と言うのみ。
このまま好きにさせてよいのでしょうか?運動のことに悩みすぎて、子どもたちの他のよいところを褒めてやることができません。