字が読めない"お陰で"成功した…学業成績が壊滅的だった建築現場の労働者が世界有数の弁護士になれたワケ
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成功した起業家の中に、ディスレクシア(読字障害)を持つ人は多い。ジャーナリストのマルコム・グラッドウェルさんは「一般的に、不利な要素は避けなければならないとされているが、『望ましい困難』というものもあるという考え方がある」という――。(第1回/全3回) ※本稿は、マルコム・グラッドウェル『David and Goliath 絶対強者をうち破れ』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
ディスレクシアは「望ましい困難」なのか
一般的に、不利な要素は避けなければならないとされている。それがあるせいで、何かがうまくいかなくなるような要素だ。しかし、必ずしもそうとは言い切れない状況もある。
ここからは、「望ましい困難」というものもあるという考え方について検証していきたい。「望ましい困難」とは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授で、心理学者のロバート・ビョークとエリザベス・ビョークが提唱した概念だ。これは、弱者が予想に反して勝利を収めるという展開を見事に説明してくれている概念であり、これから何度も思い出すことになるだろう。
ディスレクシアは、望ましい困難になる可能性があるのだろうか? その可能性はあると言われても、にわかには信じがたいだろう。現にディスレクシアの人の多くは、生涯にわたって苦労しているからだ。
しかしそこには、奇妙な事実がある。成功した起業家の中には、ディスレクシアの人が驚くほどたくさんいるのだ。ロンドン大学シティ校のジュリー・ローガンが最近行った研究によると、その数は全体の3分の1前後になる。
過去数十年だけでも、誰もが知っているような有名起業家が名を連ねている。イギリス人起業家で、大富豪のリチャード・ブランソンはディスレクシアだ。自身の名を冠した格安金融サービス会社を起業したチャールズ・シュワブもディスレクシアだ。
携帯電話のパイオニアであるクレイグ・マッコウ、ジェットブルー航空創業者のデービッド・ニールマン、巨大テクノロジー会社シスコCEOのジョン・チェンバース、キンコーズ創業者のポール・オーファラなど、ディスレクシアの起業家は枚挙にいとまがない。





























