ヨーカドーやイオンとは全く違う…世界最強スーパー「ウォルマート」が年6000億円稼ぐ"常識破り"の新ビジネス
リアルからデジタルを制覇する「逆アマゾン」
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AIの発展でこれからのビジネスや生活はどのように変わるのか。日本工業大学大学院技術経営研究科の田中道昭教授は「小売り世界最大手の米ウォルマートが急速に進化している。特に2024年に44億ドル(約6700億円)に達した『リテールメディア』事業には注目すべきだ」という――。
世界一のスーパー「ウォルマート」の秘密
かつて小売業とは、「仕入れて、並べて、売る」産業だった。だが、もはやその定義は通用しない。
いまや小売業は、モノを並べる産業ではなく、購買という行動をデザインし、データを通じて経済を動かす情報産業へと進化している。この静かな革命の最前線にいるのが、ウォルマートだ。
アマゾンが“デジタルからリアル”を制覇しようとしているなら、ウォルマートは“リアルからデジタル”を制覇している。
そして、その原動力こそが、小売発の新たな広告サービス「リテールメディア」である。
今やウォルマートでは、店舗やアプリ、検索画面に表示される広告が単なる販促ではない。それは、在庫を動かし、価格を調整し、供給網をリアルタイムで再構成する、小売経営そのものを動かす情報インフラなのだ。
いまや小売の利益は単に商品を売って生まれるだけではない。「売るプロセスそのもの」が利益を生む時代が来ている。
リテールメディアは単なる広告モデルではない。それは、小売のバリューチェーンを根底から書き換える“経営OS”であり、ウォルマートはそれを世界で最も体系的に実装している企業である。
もはや「小売」は“Retail”ではなく、“Platform”である。そしてこのプラットフォームを駆動させるのが、リアル資産の情報化と、情報資産の収益化という二重のエンジンなのだ。





























