【産婦人科医監修】妊娠中のくしゃみによる腹痛を軽減する方法

【産婦人科医監修】妊娠中のくしゃみによる腹痛を軽減する方法

赤ちゃんへの影響が心配なとき

2023.11.17

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠中にくしゃみをするとお腹が痛いと感じることもあるでしょう。激痛が走ったり、下腹部痛があったり、赤ちゃんのことが心配になる妊婦さんもいるかもしれません。今回は、くしゃみによる腹痛の原因や赤ちゃんへの影響、痛みを軽減する方法、くしゃみの予防方法について解説します。 杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

妊娠中のくしゃみは問題ないことが多い

iStock.com/maroke
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くしゃみによる腹痛が、赤ちゃんに影響を与えることはありません。くしゃみによる腹痛は、子宮が収縮して起こるものではないためです。「お腹が痛いと、流産や早産をするかもしれない」と心配になるかもしれませんが、これらとくしゃみは関係がないので、安心してくださいね。

むしろ、くしゃみが原因でストレスを抱えるほうが赤ちゃんにとってよくないです。ですので、くしゃみをしても悩みすぎずに妊娠生活を送りましょう。


妊娠中のくしゃみでお腹が痛い

iStock.com/magicmine
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妊娠中は、ホルモンの分泌量の変化によって鼻の粘膜が敏感になるため、くしゃみが出やすくなります。くしゃみをすると、お腹が張ったような痛みや下腹部痛、人によっては激痛を感じる場合もあるでしょう。

くしゃみによる腹痛の原因

iStock.com/Satoshi-K
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くしゃみによる腹痛の主な原因は、お腹に圧力がかかることです。

くしゃみをすると、筋肉の緊張と大きな呼吸によって上半身に力が入り、腹圧がかかります。妊婦さんは、子宮周りの筋肉が緊張することに加えて、腹圧がかかることで子宮を支える靭帯にも刺激を受けるため、くしゃみをするとお腹が痛くなりやすいのです。

くしゃみによる腹痛でもこういうケースは要注意

iStock.com/takasuu
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妊娠中、くしゃみをして腹痛が生じても基本的には問題ありません。ただし、以下の症状があれば、かかりつけへの相談をおすすめします。

<注意が必要な症状>

  • 腹痛がおさまらない
  • 腹痛が強くなってきた
  • 出血した
  • 水が出てきた(破水)

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くしゃみによる腹痛を軽減する方法

iStock.com/maruco
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妊娠中は、心身にさまざまな変化があり、体調が優れないと感じたりストレスが溜まったりしやすい状態です。ただでさえ不安定になりやすいため、お腹が痛い状態はできるだけなくしたいですよね。それでは、くしゃみによる腹痛を軽減する方法を確認しましょう。

近くにあるものを力強くつかむ

腹圧を下げるために、手近にあるものをつかむ方法があります。手近にあるものを力強くつかむと、くしゃみの衝撃がつかんだ物に伝わり、お腹に力が入りにくくなるため、腹痛が抑えられます。

外出中はバッグ、バスや電車に乗っているときはつり革、自宅ではクッションなどをつかむとよいでしょう。

前かがみになる

前かがみになると、まっすぐ立っているときよりも子宮周りの筋肉や靭帯が緩むため、くしゃみによるお腹への負担がかかりにくいです。簡単にできる腹痛回避方法です。

身体を丸めた姿勢で寝る

布団で寝ているときに、くしゃみが出る場合もあります。仰向けでくしゃみをするとお腹が張るような痛みを感じることが多いため、横を向き、お腹を抱え込むように体を丸めましょう。

くしゃみを予防する方法

iStock.com/baona
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マスクをする

妊娠をするとホルモンバランスが変化するため体が水分をため込み、むくみが生じやすいです。また、妊娠後期は出産に備えて血液をため込もうと、より水分が貯留しやすくなります。妊娠していないときと比較して全身がむくむため、鼻の粘膜もむくんで敏感になりやすいのです。

むくんだ鼻粘膜はホコリやハウスダストなどの刺激を感じやすいです。アレルゲンが鼻に入ると排除しようとくしゃみが出るようになるので、マスクをつけてアレルゲンの侵入を防ぎましょう。

こまめに掃除をする

アレルゲンは空気中にも漂っています。マスクをするだけでなく、部屋の中を清潔にすることも重要です。妊娠中はホルモン分泌の変化によってアレルギー症状が出やすいため、掃除だけでなく、ふとん干しや空気清浄器などのアレルゲン対策をするとよいでしょう。

鼻うがいする

鼻の内部に生理食塩水や薬液を入れて洗浄する鼻うがいをすると、鼻水、アレルゲン、風邪やインフルエンザなどのウイルスを洗い流すことができるため、くしゃみの予防に繋がります。

鼻うがいの方法は下記の通りです。

  • 1)人肌くらいまで冷ましたお湯で塩分濃度0.9%の食塩水を作る
  • 2)洗面器に1を入れ、吸わない側の鼻の穴を指で塞ぎながら、鼻の穴の片方を食塩水につけ、ゆっくり吸い込む
  • 3)食塩水が鼻の奥まで達したら洗面器から顔を上げ、反対側の鼻の穴や口から吸った食塩水を出す
  • 4)もう片方の鼻の穴でも、②~③を行う

洗面器に顔をつけることに抵抗がある場合は、ノズルのついたプラスチックボトルやストローを使ってもよいでしょう。

妊娠中でも花粉症治療は受けられる

iStock.com/RyanKing999
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花粉症治療そのものは、妊娠中でも受けることはできます。

ただし、妊娠中は赤ちゃんの体や脳が徐々に発達しますので、薬物の使用は慎重におこなうべきとされています。ドラッグストア等で購入可能な医薬品の添付文章に、妊娠中の使用を禁じる、薬剤師等に使用の可否を相談するよう記載されているものがあるのはこのためです。

妊娠初期の薬物治療は避ける

妊娠2~4か月目は、赤ちゃんの器官が作られていく時期です。この時期の薬物使用は赤ちゃんの発達に悪影響をきたすおそれがあることから、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ薬物治療が実施されます。

なお、この期間は内服薬による治療はせず、点眼薬や点鼻薬など症状が強く出ている部分にアプローチする治療を選択します。

薬物治療をするのは妊娠5か月目以降

妊娠中期では、使用可能な成分が増えます。点鼻薬や点眼薬など効果が部分的なものを主に選択することは変わりませんが、症状が改善しないと判断すれば内服薬による治療も選択可能になる時期です。

ただし、お薬の服用ができる、できないはご自身で判断せずに必ず医師に相談の上、指導を受けるようにしましょう。

くしゃみによる腹痛を軽減して妊娠中も快適に過ごそう

iStock.com/west
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妊娠中は、ホルモン分泌の変化によってくしゃみが出やすくなります。

くしゃみをしてお腹が痛いと、お腹のなかの赤ちゃんが心配になりますが、子宮周りの筋肉や靭帯への刺激が原因で痛みを感じるため、赤ちゃんに影響はなく、流産や早産を引き起こすこともありません。

前かがみになり手近にあるものをつかんでくしゃみをすると、お腹への負担がかかりにくく、腹痛を軽減できます。横になっているときは、お腹を抱えるように体を丸めてくしゃみをしましょう。

マスクの着用やこまめな掃除でくしゃみを予防したり、腹痛を軽減する方法を試したりしながら、妊娠中も快適に過ごせるとよいですね。

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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