【産婦人科医監修】妊娠中のビタミンAの理想的な摂取量。上限や含有量の多い食品など

【産婦人科医監修】妊娠中のビタミンAの理想的な摂取量。上限や含有量の多い食品など

2018.09.25

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杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠中はお腹の赤ちゃんのために、さまざまな栄養をしっかり摂りたいですよね。しかし、過剰摂取に注意が必要な栄養素があるのはご存知ですか。今回はそのなかのひとつ、ビタミンAについて説明します。野菜やシリアル、野菜ジュースなど、ビタミンAが多く含まれる食品や飲み物、理想的な摂取量や上限などもご紹介します。

ビタミンAはどんな栄養素?

ビタミンA
iStock.com/ayo888

ビタミンAは骨や皮膚、粘膜を守ったり、肝臓の機能を正常に保つ役割など、さまざまな作用をもたらす栄養素です。また、視力の低下を予防したり、暗い場所での目の働きなどにも関わってきます。

ビタミンAは水に溶けにくく、脂に溶けやすい性質をもつ脂溶性ビタミンの一種で、レチノールと呼ばれることもあります。

単位としては「レチノール活性当量(μgまたはμgRAE)」として表されます。この数値を覚えておくことで、ビタミンAを摂取したいときや、摂取量を減らしたいときに参考になるかもしれません。

妊娠中のビタミンA過剰摂取に注意

妊娠中にビタミンAを過剰摂取すると、お腹の赤ちゃんにも悪影響が出る場合があります。妊娠の時期によっては、特に注意する必要があるようです。

では、妊娠中のママがビタミンAを摂るときの理想的な摂取量と、摂取量の上限、過剰摂取に注意する時期はいつなのでしょうか。

妊娠中 料理
iStock.com/Sasha_Suzi

妊娠初期はビタミンAの過剰摂取に注意が必要

妊娠中のママが、ビタミンAを過剰摂取すると、お腹の赤ちゃんの身体や機能に先天的な形態異常を引き起こす恐れがあると言われています。

特に、妊娠してから1~3カ月くらいの妊娠初期にあたる時期は、赤ちゃんの脳や心臓、目や鼻などの器官、骨髄などが発達し、身体が作られる時期です。妊娠初期のビタミンAの過剰摂取には注意が必要です。


理想的なビタミンAの摂取量

ビタミンAを過剰摂取しないようにするためには、どのくらいの量を目安にするとよいのか気になりますよね。厚生労働省が定めている、妊婦が1日に摂取してもよいビタミンAの上限量は「3,000μgRAE」です。

レバーなどは多くのビタミンAが含まれているので、食べ過ぎるとあっというまに上限を越してしまうかもしれませんので注意が必要です。

また年齢ごとに推奨される摂取量が決まっており、女性の場合、18歳より上の年齢は「650~700μgRAE」くらいと言われています。

出典:日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 ビタミンAの食事摂取基準(㎍RAE/日)(現在最新)/厚生労働省ホームページ

ビタミンAの過剰摂取が引き起こすトラブル

ビタミンAの過剰摂取が引き起こすトラブルは、前述した赤ちゃんの形態異常だけではありません。

腹痛やめまいなどの急性的な症状に加え、皮膚乾燥や、関節痛、骨粗しょう症などを引き起こす場合もあります。ママのためにも過剰摂取は控えたほうがよいようですね。

出典:お母さんになるあなたへ/食品安全委員会/厚生労働省

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どんな食品にビタミンAは多く含まれる?

妊婦さん 食事
iStock.com/DragonImages

過剰摂取には気をつけないとならないものの、妊娠中はさまざまな栄養素を摂ることが推奨され、ビタミンAもそのうちのひとつです。妊娠中のママが食べるものを気にするときに、ビタミンAはどんな食品に多く含まれるのか気になりますよね。

続いてビタミンAが含まれる食品を紹介します。


野菜類

ニンジン、モロヘイヤ、ほうれんそう、かぼちゃ、春菊など


ニンジンやかぼちゃなどの緑黄色野菜がもつ色素成分「β-カロテン」は体内でビタミンAに変換され作用します。特に、ニンジンは他の緑黄色野菜に比べて、β-カロテンを多く含んでいますので、スープなどにして食べると効率よくビタミンAを摂取することができるかもしれません。


肉類

豚レバー、鶏レバー、牛レバーなどの肝臓類


内臓類は、さまざまなビタミンが多く含まれる、優秀なビタミン供給源です。特にレバー(肝臓)にはビタミンAが貯蓄されているので、他の内臓よりも多く含まれています。


魚類

あんこう(肝)、あゆ、うなぎ、あなご、ホタルイカなど


あん肝やあゆの内蔵など、やはり内蔵類にビタミンAが多く含まれるようです。また、うなぎやあなご、イカやタコなどにもビタミンAが含まれます。


その他の食品

味付け海苔、抹茶、バター、野菜ジュース、シリアルなど


ビタミンAは緑茶や野菜ジュースからも摂取することができるようです。水分補給と合わせて摂ることができたらよいかもしれませんね。また、栄養強化食品のシリアルにもビタミンAが含まれますが、野菜や肉などの食品に比べると微量となるものが多いようです。

下記、内閣府の食品安全委員会が出している資料のなかに、主な食品別のビタミンA含有量が記載されています。妊娠中はそちらも参考にして栄養摂取の目安としてください。

出典:(2)含有食品等/ビタミンAの過剰摂取による影響/食品安全委員会/内閣府

ビタミンA不足の対処法

摂取量の上限は守らないと妊娠中のママにもお腹の赤ちゃんにもよくないビタミンA。しかし、体にとって必要な栄養素のひとつでもあるビタミンA。足りないと感じたときは、どのように摂取すればよいのでしょうか。


サプリメントを活用

ビタミンAが足りないときはサプリメントを活用するのもよいでしょう。ただし、食事のメニューでビタミンAが明らかに足りないときに使うのがよいかもしれません。通常の1日3食の食事をしている場合、サプリメントも併用すると過剰摂取につながるので、食事とサプリメントをバランスよく摂ることが大切です。


上手なビタミンAの摂り方

妊娠 野菜ジュース
iStock.com/gyro

ビタミンAを効率よく、過剰摂取にならないように摂るためには、緑黄色野菜を食べ、「β-カロテン」を摂取するのがよいでしょう。緑黄色野菜の野菜ジュースを利用するのも妊婦さんには取り入れやすいかもしれません。

β-カロテンは体の中で必要量のみをビタミンAに変換するので、過剰摂取にはならないと言われています。摂りすぎた分は体から排泄されます。

妊娠中はバランスよく栄養補給

食事 妊婦家族
iStock.com/JohnnyGreig

妊娠中のママは赤ちゃんのために、多く栄養を摂らなくてはと考えるものですよね。しかし、ビタミンAなどの栄養素は過剰摂取すると赤ちゃんに悪影響を与える場合もあります。

妊娠初期の1~3カ月は赤ちゃんの体の形成に関わる時期ですので、ビタミンAの摂取は特に注意が必要です。1日の摂取量の上限よりも少し抑えたほうが、安心かもしれません。

妊娠中は緑黄色野菜や野菜ジュースなどの食品からβ-カロテンを摂取すると、過剰摂取にならずに効率よくビタミンAを摂ることもできそうです。

栄養素の過剰摂取を気にすることで、逆に栄養が不足してしまっても問題です。妊娠中はとくにバランスよく栄養を摂れるように意識できるとよいですね。


監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

※記事内で使用している参照内容は、記事作成の2018年9月14日時点のものになります。

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