「ビジネスのどこにAIを入れるか」と言われればココ…経営者のほとんどが「勘」で運用している「儲けの心臓部」
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ビジネスにおいてAIが最も活躍する領域は何か。ゴールドラットジャパンCEOの岸良裕司さんは「膨大な数を処理しなければならないにもかかわらず、経営者の多くが専門的な知識もなく、勘や経験、度胸で運用しているものがある」という――。 ※本稿は、岸良裕司『なぜあなたはマネジメントを間違えるのか?』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
需要予測は「店頭」か「中央倉庫」か
次のクイズを考えてほしい。
小売店である商品の需要予測をするとき、「店頭」と「中央倉庫」どちらのほうが予想は当たるか?

お客様に近い「店頭」の方が予想は当たるとつい考えてしまいがちだが、本当だろうか? ここで、店舗における売れ行きの「ばらつき」を考えると別の景色が見えてくる。
店舗レベルだと、それぞれの店舗で、地域特性、客筋、客数など特性が異なるために各商品の売れ行きの「ばらつき」は大きく、その結果、売り上げの山谷が大きくなる。
一方で、中央倉庫のレベルでみると各店舗の売り上げが集約されているので、「ばらつき」は小さくなる。さて、次の問いを考えてみてほしい。
「ばらつきの大きい店頭」で予想するのと「ばらつきの小さい中央倉庫」で予想するのと、どっちがいいか?
なぜ在庫が十分でも欠品は起こるのか
もう答えは自明、中央倉庫のほうが「ばらつき」は小さいので予想が当たる確率は高くなるのだ。これを統計学では、「統計的集約効果」と言う。
「いま現在、全商品の3割が品切れ状態になっています。この業界では、まあ平均的なところかもしれません。でも、驚いたのは、どこか一店舗でも品切れを起こしているSKU全体の68パーセントは、この同じ地域のどこかの別の店に、何と2カ月以上もの在庫が眠っているんです」
『「ザ・ゴール」シリーズ 在庫管理の魔術』(岸良裕司監訳、三本木亮訳、ダイヤモンド社)の中のセリフだが、これはあくまでも本の中の話。次の図表は、ある大手アパレルチェーンストアの在庫のデータを分析したもの。ある店舗では欠品しているアイテムが他の店舗では過剰にあることがわかる。この実態はまさに本の中の話と一致するのだ。

欠品させようと思って欠品させる人などいないはず。全体として在庫は十分にある。なのに個々の店舗では欠品が起きるのはなぜだろうか?





























