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【産婦人科医監修】妊娠超初期の発熱。高熱の原因や赤ちゃんへの影響
薬の服用や受診など正しい対処法
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田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠中の発熱や出血が赤ちゃんに影響しないのか不安になることもありますよね。妊娠初期に高熱がでたとき、ママはどのような対処をしたらよいのでしょうか。妊娠中に熱が出る原因や39度以上の高熱がでたときの風邪薬の服用や対処法、高熱がもたらす流産のリスクはあるのかについて解説します。
妊娠中に熱が出る原因
妊娠中は基礎体温が上がり、体の火照りや熱っぽさを感じることもあります。体がだるくなったり、火照りや微熱、吐き気、胃のムカつき、食欲の減退、鼻が詰まるなど、これらの症状は「つわり」と呼ばれる妊娠中の自然な生理現象です。
ただし、39度以上の高熱が続く場合は、別の病気の可能性があるので注意が必要です。
妊娠中に熱がでる原因について詳しく解説します。
妊娠初期の微熱
女性の体温は、月経の周期によって低温相と高温相に分けられます。妊娠すると分泌されるホルモンの影響により、周期的に下がるはずの体温が下がらずに高温相を持続することになります。妊娠初期13週~14週目くらいまでは、体温が平熱より0.2~0.3℃高い状態が続き、微熱や熱っぽさを感じる人が多くいます。
妊娠中はホルモンの影響で体温が上昇することがよくあるので、微熱があっても体調が悪くなければ特に心配することはないでしょう。
安静にしていても治まらない腹部の痛み、月経より多い出血など微熱以外の症状や高熱が続く場合は、つわりではなく流産や感染症、その他の病気の可能性があります。
妊娠中に注意したい高熱を伴う病気
妊娠中は、免疫力が低下するためさまざまな感染症にかかりやすい状態です。熱が伴う妊娠中に注意したい病気は以下の通りです。
- 風邪
- 急性肺炎
- 麻疹(はしか)
- 風疹
- 水ぼうそう
- おたふく風邪(流行性耳下腺炎)
- りんご病(伝染性紅斑)
- 手足口病
- 腎盂腎炎
妊娠初期は感染症にかかるリスクが高くなり、症状が悪化しやすいこともあるので、早めの対処が必要です。
妊婦さんは免疫力の低下や子宮が大きくなり膀胱を圧迫し、膀胱炎になりやすくなります。膀胱炎が重症化すると、高熱や出血を伴う腎盂腎炎を発症することもありますので、トイレは我慢しないようにしましょう。
腎臓から尿の出口までの尿路にばい菌が侵入する尿路感染症は、妊婦さんがかかりやすい病気のひとつなので注意が必要です。
妊娠中の熱は赤ちゃんに影響する?
妊娠初期に39度以上の高熱が続き、母体の体温が上がると、それに連動して羊水の温度も上がります。赤ちゃんの心拍数や体温も上がるため、体力を激しく消耗し流産の原因になることもありますが、40℃を超える高熱が3日以上続かない限り、赤ちゃんに影響することは、ほとんどありません。
ただし、高熱が続くと赤ちゃんの負担も大きくなるので、できるだけ早く熱への対処をしましょう。
妊娠中に熱が出たときの対処法
妊娠中に熱が出たときの対処法についてお伝えします。
水分をとる
妊娠中は、お腹の赤ちゃんに栄養を送るために大量の水分が必要になります。発熱すると熱や汗で脱水状態になりやすくなるので注意が必要です。こまめな水分補給で脱水症状を防ぎましょう。
つわりで水分補給ができないときには医師に相談してください。
市販薬は飲まない
妊娠初期4~7週目くらいは、お腹の赤ちゃんが薬の影響を特に受けやすい時期です。妊娠中に市販薬を飲むと成分によっては赤ちゃんに影響を与える可能性があります。自己判断で市販薬を飲むことはやめましょう。
妊娠中に熱が出たときは、市販の解熱鎮痛剤、風邪薬などの服用は避け、必ず医師に相談し医師から処方された薬を飲むようにしましょう。
受診
37度程度の微熱ならば、しばらく安静にしておくことで体調が回復し、熱が下がる可能性があります。熱以外に気になる症状がない場合は、しばらく様子を見てから病院に行くかどうか判断しても問題はないでしょう。
38~39度以上の高熱が出た場合には、ほかの病気に感染している可能性があるため、速やかに病院を受診しましょう。妊娠中は免疫力が落ちているので、症状が重症化する前に早めの対処が大切です。
妊娠中の高熱は何科を受診する?
妊娠中に高熱がでたときは、まず産婦人科に電話して症状を伝えるようにしましょう。場合によっては、内科やその他の科での受診になるかもしれませんが、かかりつけの医師や助産師さんから適切なアドバイスがあるはずです。
38~39度以上の高熱だけの症状のみがあり、自分では風邪だと思っていても、インフルエンザやはしか、水疱瘡など感染力の強い病気の可能性もあります。
事前に電話をすることで、病院によっては待合室を分けてくれたり、順番を早めてくれるなどの配慮があるかもしれません。他の妊婦さんを不快にさせない配慮や集団感染予防のため、まずは電話で確認しましょう。
妊娠中の高熱は早めの対処が大切
妊娠中に熱がでたり、出血があると、赤ちゃんに何かあったのではと思い心配になりますが、妊娠初期の発熱や少量の出血は妊婦さんによく見られる症状です。
発熱のみの症状だと、つわりの症状やただの風邪と思い病院に行くことをためらう妊婦さんもいるでしょう。
微熱以外の症状がなければ、お腹の赤ちゃんに影響はほとんどありません。
しかし、妊娠中はホルモンバランスの変化により、免疫力が低下しインフルエンザなどの感染症にかかりやすく、症状が重症化しやすいのも特徴です。高熱がでたときは、自己判断はせず、必ず医師の診察を受けましょう。
高熱の他に痛みをともなう大量の出血がある場合は、夜間でも病院に連絡し早めに受診することが流産のリスクの回避に繋がるかもしれません。妊娠中の高熱は早めの対処が重要です。
監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。