【産婦人科医監修】妊娠中の辛いものは赤ちゃんへ影響するのか

【産婦人科医監修】妊娠中の辛いものは赤ちゃんへ影響するのか

激辛料理が食べたくなるときに気をつけること

2019.07.24

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠中、辛いものが食べたくなる人は少なくないのではないでしょうか。なぜ妊娠すると辛いものが食べたくなるのか、原因と辛いものを食べるときに気をつけるべきことをご紹介します。また、激辛料理がお腹の赤ちゃんに影響を及ぼすのかについても解説します。

妊娠中、辛いものが食べたくなる原因

激辛料理
iStock.com/monticelllo

妊娠中に辛いものを食べたくなる人は多いようです。

妊娠中は、黄体ホルモン「プロゲステロン」が影響して食の好みが変わることがあります。辛いものや濃い味つけのものを食べたくなる傾向があるようです。

ホルモンバランスが崩れると、自律神経が乱れて、ストレスが溜まりやすくなります。ストレスから刺激の強い激辛料理が食べたくなる場合があります。

妊娠中、辛い物を食べるとお腹の赤ちゃんに影響する?

妊娠して味覚が変わり、キムチや激辛カレーなどを無性に食べたくなると刺激物がお腹のなかの赤ちゃんに影響するのではないかと心配に思う人もいるかもしれません。

妊娠中、辛いものを食べたからといってお腹のなかの赤ちゃんに影響することはありません。

しかし、妊娠中に辛いものを摂りすぎると妊婦さんの身体に変化が起こる場合があります。

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辛いものを食べすぎたときの影響

妊娠中、辛いものを食べすぎると以下のようなことが起こる可能性があります。


高血圧

辛いものには塩分がたくさん含まれている場合が多いです。塩分を摂りすぎると、血液中の塩分が増加して、血管に圧がかかり高血圧になったり、むくみの原因になります。

妊娠高血圧症候群と診断されると、食事管理や薬の投与など治療が必要になります。


むくみ

辛いものをおいしく食べていても辛さを和らげるために摂取する水分量が増えます。

妊娠中は水分がたくさん必要になりますが、水分の摂りすぎはむくみの原因になることがあります。


胃痛

妊娠中はホルモンバランスが崩れ、胃腸の働きを弱めます。

胃が荒れやすくなっている状態に、辛いものを摂取すると胃酸の分泌が活性化されて胃痛や胃もたれを起こしやすくなります。


下痢

辛い物を食べてお腹が痛い
iStock.com/Tharakorn

辛い食べ物に含まれる「カプサイシン」は刺激が強いため胃腸を傷つけ、消化不良で下痢を引き起こす可能性があります。

下痢から痔の症状を引き起こすこともあるので注意が必要です。


便秘

辛いものに含まれる「カプサイシン」には、アドレナリンを活性化させて消化器官の働きを抑える効果があるため、便秘になることがあります。

辛いものを食べるときの注意点

妊娠中、辛いものを食べるときはいくつか気をつけたほうがよいことがあります。


食べすぎない

辛い物には塩分が多く含まれていることが多いため、食べすぎると塩分の摂りすぎになります。

普段は、多少塩分を摂りすぎても自然と排出されるため問題ありませんが、妊娠中は高血圧につながりやすいため、注意が必要です。

量を調整したり、辛さの段階がある場合は最も辛いものではなく、少しマイルドな辛さを選ぶようにしましょう。


炭水化物の摂りすぎに注意

激辛料理には食欲増進効果のある香辛料が含まれていることが多く、辛いものといっしょにご飯など炭水化物をとりがちになります。

炭水化物を摂りすぎるとカロリーオーバーして、肥満の原因になります。妊娠中の急激な体重増加は妊娠高血圧や妊娠糖尿病を引き起こすかもしれません。

激辛料理と炭水化物の配分をきちんと調整してバランスよく食べることが大事です。


子宮収縮作用のある香辛料に気をつける

カレーに使われるシナモン、ナツメグ、ターメリック、バジル、パセリ、セージ、フェンネルなどの香辛料には子宮収縮作用があるため、大量に摂取するのはやめましょう。

カレーを食べるときには、原材料を確認することが重要です。


激辛カレーは避ける

激辛カレーは刺激が強いため、胃もたれの症状を悪化させたり、胃腸障害を引き起こす可能性があります。

妊娠中の激辛カレーは避けましょう。

妊娠中に辛いものを食べるときは工夫が必要

激辛料理
Jatuporn Chainiramitkul/Shutterstock.com

妊娠前は辛いものを好んで食べていなかった人でも妊娠すると、ホルモンバランスの関係で辛いものを無性に食べたくなる人は少なくないようです。

妊娠中に辛いものを食べてもお腹のなかの赤ちゃんに影響はありませんが、激辛料理は塩分が多く含まれ、塩分の摂りすぎで高血圧やむくみの原因になる場合があります。

辛いものを大量に食べたり、頻繁に食べると妊娠高血圧症候群や胃腸の粘膜に負担をかけて胃痛や下痢、便秘など妊婦さんの身体に影響を及ぼすことがありますが、食べる量や辛さを調節すれば妊娠中でもおいしくいただけます。

激辛料理に含まれる香辛料のなかにはナツメグやターメリック、バジルなど子宮収縮を引き起こすものもあるので、原材料を確認すると安心です。

妊娠中に辛いものを食べたくなったら我慢せず、食べる量や食べ方を工夫することが大切です。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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