クマは人間も食べるし「共食い」もする…エサ不足で凶暴化したヒグマ同士が繰り広げた壮絶な戦いの実態
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今年度クマに襲われて死亡した人は13人にのぼり、過去最多の被害となっている(11月20日時点、環境省まとめ)。ノンフィクション作家・人喰い熊評論家の中山茂大さんは「クマは人間を襲うだけでなく、クマ同士で共食いをすることがある。約80年分の北海道の地元紙を通読すると、その壮絶な実態が確認された」という――。
なぜクマは「人間を襲う」のか
クマの冬ごもり時期に入った11月下旬になっても、いまだクマの人身事故が続いている。
環境省の発表によれば、今年4月~10月末のクマによる人身被害件数が177件、被害者数が197人と、過去最悪となった。
さらに11月25日には、新潟県胎内市の飯豊連峰胎内口登山道付近で男性の死体が発見され、顔や首などにひっかき傷があったことや、近くにクマ1頭がいたことから、クマに襲われた可能性が高いという。
相次ぐクマによる被害の原因は、東北地方を中心に山の木の実が凶作であることが挙げられる。
東北森林管理局によれば、今年は東北五県(青森、岩手、宮城、秋田、山形)すべてで「大凶作」と判定された。
クマは冬ごもり前に大量の脂肪を蓄える必要がある。
ヒグマ研究で知られる犬飼哲夫北大名誉教授によれば、その量は体重の25%にも達し、腰のあたりには皮下脂肪が10センチも蓄えられるのだという。
だからこそクマは、秋になるとドングリやコクワ、山ブドウなどを大量に食べる必要がある。
そしてそれが手に入らないとなれば、あらゆる手段を使って4カ月近くに及ぶ穴居生活に耐える栄養を確保しようとする。
人間を襲うのもそのためである。
そしてその一方で、人跡未踏の深山幽谷では、私たちの知らない恐るべき殺戮が繰り広げられている可能性がある。
それはクマ同士の共食いである。





























