こちらの記事も読まれています
子どもが欲しいと思ったときのために、今から知っておきたい妊娠の新常識
Profile
医療法人浅田レディースクリニック理事長
医療法人浅田レディースクリニック理事長
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。
「いつかは出産したい」「いつかは2人目がほしい」と考えている女性は多いのではないでしょうか。今回は、そんな「いつか」のために知っておきたい、妊娠・妊活の正しい知識をお伝えします。前編のテーマは、妊娠・妊活にまつわる誤解について。どのような誤解があるのか、なぜ誤解が生まれるのかを、産婦人科専門医の浅田先生にお話いただきました。
妊娠にまつわる「誤解」とは?
妊活と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?「バランスの良い食事」「しっかり睡眠をとる」「適度な運動を心がける」「ストレスを溜めない」など、いろいろなイメージがあると思います。
しかし、このような考えこそが「誤解」だと浅田先生は話します。
「妊娠・妊活における一番の誤解は、生活習慣の改善によって妊娠率が上がると思っている方が多いことです。
健康的な体づくりを心がけることはもちろん大切なことですが、これは出産や赤ちゃんにとって大切なのであって、妊娠率に直結するものではないのです。
栄養状態が充分ではなかった昔の日本、発展途上の国々でも子どもは産まれていますよね」
――言われてみれば、そうかもしれません。他には、どのような誤解がありますか?
「『排卵日に性交すれば妊娠できる』『生理がある間は妊娠できる』などでしょうか。
どこか、妊娠を自分でコントロールできるもの、と思っているところがあるような気がしています。
『排卵日に性交すれば妊娠できる』という考えについてですが、排卵日の予測はあくまで目安なんですよね。タイミングをとろうとすることが、かえってストレスとなり、不妊に影響することもあるので、注意していただきたいです。
『生理がある間は妊娠できる』というのも、必ずしもそうではありません。妊娠の可能性はあっても、その確率は30歳頃から緩やかに下がり、35歳頃から更に下がります」
「誤解」には、日本の性教育が関係している?
――これは特に女性にとっては、少しどきっとする話かもしれませんね…。では、なぜこのような誤解が生まれるのでしょうか?
「背景としては、日本の性教育が関係しているのではないかと思います。学校の性教育は、だいたい授業で1~3時間程度ではなかったですか?時間も内容も圧倒的に薄いんですよね。
妊娠の過程やセックスは取り扱わないことが、なんとなく『性の話=タブー』なイメージとなり、結果として性に関するあらゆる誤解を生んでいる。
妊活や不妊の知識も例外ではないと思っていて。『タレントの〇〇さんが40歳で出産しました!』なんて話題になると、『40代でも出産できるんだ!』と思ってしまいますが、高齢出産は誰でも可能なわけではありません。
たとえば、不妊の主な原因は加齢による卵子の質の低下なのですが、これもあまり知られていないですよね。
卵子は年齢と同じだけ年を重ねる(老化する)のです。卵子が老化すると、卵子のまわりの細胞は機能していても、卵子は受精卵や胚にならなくなってしまう事が多くなってきます。
結婚に対する価値観が変化し、第一子の平均出産年齢が30歳を超えている今、そういった教育も必要なのではないかと思っています」
妊活・不妊には、正しい知識を持って向き合おう
晩婚化、晩産化が進み、それに伴って不妊に悩む方も増加傾向にあるようです。今はまだ妊娠のことは考えていない方も、いつか産みたいと思ったときに後悔しないように、正しい知識を持っておきたいですね。
後編では、妊娠適齢期の考え方や不妊治療の技術などについてお伝えします。
監修:浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
Profile
浅田義正
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。
2020.08.03