【産婦人科医監修】妊娠中の果物摂取は注意が必要?おすすめの果物

【産婦人科医監修】妊娠中の果物摂取は注意が必要?おすすめの果物

控えたほうがよい果物と食べるときの注意点

2019.08.23

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杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠中はお菓子の代わりに果物を食べているという妊婦さんもいるのではないでしょうか。果物ばかり食べていると太る原因になったり、身体を冷やしてしまう場合があります。妊娠中におすすめの果物と控えたほうがよい果物をご紹介します。また、果物を食べるときの注意点も併せて解説します。

妊娠中の果物摂取について

妊娠するとホルモンバランスの変化などから、今まで甘いものが苦手だった人が甘いものを無性に食べたくなったり、味覚が変わることがあります。またお腹のなかの赤ちゃんへ栄養を送るため、お腹が空きやすくなる場合もあります。

お菓子ばかり食べると、妊娠糖尿病や太る原因になるので、食べすぎて急激な体重増加にならないように注意が必要です。
妊娠中は、お菓子のかわりに果物を食べて体重を調整する人もいるのではないでしょうか。

妊娠中の果物の摂り方にはいくつか注意が必要です。

おすすめの果物

妊娠中に食べるとよい果物をご紹介します。


葉酸を含む果物

アボカド
iStock.com/MarsBars

妊娠中は、葉酸が含まれている果物がおすすめです。

葉酸が多く含まれている果物は「いちご」「グレープフルーツ」「ライチ」「アボカド」などがあります。

グレープフルーツは絞ってジュースにしたり、ライチは冷凍のものを選ぶと解凍して皮をむくだけで食べられるので手軽に食べられます。

葉酸は熱に弱いため、加熱しないで食べることがポイントです。



カリウムを含む果物

カリウムには余分な塩分を排出してくれ、むくみの解消や高血圧を予防する働きがあります。

カリウムを多く含んだ「バナナ」「アボカド」「メロン」「キウイ」「アメリカンチェリー」を食べると、妊娠中のむくみや妊娠高血圧症候群になるリスクを減らせるかもしれません。


ビタミンを含む果物

ビタミンにもビタミンBやビタミンCなど種類があります。

ビタミンB6には、食欲不振や吐き気を和らげる作用があるため、吐き気や嘔吐などのつわりの症状があるママにもおすすめです。

ビタミンBを多く含む果物には「バナナ」や「夏みかん」「」などがあります。

つわりが激しくそのまま食べることが難しいときには、果物を絞ってジュースにして飲んでもよいでしょう。

ビタミンCには、鉄分の吸収力を促進して、免疫力をアップさせ、風邪などの感染症を予防する働きがあります。

ビタミンCを多く含む果物には、「」や「グレープフルーツ」「キウイ」「レモン」「いちご」「みかん」などがあります。

ビタミンCは、空気に触れると酸化して色が変色したり、本来のビタミンCの効果がなくなってしまうため、食べる直前に準備しましょう。


食物繊維

食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。「水溶性食物繊維」は便秘を解消して腸内環境を整える効果があります。

アボカド」「洋ナシ」「キウイ」「プルーン」は食物繊維が豊富で妊娠中におすすめの果物です。

しかし、食べすぎると下痢を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

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控えた方がよい果物

妊娠中、食べるとき注意が必要な果物もあります。


水分量が多い果物

メロン」「」「パイナップル」「マンゴー」など夏の果物は水分量が多く、身体を冷やしやすいため、妊娠中に食べるときは過剰摂取は控えて、少なめにしましょう。


カロリーが高い果物

バナナ」や「」はカロリーが高いため、食べすぎると体重増加につながる場合があります。

妊娠中の体重増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を引き起こす恐れがあります。



積極的に食べるよりも間食程度に食べるとよいでしょう。

妊娠中に果物を食べるときの注意点

妊娠中、果物を食べるときは以下のことに気をつけましょう。


適量を食べる

妊娠中は、スイーツやお菓子の代わりに果物を食べる人もいるでしょう。
果物の食べすぎは、体重増加や身体を冷やす原因になります。

食べすぎると体重増加で、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のリスクにもつながります。
またそのまま食べるとお腹を壊して下痢をする場合もあるので適量を食べることが大切です。

葉酸を多く含む果物であればたくさん食べてもよいかと思う人もいるかもしれませんが、厚生労働省では妊娠の可能性がある18歳から49歳の女性の1日の葉酸の摂取量の目安を0.4mg(400μg)としています。

食べ物だけで1日の目安量が超えることはほとんどありませんが、摂取量を意識して食べるようにしましょう。

出典:日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要/厚生労働省

食べる時間を考える

朝の時間
iStock.com/RuslanDashinsky

果物は加糖を含みますが、血液中では分解されずに吸収されます。

夜に食べるとエネルギーを身体にためて脂肪になりやすいです。果物を食べるときは、朝から夕方くらいの時間に食べるようにしましょう。


さまざまな果物を食べる

同じ果物ばかりを食べると栄養が偏り、太る原因になります。

妊娠中におすすめの果物をバランスよく食べるようにしましょう。

一気に食べてしまわないように小さく切って、回数を分けて食べることがポイントです。


しっかり洗う

果物にリステリア菌がついたまま妊婦さんが食べてしまうと感染症にかかり、赤ちゃんに影響してしまう可能性があります。

果物を食べる前は水でよく洗うことが重要です。

重曹を入れた水に少しつけることでもリステリア菌は予防できます。

種類を選んで妊娠中の果物をおいしく食べよう

妊婦さんが果物を食べる
iStock.com/Constantinis

妊娠中に果物が食べたくなる人や、体重増加を気にしてお菓子の代わりに果物を食べるようにしているという人もいるでしょう。

妊娠中に果物を食べることは、むくみや便秘の解消になったり、妊婦さんに必要な葉酸が補えるなどよい点がたくさんあります。

しかし果物を食べすぎると、肥満や身体を冷やす原因になるので注意が必要です。

果物の種類や量、食べる時間などに気をつけて妊娠中の果物を楽しみ、健康にすごしましょう。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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