「親が仕事で家にいなかったからじゃない?」無理解なママ友に相談してもダメ…不登校児と母を救う場所リスト
家族だけで問題を抱え込もうとするのは「最悪の選択」
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不登校の子どもを育てる親の負担を軽くするには何が必要か。児童精神科医の齊藤万比古さんは「外部との連携が希薄だと家族が孤立し追い詰められて、回復が困難になる。不登校の子を支える親御さんは、自分も支えられるべき立場だという認識をもち、外部とつながることが大事」という――。 ※本稿は、齊藤万比古『不登校・登校しぶりの子が親に知ってほしいこと』(大和出版)の一部を再編集したものです。
不登校の子どもの母親が感じる孤独
子どもが不登校になると、心理的にも物理的にも母親が重圧を受けます。社会全体でその重圧に気づき、支える仕組みが必要です。
不登校の子どもは母親に密着し独占しようとします。母親の日常の負担は計り知れません。なかでもキャリアへの影響や、外界との交流が減少することは大きな問題で、ストレスを抱える母親が多くいます。元気に通学している同学年のママ友に相談するのもつらいものです。無理解なパートナーや祖父母から「育て方のせい」だと言われるといった話も耳にします。誰にもわかってもらえない、孤独な状況におちいりがちです。
不登校の子どもが増加するなか、母親への支援は喫緊の課題です。そもそもいまの母親は、仕事と育児の両立が当たり前とされており、精神的にも体力的にも余裕のない毎日を送っています。ワンオペ育児やシングルマザー、母子家庭の貧困などの問題も深刻です。そのうえ子どもが不登校になれば、負担は母親だけにのしかかってきてしまうのです。
たしかに、思春期の子どもには安全基地としての家庭、とくに母親の存在が重要です。その一方で「母親が子を支えるべき」という言葉が、ジェンダーロールの押しつけや、母親への責任転嫁にならないようにしなくてはなりません。現代社会がもっと「母親への支援」という視点をもつことが欠かせないのです。

第三者との連携が大事
子どもが不登校になると、家族全体のバランスが崩れがちです。不登校の問題をきっかけに夫婦でいざこざが生じることもあります。また、母親のエネルギーが不登校の子どもに集中しがちなため、兄弟姉妹が疎外感を覚え、心理的影響も大きいことを承知していなければなりません。
子どもの問題にばかりとらわれていると、自分が困っていることにすら気づけなくなってしまいます。自分自身を振り返り(図表1参照)、いまの状況、自分の負担感を冷静に捉えなおしてみましょう。
教育センターや医療・福祉など第三者との連携が大事です。自分自身の「安全な場所」を確保することが、子どもへの支援につながります。





























