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【産婦人科医監修】卵子の老化にサインはある?卵子の老化で受ける影響
Profile
医療法人浅田レディースクリニック理事長
医療法人浅田レディースクリニック理事長
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。
卵子の質や数は妊娠に大きく関わる大きな問題。妊活において、自分の卵子はどのような状態なのか気になることもあるでしょう。今回は、卵子の老化やサイン、年齢との関係、妊娠率への影響などについて紹介します。
卵子は年齢とともに老化する
卵子は年齢とともに老化(質が低下)していることをご存知でしょうか。
卵子は女性の体で常に作り続けられるわけではなく、生まれる前に一度しかつくられません。
つまり、卵子は自分の年齢と同じだけ年を重ねていきます。20歳の時の卵子は20年間、30歳の時のは30年間たった卵子なのだそうです。
卵子が老化すると、受精率は変わりませんが、その後の発育が悪く、胚盤胞まで成長できる胚は少なくなり、妊娠が難しくなるといわれています。
卵子の数も年齢とともに減少
年齢を重ねると、卵子の老化だけでなく数も減っていきます。
生まれる前、お母さんのお腹の中にいるときにつくられる卵子の数は約500万~700万個といわれていますが、生まれたときには約200万個、初潮を迎えるころには30万個くらいにまで減り、35歳くらいでは1~2%しか卵子が残らないのだそう。
年齢に伴い卵子が老化し数が減少すると、結果として妊娠しにくい状態になります。
卵子の老化のサインは月経に現れる
卵子が老化すると、卵巣機能が低下。女性ホルモンの分泌量が少なくなります。
一概にはいえませんが、「月経周期が短くなってきた」や「経血量が減ってきた」などは、卵子老化のサイン(目安)になります。
卵子の老化は改善できる?
健康で見た目がどんなに若くても、基本的に卵子の老化は止めることができない、といわれています。先ほどもお伝えしたように、卵子は生まれる前に一度しか作られず、年齢と同じだけ年をとるからです。
ただし、卵子が老化していると妊娠・出産ができないというわけではありません。老化にはばらつきがあり、老化の程度によっては妊娠できる可能性もあります。最近では卵子の凍結という選択肢もでてきています。
※卵子の凍結とは、体外受精を行い子宮に戻す目的で、受精卵を凍結保存する技術のこと
AMH検査で卵子の数を推測できる
卵子の数は自分で知ることはできませんが、AMH検査という卵巣内の卵子の数を推測する検査によって調べることができます。
妊娠率は主に卵子の質が関係するため、AMH値が直接妊娠率に相関するわけではありませんが、卵子の数があれば有利になるため、指標のひとつになります。検査方法は、血液検査なので簡単に測定できるようです。
正しい知識を身につけ、早めの行動を
卵子は自分の年齢と同じだけ年をとり、卵子の数も年齢とともに減少していきます。卵子の老化のサインは現実的にはありませんが、年齢がひとつの目安となります。
月経が異常になったときは手遅れになってしまうこともあるようです。基本的に卵子の老化は、とめることができないといわれているため、「なかなか妊娠できない…」など少しでも気になることがあれば、早めに婦人科やクリニックに相談してみるのがよいでしょう。
「食事の栄養バランスに気を付ける」「飲酒や喫煙を控える」など、生活習慣を改善し健康な体をつくることは、出産や赤ちゃんのためにとても大切なことです。しかし、これらは妊娠率に直結するものではないといわれています。妊活にあたっては、正しく理解して進められるといいですね。
監修:浅田義正(浅田レディースクリニック院長)
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浅田義正
日本でも有数の体外受精成功率を誇り、愛知・東京でクリニック展開する「医療法人浅田レディースクリニック」の理事長を務める。海外での体外受精研究実績を持ち、顕微授精の第一人者。妊娠という“結果”を重視した「浅田式」不妊治療を行っている。
2020.07.28