東大合格者ゼロは「どうでもいい」…海外大学合格者105名の「離島の公立校」をつくった広島県知事の原体験

東大合格者ゼロは「どうでもいい」…海外大学合格者105名の「離島の公立校」をつくった広島県知事の原体験

【後編】英語力ゼロの「普通の子」が海外の超名門大に合格する…広島の離島の公立校が行う「詰め込み」とは真逆の授業 広島県の県立中高一貫校、広島叡智学園が注目を集めている。今春、延べ105名が海外大学に合格したのだ。全寮制でほとんどの授業を英語で行う異例の公立校は、どのような意図で誕生したのか。学校創設に大きくかかわった広島県知事の湯﨑英彦氏に、ライターの鬼頭勇大さんが聞いた――。(前編/全2回)

海外名門大に105人もの合格者を出した離島の公立学校

瀬戸内海に浮かぶ人口約7000人の大崎上島おおさきかみじまが注目を集めている。島内にある、2019年開校の「広島県立広島叡智学園」が快進撃を見せているからだ。

叡智学園は公立の中高一貫校ながら、2019年度に入学した1期生45人が今春、国内だけでなく海外の名門大学に次々と合格した。

海外大学の合格者数は延べ105人にのぼる。その中には「QS世界大学ランキング」で、東京大学(32位)を上回るユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(9位)、ペンシルベニア大学(11位)なども含まれている。

叡智学園の大きな特徴は、国際バカロレア機構の教育プログラム「国際バカロレア(International Baccalaureate=IB)」認定校であること。従来型の教育とは一線を画し、数学や理科なども英語で授業を行うなど英語教育に注力するとともに全寮制で6年間の共同生活を送る。

この異色の学校の設立を主導したのが、湯﨑英彦知事だ。東京大学法学部、通商産業省などを経て、広島県知事を4期16年務めた。今年11月に退任する。

なぜ都市部ではない“田舎”の島で、このような異色のカリキュラムを行うことを決めたのか。広島発の教育改革を推し進めてきた湯﨑氏に聞いた。

「東大に行くか行かないかは、どうでもいい」

1期生の合格実績には、先に述べた海外名門大以外に、国内では難関とされる京都大学や慶応大学も含まれている。

一方で、国内トップであり、湯﨑氏の母校である東京大学への合格者はいなかった。これに対し、湯﨑知事は「東京大学に行くか行かないかは、どうでもいい。そうした学歴・教育のピラミッドから脱却する必要がある」と話し、叡智学園を立ち上げた趣旨についてこう説明する。

「『決められた目標、定められた問題に対して最適な解を求められる人材』を生み出す日本の教育制度は非常にすぐれたものではありますが、徐々に時代とのギャップが大きくなってきたことも事実です。

これまで日本が世界の中で存在感を示してきたビジネスモデル、勝ち筋に必要な『最適化』や『前例踏襲』といった能力ではなく、何か新しいこと、誰もやったことがないようなテーマをいかに見つけ、自分で問いを作れるか。これからの世界で活躍するにはこうしたスキルが求められており、そのためには教育制度の根っこから変える必要があると考えました」(湯﨑氏、以下すべて同)

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2025.12.03

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