【産婦人科医監修】つわりで胸焼けが起こるのはいつまで?対策と食べ物

妊娠中の胸焼けと逆流性食道炎との違い

【産婦人科医監修】つわりで胸焼けが起こるのはいつまで?対策と食べ物

妊娠中につわりを経験する妊婦さんの中には、胸焼けを起こす場合があるかもしれません。つわりで胸焼けを起こした場合はどのような対策をとるとよいのでしょうか。つわりの症状と似ている逆流性食道炎との違いや、つわりで胸焼けが起こったときに食べてもよい食べ物について、産婦人科医監修のもと解説します。

つわりの胸焼けがつらい

つわり
iStock.com/Vesnaandjic

多くの妊婦さんが経験するつわりは、吐き気や嘔吐の症状をはじめとして不快な症状を感じる、妊婦さんにとってつらい時期です。食欲が減退したり、反対に食べづわりでは空腹になると気持ち悪さを感じることがあります。

消化器を中心としたつわりの不快な症状の一つとして、「胸焼け」を感じる妊婦さんもいます。


  • 食べたもの・胃から胸にかけて食べたものや酸っぱいものがこみあげてくる
  • 胃から胸にかけて食べたものや酸っぱいものがこみあげてくる

といった胸焼けは、胃酸が逆流することで起こります。

食べ物は通常であれば、口から食道、胃へと向かいますが、妊娠して大きくなったお腹が胃を圧迫することで、胃酸が食道へと逆流して胸焼けが起こります。黄体ホルモン(プロゲステロン)の増加による消化不良から、胸焼けを起こすケースも考えられます。

つわりの胸焼けはいつまで続く?

個人差がありますが、一般的につわりは妊娠初期の妊娠5~6週目から始まり、8~10週ごろにピークを迎え、妊娠16週ごろまでに徐々に落着く傾向があります。

したがってつわりの気持ち悪さや、吐き気にともなう胸焼けも妊娠初期に起こります。

つわりで胸焼けがつらいときの対処法

つわり期間の胸焼けがつらいとき、どのような対策をするとよいのでしょうか。


ゆったりとした服を身に着ける

下着や洋服の締め付けから、つわりにともなう胸焼けを感じることがあります。

妊娠初期はまだお腹が目立たないため、妊娠前と同じ下着や洋服を身に着ける場合があるかもしれません。ゆったりとしたものを身に着け、お腹を締め付けないことでつわりが軽くなり、胸焼けを感じることが少なくなることもあります。


食生活を見直す

つわりで胸焼けを感じるときは、意識的に消化のよい食べ物を摂取しましょう。

食事前や食事中に飲み物を飲みすぎると、胃液が薄まってしまうため注意が必要です。

冷たい食べ物や飲み物、香辛料を含むものは胃を刺激するため消化不良を招きます。また、一回の食事量を減らしてこまめに食事をすることで胃酸が出過ぎるのを防ぐことができます。


生活習慣の改善

肥満による胃の圧迫も胸焼けの原因の一つです。妊娠中はただでさえお腹が大きくなり胃を圧迫しているため、必要以上に体重が増加しないよう気をつけましょう。

つわりでつらい場合でも食後すぐに横になると、胃液が逆流し胸焼けを起こしやすくなります。さらに横になるだけでなく睡眠をとってしまうと、胃の働きが弱まり消化不良の原因となります。食後は1~2時間ほど時間を空けてから横になりましょう。

寝るときは、クッションなどを使い上体を高くすることで胃液の逆流を防止することができます。

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つわりと逆流性食道炎の違い

「逆流性食道炎」とは、逆流した胃酸が食道で炎症を起こすことを指します。胸焼けが常態化していたり、しつこく続くなどの症状が重い場合には逆流性食道炎の可能性があります。

高齢者のほか、肥満、手術で胃を切除した場合に起こりますが、ホルモンバランスの変化や胃の圧迫から妊娠中も逆流性食道炎になりやすいとされています。

ただし、胃の不快感や吐き気など、つわりと似た症状が多く見分けることが難しい場合もあるでしょう。

妊娠中期になりつわりが落ち着いてくる頃でも、胸焼けや吐き気、不快感がいつまでも続く場合には逆流性胃腸炎の疑いがあります。妊婦健診のときに医師に相談しましょう。症状が軽度の場合には、食生活や生活習慣の改善によって良くなることがあります。

つわりで胸焼けがするときにおすすめの食べ物

うどん
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つわりで胸焼けがするときには、胃にやさしい食べ物を摂りましょう。

胃にやさしい食べ物とは、食物繊維や脂肪分が少なく、消化が早い食べ物です。

にんじん、キャベツ、白菜、ほうれん草などの他、お肉はささみなどの鶏肉を選びましょう。白身魚や鮭も胃の調子が悪いときに食べるとよいとされています。体調が悪いときにうどんを食べることがあるように、うどんも胃にやさしい食べ物の一つです。

食べ物を細かく刻む、油を使わない、といった工夫を取り入れることでさらに胃にやさしい食事になります。また、胸焼けがするときは、生のまま食べるのではなく熱を加えることで消化を助けます。

つわりで胸焼けがするときに注意が必要な食べ物

つわりの時期には、脂っこいものが食べたくなる妊婦さんが多いようですが、揚げ物などの脂っこいものは消化に時間がかかるため、胃酸が多く出てしまい胸焼けの原因となります。脂っこいものは高カロリーで体重増加にもつながるため注意しましょう。

柑橘系のフルーツも同様に、食べすぎると胃酸が多く出てしまいます。

妊娠中はカフェインの摂取に気を配る妊婦さんが増えますが、チョコレートなどにもカフェインが含まれます。カフェインを大量摂取すると胃酸が多く分泌されるため、胸焼けや胃もたれの原因となるので注意しましょう。

つわりで胸焼けが起こったときは食べ物や生活習慣を見直そう

妊婦
iStock.com/west

妊娠中は胃の圧迫やホルモンの影響で、つわりと共に胸焼けが起こりやすい時期です。

妊娠中期に入り、つわりが落ち着く頃になっても胸焼けが続く場合は、逆流性食道炎の疑いがあるため、医師に相談しましょう。

つわりで胸焼けが起こったときは、ゆったりとした服を身に着けたり、食後すぐに横にならないといった生活習慣を見直してみましょう。胃にやさしい食べ物を意識的に摂取し、食生活を見直すといった対処で改善される場合もあります。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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